対北朝鮮ビラ

脱北者団体が行っている北朝鮮に向けたビラの散布を巡り、文在寅大統領の発言が波紋を広げている。

韓国メディアは青瓦台(大統領府)関係者の話として、文大統領が、ビラの散布について「偶発的な衝突を引き起こしかねない」と懸念を示し、南北間の軍事衝突を防ぐための規制を検討するように指示したと報じた。

これに対し、野党や一部の脱北者団体は猛反発している。

野党「正しい政党」のイ・ジョンチョル報道官は、「大統領の認識がこの程度とは驚愕し、絶望を感じる」と激しく非難した。

また文化日報によると、実際にビラを飛ばす活動を行っている脱北者団体・自由北韓運動連合の関係者は、「いかなる状況でも、ビラの散布をやめない」と反発し、8月15日前後に北朝鮮に向けて「文在寅大統領の父親は北朝鮮出身の失郷民だが、こんな裏切り者の息子でも大統領になれる自由がある」という内容のビラを飛ばすと予告した。

この団体は、昨年12月に中国吉林省長白朝鮮族自治県から、北朝鮮の恵山(へサン)市にある金日成氏の銅像と普天堡(ポチョンボ)勝利記念塔までドローン2機を飛ばし、北朝鮮当局を激怒させるなど、過激な活動で知られている。

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文在寅大統領の指示に猛反発している野党だが、与党だった時にはこの団体の行動を押さえ込もうとしていた。

韓国軍と警察が「北朝鮮の挑発行為を煽る」という理由で、北朝鮮に向けてビラを飛ばす行為を度々阻止してきたのだ。

北朝鮮は2014年10月、ビラ散布のために飛ばされた風船に北朝鮮側が高射砲を発射。韓国側が応射したことで、短時間ながら南北が銃火を交える事態となった。またその翌年には、対北朝鮮ビラを撃ち落とすための高射銃を追加配備するなど、ビラの散布が軍事的緊張を煽ってきた。

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軍事境界線から程近い韓国・坡州市などの住民は「地域が危険にさらされる」として、こうした活動に反対してきた。2014年5月には、地域住民とビラを飛ばそうとする団体メンバーとの間で激しいもみ合いになるなど、トラブルに発展している。

この団体は「ビラ散布を組織的に妨害しているのは地域住民ではなく、反民族的な親北左派だ」「地域住民は数百人の『プロ市民』に騙されている」などと反発したが、当の脱北者からも批判の声が上がっていた。

北朝鮮は、朴槿恵政権が北朝鮮向けの拡声器放送を再開したことに対して、ソウル首都圏に向けて大量のビラを飛ばしたが、大量のビラが一度に落下して自動車や家屋を破壊するなどの被害を出している。

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一方、韓国のニュース1によると、正しい政党のハ・テギョン議員は、ビラの散布そのものは北朝鮮の人々に外国からの情報を伝える活動で賞賛されるべきとしつつも、場所を事前公開すればリスクを呼ぶとし、規制は事前公開されたものに限るべきと述べている。