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もくじ

ープロローグ

ー意匠と技術
 ★★★★★★★★★☆

ーインテリア
 ★★★★★★★★☆☆

ー動力性能
 ★★★★★★★★★★

ー乗り心地と操縦安定性
 ★★★★★★★★★★

ー購入と維持
 ★★★★★★★★☆☆

ー詳細スペックで学ぶ マクラーレン720S

ーAUTOCARの結論
 ★★★★★★★★★★

プロローグ

今回のロードテストの主役は、新世代マクラーレン初の市販車だ。まったく、なんてことが始まったのだろう。

マクラーレン・オートモーティブのウォーキング本社からは、彼らが650Sの後を受ける720Sを、自社の近代史における最も重要なクルマだとみなしていることを示唆する声が聞こえてくる。

650Sに代わるこれは、マクラーレンのラインナップ入れ替えの先陣を切るモデルで、これを皮切りに2022年までに15車種の新型車を投入すると、マイク・フルイットCEOは語っている。

彼らが設定した大胆な販売目標や、£5000万を投じた新工場は、その野望の大きさを教えている。それゆえ、720Sにかかる期待は大きいものがあるだろう。

コードネームP14こと、この新型ミドスーパーカーは、650Sの開発と並行して計画され、マクラーレンの輝かしいラインナップが備える要素のいいとこどりとなっているのは間違いない。

570GTの使い勝手、675LTのスリル、はたまたハイパーカーであるP1の速さも、そこには共存しているかもしれない。

650Sは、素晴らしくも不完全だったMP4-12Cの発展型であり、後継モデルというわけではなかった。だが、720Sの開発に当たっては、その650Sを出発点に、ボディ構造の再考を含む全面的な見直しが図られた。

モノケージIIと銘打たれた新型のカーボン製シャシーは、キャビンの下側のみを構成した旧来のモノセルに対し、キャビン上部や後部のピラーなども統合され、それを用いた720Sを650Sより軽く、しかも強固にすることが可能だ。また、空力効率は倍加している。

改良されたサスペンション制御システムは「プロアクティブ・シャシー・コントロールII」と呼ばれる。

各ダンパーを統合制御しスタビライザーを不要とするロジックは健在だが、センサー系は大幅に改善された。

新たに採用されたのがバリアブル・ドリフト・コントロールで、これによりテールスライドをこれまで以上に楽しめるようになることが期待できる。

エンジンはV8ツインターボという形式こそ踏襲するが、排気量はこれまでの3.8ℓから4.0ℓへ拡大。多くのコンポーネンツを更新し、車名通りの720psと、78.5kgmを叩き出す。

目を見張るようなスーパーカーが乱立する現代にあって、720Sの価格は、凶暴なまでに痛快で、このクラスを牽引する488GTBすら超える。

そのパフォーマンスの数値は、720Sが挑むべきはさらに上の価格帯のクルマたちではないかとさえ思わせる。

公式なラップタイムの発表はないものの、650Sに対するアップグレードの数々を総合的に考えれば、その速さはマクラーレンP1に匹敵するはずだ。

この£200,000(2838万円)のスーパーカーが、本当に£900,000(1億2769万円)のハイパーカーが蒼ざめるような驚きのパフォーマンスを発揮できるのだろうか? 今回は、それを確かめる絶好の機会だ。

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

エクステリアを、これまでのスーパー・シリーズから明らかに変えたのは正解だ。

12Cにはじまり、650/675へと続いたマクラーレンの中心的ラインナップたるスーパー・シリーズが確立した要素、
・ミドシップレイアウト
・V8ツインターボ
・カーボンモノコック
・ディヘドラルドア
そして手の込んだサスペンションは全て、広範囲にわたり開発しなおされたが、基本的には同じ技術を用いている。

