テルアビブ市内の夜明け(筆者撮影)

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 イスラエルの会社と仕事するときに知っておきたい勘所はいくつかある。

 しかし、孫子の「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」は、特段、イスラエルに限ったことではない。「イスラエルの会社ってどういう会社ですか?」と聞かれると、「会社(人)に依ります」と答える。そう答えてしまうと、本連載では、元も子もないが、これは本当に会社に依るところが起きい、一言でいうと、多様性の塊なのである。

 そうは言っても、イスラエル企業とビジネスをする際に、陥りそうな落とし穴は予め知っておくに越したことはない。今回は、まず実際のビジネスの入り口で起こりがちな事である。

1.一か月先の約束は合ってないようなもの

 海外への出張となると、できるビジネスマンほど、前倒しで動きたいというのが日本人の心情だろうか。というのも、出張となると訪問先に、しっかりアポが取れるかどうかを確認しておきたい。となると、予め訪問先のアポを取っておきたいと先手で動くことになる。

 ただ、いざ出張の日になって現地に行くときは、注意しよう。アポを入れている日が、出張一か月以上前だと、(悪気は一切ないが)忘れていることもある。ただ、最近は、しっかりしているイスラエル人も多く、事前にグーグルカレンダーのスケジュールで確認が来たり、前日に明日のMtgについて確認の連絡がきたりする。

 とあるスタートアップのCEOに聞いてみたら、イスラエルは物事のスピードが速く、話が良く変わる。そのため、日々優先順位が変わっているため、直前に会う目的や優先順位が変わることも多いため、確認が必要である。なるほど。この国は、年間800〜1000社のスタートアップが生まれ、企業買収も年間100程度起こる。スタートアップの状況などは、1年経つと全く状況が変わり、経営陣が全て変わってしまうようなこともある。

 少し面倒かもしれないが、出張で日本を発つ前、もしくは現地に到着後、アポの前日などまでには、アポイントの日時場所の確認と、先方の電話番号は最低限聞いておくのが賢明である。

◆対日本人と同じコミュニケーションでは通用しない

2.私の会社は世界一

 「俺の会社は世界一だ」。

 イスラエルとビジネスしたことがある人であれば、必ず、出くわすのが、この言葉であろうか。ただ、彼らは大風呂敷を広げて言うが、決して嘘ではない。この嘘ではないというのが、ポイントである。ある分野のものすごくニッチな領域であったりすると、本当にその技術を持っている会社は世界に片手以下しかなく、確かに世界一ということもある。

 重要なのは、やはり、その世界一といっている彼らの技術が、「本当にすごいものかどうか」を見極める目を、こちらが持っているかが重要になる。専門外や全く知識がない会社であると判断不能であるので、その技術の目利きができる必要がある。

 これも、単純に世界一だからと言って、どこがどう世界一なのかわかる目を持っているのが理想であろう。

3.言葉の定義の確認。
 
 言葉の定義の確認。これもイスラエルに限った問題ではないかもしれない。お互い話をして、何をどうしていくかという段階、成果物をどうするか、その権利をどうするか。実際に交渉して、話を進めていくと、思うように前に進まなくなることも多く結構辛抱強さが求められることも多くなるかもしれない。

 そんな時に大事にしたいのが、コミュニケーションの相性である。アポを取り、ミーティングをして、帰国後にメールのやり取りをしていると一緒にできそうな会社かわかってくる。そんな時、的確に具体的にコミュニケーションを取れることは、重要なポイントの1つである。こちらの問題を的確に伝えれば、(彼らのオポチュニティーになれば、もちろん一緒にその解決策を考えてくれる)イスラエル人もいる。

 日本人同士の「暗黙の了解」に慣れていると海外、特にイスラエルとのビジネスではつまづくことも多いので注意が必要だ。

【加藤 清司】
株式会社イスラテック代表取締役。1980年静岡県浜松市生まれ。2006年、「ある技術」に注目しそのルーツを調べ、イスラエルへと旅立ち2か月過ごす。現在、日本を代表するテクノロジー企業を対象に、イスラエルのスタートアップとのアライアンスを支援。2017年1月、『スタートアップ大国イスラエルの秘密』を出版