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メルマガ『ジャンクハンター吉田の疑問だらけの道路交通法』の著者で交通ジャーナリストの吉田武さんが、現役の警察官Tさんへのインタビューで「自転車の取り締まり」に関する裏話を暴露する当シリーズ。「パーキングメーターと警察の関係性」について語られた前回に続き、今回は「パーキングメーター内の自転車駐車違反を取り締まれるのか?」という疑問について、他のメディアでは載せられないような裏話を明かしています。

軽車両の自転車はどこまで車両や歩行者と共存できるのか? その9

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吉田:花屋の知人から伺った話なんですけども、店の目の前にパーキングメーターが設置されていたから来店するお客さんが自転車をそのパーキングメーターの白線枠内へ止めて店内へ入ってくることも時折あるそうなんですね。で、その店の周辺は歩道路上問わず自転車の放置駐輪が結構多く、定期的にトラックで業者が自転車の撤去作業に来てると。

そこで、パーキングメーターの白線枠内に料金未納ではありますが、自転車を止めて店内でそのお客さんが買い物していたら、パーキングメーターの白線枠内に止まっている自転車だけには手を付けず、歩道や路上に置いている自転車のみをトラックへ放り込んで運び去っていたらしいんです。1度ならず、今まで3度もそのような状況に遭遇したそうなんですが、もしかしてあのパーキングメーターの白線枠内は大使館のようにクルマやバイクと同じように自転車も”車両”ですから治外法権扱いなんでしょうか?

Tさん:厳密に言うとパーキングメーターの白線枠内に軽車両の自転車を60分間、手数料をお支払いして止めたとしても確か大丈夫なはずです。ですが、そんな奇特な人は少ないと思いますが、一回だけ自転車を駐車していたって人を別の署の人間から笑い話で聞いたことがある程度です(笑)」

吉田:そういえばパーキングメーターの白線枠内って原付バイクなどの自動二輪車も手数料支払えば止められますから、自転車も軽車両という”車両”ですのでお金さえ支払えば止める権利はあるって判断でいいんでしょうか?」

Tさん:まぁバイクが可能ですから自転車だってパーキングメーターに手数料さえ支払えば止める権利はあると私は思います。ただ過去にそのような事例や判例は聞かないので、良し悪しの判断基準はもしかしたらその地区の自治体によって様々かもしれませんけども」

吉田:「クルマもバイクも自転車も”車両”ですし、自転車も300円支払ってパーキングメーターを必要とする時もあるかと思います。急ぎの案件があって路上に自転車をさすがに放置できないって人が空いていたパーキングメーターを利用するとか、現実的にあっておかしくないと思いますよ」

Tさん:「確かにそうですよね」

吉田:「パーキングメーターに問題があるのは、クルマだけに制限されていると世間から思われていることです。知っている人はバイクを駐輪してますが、メーターに書かれている能書きや警視庁のホームページにすら二輪車の使用は記載されていないことです。

僕の考えですと、二輪車は軽くみられているなぁって思うんです。自転車もバイクも。二輪車だとパーキングメーターのセンサーに触れない状態で作動しなかったりする問題があるからだと思いますが、それはメーター自身が古い方式を使っているからであって、駐輪する側にはまったく問題はないと思います。それこそ公安委員会側の怠慢かと」

Tさん:吉田さんのおっしゃるとおりです。パーキングメーターに関しての取り扱いは私たち警察側は関与できないのですが、あの白線枠内から車両がはみ出していたり、60分過ぎても駐車していた場合等があれば駐車違反とかで検挙はできるんですけどねぇ。実は私たちのほうでもパーキングメーターの裏側は知らされていないんです」

吉田:触れられてしまうと何か問題や綻びが出てくるからアンタッチャブルにしているんでしょうね。分かります。そういえば先ほどTさんがおっしゃられた一回だけ自転車パーキングメーターを使用していた事案があったようなお話をされてましたが詳細分かれば教えて頂けませんか?」

Tさん:自転車の前カゴ部分に画用紙へマジックで大きく”300円支払ってこの場所へ自転車を止めているのだから勝手に移動させるな!”と記載したものをぶら下げていたそうなんです。

恐らくこの自転車の所有者の方は、パーキングメーターを使って何度も手数料支払ったうえで駐輪しているのでしょうね。そしてクルマ側からしたら自転車ごときがこんなところに止めるなよなって思いで駐輪していた自転車を移動させるだろうから、それを未然に防ぐ意味でも前カゴへこのようなメッセージボードをぶら下げていたのでしょう。そう考えるとユニークな行為だけども良いアイデアだなぁって思いました」

吉田:ほほぅ。賢いサイクリストもいるんですね。クルマ乗る側からしたらパーキングメーター自転車が駐輪との考えはまったくないので、確かに正直言って駐車したいのに邪魔だなって考えが生じます。しかし、使用できる権利があるのならば話は別。公安委員会はもっとバイクや自転車パーキングメーターを利用できる旨をアナウンスするべきですな。クルマばかり優先させていて不公平ですよ。パーキングメーターの白線枠内であれば撤去作業のトラックからも自転車は守られるし、使わない手はないですね。ただ問題なのは、60分超過して放置駐輪として駐車監視員が駐禁ステッカーを自転車へ貼れるのかっていう部分。どうなんでしょうか?」

Tさん:うーん、これは私でもハッキリとした正解な回答は出せないですが……恐らく駐車監視員はステッカー貼れないと思います。軽車両の取り締まりは任されていないですからね」

吉田:ということは、それこそ駐車監視員を交通監視員へグレードアップさせるべく、彼らの仕事をもっと増やすべきなんですよ。放置駐車するクルマが激減しているからあの人たちは暇していますし、重箱の隅を突くように大して邪魔になっていない場所に置かれている原付バイクや自動二輪車を見つけては駐禁ステッカーを貼りまくっている姿も良くみます。彼らを2時間ぐらい尾行すると動きが良く分かりますよ(笑)」

Tさん:え? 吉田さん尾行したりしているんですか?

吉田:ええ。面白いですよ。後ろから気づかれないよう尾行して駐車監視員は2人でペア行動取らなきゃいけないわけじゃないですか。彼らの会話も聞いたりとかすると、色々分かってきたりします。取り締まりの法則とか暇している話とかね。

(次回へつづく)

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出典元:まぐまぐニュース!