名古屋から能登、そして金沢へ。「日本の美意識」が反映されているという新型CX-5と、この国の美しさを探す旅。クルマの中身にはとんと疎いけれど、きれいなクルマは大好物の「くぼきひろこ」が、おこがましくも行ってまいりました。

■スタイリッシュなSUV!旅は名古屋から

出会いは名古屋の街中で。

初対面では、さすがにスタイリッシュなSUVだ!と感じました。シュッとフロントノーズが長く、お口がでかい。タフな雰囲気なのに流れるように優美。

日本の美意識が反映されているとのことで、もっとなんというかクールジャパン!みたいなインパクトがあるのかと思っていたのですが、意外にも初対面ではそんなに「日本」が押し出してくる印象はありません。

筆者はとっても愛国者ですが、和柄風とかネオジャポネスクとか、そこらへんのJAPAN感はあまり好きではないので「この抑えた感覚。ステキに大人っぽい!」と感じ入りました。

もちろん、それだけではないことにもどんどん気づかされていくわけなのですが…。とにもかくにも名古屋から一路、北へ。山間をまっすぐに能登へと向かう旅のはじまりです。

■清流の町、郡上八幡

東海北陸自動車道は、おおよそ長良川に沿って走る道。清流のほとりには日本の美しいスタイルが残る町や村落がたくさんあります。

まず立ち寄ったのは「郡上八幡」。昭和8年に再建された郡上八幡城の天守のもと、古い家々が立ち並ぶ美しい城下町です。

山や川と、人の営み。

古い建物が見世物としてではなく、しっかりと生活の場として息づいているのが印象的でした。

現代にあっても、たたずまいは自然に溶け込むように、あるいは天然をすべて身の内に受け入れるように。恵みであり外敵でもある自然の中で、支配するでもなく服従もせずそこにある強いもの。

郡上八幡の町と、そこを走るCX-5の姿を見ていたら、そんなことを思いました。

それは新色ソウルレッドクリスタルメタリックとフォルムの組み合わせが、映り込みをとても美しく見せているからかもしれません。山里の夏の景色が、まるで湖面にたゆたうようにボディを流れて。新しいクルマなのに苔むした石垣にもピタッとハマります。

一方ではSUVの躍動感や、現代的な洗練を。他方では、あくまで日本的な、自然と人との『美しい曖昧』への回帰をも果たしつつあるように感じられて、不思議なクルマだなこりゃ。と感じました。

■理にかなうこと。五箇山にて

次に訪れたのは、五箇山IC近くの「菅沼合掌造り集落」。9戸の合掌造り家屋が現存する、小さな世界遺産です。

立ち並ぶ切妻造りの茅葺き屋根は、豪壮でノスタルジック。夏の日差しの中、ただただ美しいものに見えます。

しかしもちろん合掌造りは、冬の間に降る重い雪に耐えるためのもの。そして堅牢で大きな構造は、塩硝づくりや養蚕などの仕事に貢献するものなのだそうです。

それが現代の私たちの目に「美」として映るのは、とても興味深いことです。

理にかなってこそ、本質的な美しさを獲得できる。道具としてのクルマも、また同じ宿命を持っていると思います。

CX-5はデザインが効いているし、いい感じに目を惹くけれど、ケレン味やケバさは感じさせない。独特の魅力は、やはり「人が乗る」ということを深く追求して、無駄が削ぎ落とされているところから来るのかな…とかなんとか感じながら、いよいよ宿泊先の能登へ向かいます。

つづく。

(文:くぼきひろこ/写真:ダン・アオキ)

マツダCX-5で名古屋から能登へ。「日本の美ってなんだろう」の旅【前編】(http://clicccar.com/2017/08/14/498777/)