手っ取り早いダイエット法として食事制限を取り入れる人は多いものの、成功することは想像以上に少なく「食事の量を減らすことが、どうしてこれほどまでに難しいのか……」と打ちひしがれるのが関の山です。しかし、ダイエットが難しいのは脳科学や心理学の観点からは当然であり、この事実に対する無知ゆえに、ダイエットが失敗に終わる可能性が高まっているようです。

To lose weight, you need to understand the psychology of why you crave the wrong things - Quartz

https://qz.com/1038229/to-lose-weight-you-need-to-understand-the-psychology-of-why-you-crave-the-wrong-things/

Quartzはダイエットがなぜ難しいのかを、科学的な研究を引用しながら大きく3つの原因を挙げています。これらの原因はいずれも脳科学や心理学から導かれるものであり、逆らうことはダイエットの失敗につながるようです。

◆1:食べ物への注意力



「ダイエット中に限っておいしそうな物が目に付く……」という経験があるかもしれませんが、これは科学的に正しいとのこと。人間は空腹時にホルモンのグレリンが脳を刺激するようになり、食べ物への欲求が高まります。カロリーの高い食べ物の写真を被験者に見せる実験では、唾液の分泌など食べ物を渇望する反応が強まることがわかっており、空腹時に限って砂糖や脂肪の多い健康的でない食品に注意を払いやすくなることがわかっています。

この人間にとって自然な現象は、訓練によって軽減することが可能だとのこと。コンピューターでの作業をする人の中でも「カロリーの高い食べ物は無視するように」という課題が与えられた人は、そうでない人よりも就業中のスナック菓子の消費量が減ったという実験結果もあります。

◆2:禁止が生み出す欲求



「禁止されるとかえってやりたくなる」という経験は誰にでもあるものです。この現象は食事制限でも同様に起こり、「好きな食事を避けるように」という課題を与えられた人は、まったく無制限なときよりも食べたいという欲求が高まること実験から明らかになっています。

別の研究では、チョコレートをよく食べる人に1週間、チョコレートを食べないように求めると、チョコレートの代わりにより高カロリーの食品を求める傾向があることが分かり、1週間が終わってチョコレートを食べるように言われると、禁じられていなかった人たちよりも多くのカロリーを摂ってしまうことがわかっています。

つまり、ダイエットで「好きな食べ物を避けよう」と心がけることは、かえって誘惑を招く可能性があるというわけです。

◆3:なんてこった効果



ダイエットでは、「何を食べるべきか」「いつ食べるべきか」などを計画的に決めておくことが多いものです。しかし、自然な空腹感を無視した食事の計画によって、過食のリスクが高まることが研究から明らかになっています。

さらに、ダイエット中なのについつい「禁じられた食事」をしてしまったときに自責の念にかられて、それがきっかけで食事制限計画から逸脱してしまいやすいことがわかっています。ちなみにこの現象は研究者の間では「 What-the-Hell Effect(なんてこった効果)」と呼ばれるそうです。

食事制限を破ってほんの少し余分な食事をすることは、科学的にはダイエットの経過に大きな影響を与えるはずはありませんが、物理的・身体的な影響ではない「心理的な影響」は大きいものだとのこと。ダイエットに失敗した罪悪感やストレスなどの「負の感情」によって過食症を引き起こしやすいことが研究でわかっています。

以上の3つの現象を脳科学的・心理学的な視点から見れば、「人は本質的に高カロリーの食べ物に惹きつけられやすい」ことや、「空腹時ほど高カロリー食品が魅力的に見えてしまう」ことをしっかりと認識することがダイエットにおいて有益かもしれないとQuartzは指摘しています。ダイエットをしているときに起こる脳の働きや心理的な影響を理解しておけば、「誘惑」に直面したときに自分をうまくコントロールしたり、小さなミスをリカバーしたりするのに役立つそうです。