となれば、それが空力的要求によろうが、オトコのコの夢的なものであろうが、既存モデルと全く異なるルックスによる差別化の重要性は高い。

もちろん、変化の多くはマクラーレンらしく、エンジニアリング的な改修の結果か、それを示すためのものだ。

たとえば、ボディサイドから一見してそれとわかるエアインテークが消えたのは、ラジエーターへ気流を導く新たなダクトがドアに組み込まれたからだ。

また、ティアドロップ型のガラスハウスときわめて細いピラーは、新世代のカーボンモノコックの恩恵である。

構造部分をルーフの一部にまで広げたカーボンモノコックは、720Sにおける設計見直しのキモだ。

このモノケージIIが、キャビン部の強度アップをもたらすのは予測できるだろうが、スチール部材の使用比率が減るため軽量化にも寄与する。

重量は18kg削減され、重心高は3%低下した。シャシー面では、フロントのキャスター角とリヤのトー角を拡大し、高速域でのスタビリティを向上。サスペンションは、上下ウィッシュボーンとハブキャリアの設計変更で、バネ下重量を16kg削っている。

こうした見直しの積み重ねにより、720Sはスーパー・シリーズ最軽量の乾燥重量1283kgを達成。全備重量は実測1420kgだったが、これは昨年のテスト時に計測した488GTBのそれより135kg軽い。

しかも、720Sは488GTBよりパワフルだ。ウォーキング筋によれば、今回の4.0ℓユニットは、従来の3.8ℓユニットから40%のパーツを更新。これには軽量化されたピストンとコンロッド、強度を高めたクランクシャフト、新型のターボとインタークーラーなどが含まれる。

排気量拡大は、3.6mmのストローク延長によるものだ。8200rpmで発生する720psのパワーは、1トン当たり500ps以上のパワーウェイトレシオを実現。

トルクは488GTB比+1kgmに過ぎないが、トン当たり55kgmを超える対荷重比は、マラネロ生まれのライバルを大きく凌ぐ。

7段DCTを介し、後輪を駆動するのはこれまで通り。シャシーコントロールシステムも基本的にはキャリーオーバーされ、各ダンパーをアクティブ制御することでスタビライザーを不要としている。

大きく変わったのは制御面だ。各輪3基の計12基が増設されたセンサーからの入力によって弾き出されるアルゴリズムはケンブリッジ大学との共同研究によるもので、ホイールの動きに対して、2ミリ秒以下で分析と反応を完了する。

微細な部分にまでマクラーレンの本職ともいうべきレースに由来するエンジニアリングが詰め込まれているが、彼らは楽しみの部分にも目を向けた。

それが、今回初めてお目見えしたバリアブル・ドリフト・コントロールだ。これはスタビリティコントロールの介入量を可変させ、ドリフトの許容度を調整するもので、フェラーリのサイド・スリップ・コントロールに似たシステムと言える。

インテリア ★★★★★★★★☆☆

このロードテストでは語るべきことが多いので、インテリアの話に多くを割く気はない。

650Sより明らかに改善されたのは乗り込む瞬間にわかり、使い始める瞬間までそう思う、とでもいえば十分、かもしれない。

まず何より、これまでのいかなる市販マクラーレンよりも乗り降りしやすい。モノケージIIの低いサイドシルや広いドア開口部の恩恵もあるが、最大の要因はルーフの切り欠き。このおかげで、リンボーダンスさながらキャビンに潜り込む必要がなくなった。

乗り込んでしまえば、全ては上々。ドライビングポジションは極めてストレートで、ブレーキペダルは理想通りセンターにあり、試乗車に装備されていたオプションのスポーツシートはシートバックが固定式だが、腰をしっかり押し付けて座れば長距離を乗っても快適だ。

そうしても、ステアリングコラムは前後上下とも調整幅が広いので、ステアリングホイールに手が届かない心配はない。リムはフラットボトム部を除けばほぼ円に近く、サイズは完璧だ。

計器盤は全てデジタル表示の新型で、格納機能を備えるが、いささか無駄なギミックに感じられるそれは、このクルマ最大の欠点かもしれない。

インフォテイメントシステムは、これまで使われていた古いIRISシステムよりは年次なりの進歩を遂げ、フェラーリやランボルギーニのそれよりははるかにデキがいいものの、もっと直観的にできたとも思える。

