第二次世界大戦を題材としたクリストファー・ノーラン監督の映画「ダンケルク」が2017年9月9日(土)に公開となります。試写で見た時に絶望を強く感じさせる映像、そして「音」の凄まじさを実感したのですが、これはノーラン監督がこれまでの作品でも効果的に用いてきた「無限音階(シェパード・トーン)」による部分が少なからず存在します。

The sound illusion that makes Dunkirk so intense - YouTube

ニュースサイト・Voxでは、実際に過去の作品の音楽と比較して無限音階がどう利用されているかがわかる映像を公開しています。

「ダンケルク」はハンス・ジマー作曲の「The Mole」という曲から始まります。チクタクという時計の音はノーラン監督所有の腕時計のものを使っています。



2016年8月、予告編より前の段階の「告知映像」として公開されたものにはセリフなどが一切なく、BGMとして「The Mole」が使われています。

「ダークナイト」のクリストファー・ノーラン監督最新作「ダンケルク(Dunkirk)」告知映像公開 - GIGAZINE



ハンス・ジマーは同じような導入を他の作品でも行っています。たとえば「インターステラー」の「Mountains」という曲。



そして、「シャーロック・ホームズ」では「Tick Tock」。



「ダンケルク」では、チクタク音はどんどん高くなっていくような印象を受けますが、実際には音はいつまでも上がらず、そのまま音楽はオーケストラに引き継がれます。



この「音が上がっていきそうで上がらない、いつまでも無限に続く」ような印象を与える演出が「無限音階(シェパード・トーン)」。そのポイントは、3オクターブの音の構成です。



基準の1オクターブ上の音(緑)は最初は強く聞こえていますが、だんだんと弱くなっていき聞こえなくなります。基準となるラインの音(赤)はずっと強く聞こえ続け、1オクターブ低い音(青)はだんだんと強く聞こえるようになってきます。これにより、耳に聞こえているのは常に2音で、まるで音が上がり続けているかのような印象を受けます。同じように、音を下げる方向でも「無限音階」は利用できます。



他作品で使われている事例としては「スーパーマリオ64」の「無限階段」や……



「ピンク・フロイド」の楽曲「エコーズ」などがあります。



Voxでは、上昇しきることがないのにどこまでも上がり続けているような印象を受ける無限音階を、理髪店の前にあるサインポールに例えています。



映画音楽として無限音階が使用されると、映像に緊張感をもたらします。たとえば、冒頭から出ている「ダンケルク」もそうですが……



ノーラン監督は「ダークナイト」で、バットポッドのSEに無限音階を取り入れています。



また、ノーラン監督の2006年の作品「プレステージ」でも、無限音階を使用した音楽が使われています。この映画の音楽はハンス・ジマーではなく、デヴィッド・ジュリアンが担当。



ノーラン監督の映画では「時間」がテーマになっていることが多く、無限音階によって緊張感が伝わってくるようになっています。



VoxのChristophe Haubursin氏は映像の最後で、Business InsiderのJason Guerrasio氏によるインタビューを高く評価しています。これは、インタビュー内でノーラン監督が無限音階を意識して使っていることを語っているためです。



インタビュー記事はコレです。

Christopher Nolan talks about challenges of making 'Dunkirk' into an 'intimate epic' - Business Insider

http://www.businessinsider.com/christopher-nolan-dunkirk-interview-2017-7