ダッシュボード上のディスプレーで各部のモードを設定するアクティブ・ダイナミクス・パネルはよくできているが、操作は相変わらず複雑に過ぎる。

タイヤ空気圧の警告機能も備わるが、トラックモードでは、よほど低下しない限り、走行中のアラート音は鳴らない。ESCはオフにすることを好まず、ノーズリフトさえあらかじめ注意深く計算しておく必要がある。こうしたエルゴノミクス面が、720S一番の心配の種だ。

動力性能 ★★★★★★★★★★

スーパーカーとは、ハイパーカーとは、はたまたスーパースポーツカーとは何か。その定義付けは多くの議論があるところだが、速さによる区分は明らかだ。

ゼロヨンのタイムであれば、マクラーレンP1やブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツ、ポルシェ918スパイダーといったハイパーカーが10秒台、フェラーリ488GTBやランボルギーニ・ウラカンなど最新のミドシップスーパーカーなら11秒程度、ポルシェ911ターボや日産GT-R、ジャガーFタイプSVRなどのスーパースポーツカーは12秒ほどである。

しかし、このロジックをぶった切ってみせたのが570Sだった。スーパースポーツカーの価格で、スーパーカー並みの加速をしたのである。

720Sもまた同様に、パフォーマンスの段階が予想されるより高い。ベンチマークの再定義が、マクラーレンの新型車が出るたび必要になりそうだ。

720Sのゼロヨンタイムは10.4秒。これは、競合モデルである488GTBの10.9秒より、むしろP1の10.2秒に近い。2名乗車で燃料を満タンにし、往復計測した平均値は、0-97km/hが2.9秒、0-161km/hが5.6秒。

これを488GTBの測定値(3.1秒/6.4秒)と比較すると、スタートから3秒ほどは720Sが488GTBをわずかにリードするのみだが、速度が上がるほどに差は広がる。そして270km/hを超える頃には5秒近くにまで開くのだ。

やがて1マイル、すなわち約1.6kmのストレートエンドに達する前に300km/hを超えるが、その所要時間はP1に対し1秒と違わず、ブレーキングの余地もわずかながら残る。この速さ、これまでの基準通りのカテゴリー分けには当てはまらない。

エンジンはストロークが伸びてもオーバースクエアで、パワーデリバリーはそれを感じさせる。フレキシブルさに欠けることはまったくないが、本気の発進加速を狙うなら、回転を4000rpmに上げておく必要がある。

そうすれば、驚くほど速い。予測しえないほどシームレスかつスムースに、それでもなおドラマティックに、8000rpmオーバーへ猛然と回転を上げていく。

7段のギヤボックスは、低速域ではソフトに変速できるが、トラック・モードで高回転域に入るとそれにこの上ないクイックさが加わる。

Dレンジに入れたままなら、トランスミッションの制御ロジックの改善が感じられるだろう。スポーツ・モードでは、オーバーテイクしようという兆候を感知すると、スロットルペダルを深く踏み始めた途端にギヤを2〜3段落とす。

残念だったのは2点だけ。まずはMP4-12Cのデビューから6年経ったにもかかわらず、ウォーキングはいまだに正真正銘のスーパーカーサウンドを調律できていない。

720Sのエンジンは650Sよりギリギリ、ヒューヒュー、シューシューとにぎやかに音を立てるが、怒れるターミネーターとでもいった雰囲気はそのままだ。豊潤、完備、感動的といった、一流のスーパーカーのエンジンサウンドにつきものの形容詞とは縁遠い。

もうひとつは、カーボンセラミック・ブレーキの利きはじめの食い付きやペダルのフィールがあまりよくないことだ。とはいえ、どちらもクルマ全体の高い完成度からすれば些細な問題である。そのパフォーマンスをひとことでまとめるなら、驚異的というに尽きる。

ドライサーキット

マクラーレン720S:1分6秒1

マクラーレンP1:1分6秒8

T5でハードブレーキングした際の高速安定性は、650Sより優れる。

720Sは、T4を全開で駆け抜けることはできなかったが、ノーズを安定させるのにスロットル調整はほとんど必要ない。

ウエットサーキット

マクラーレン720S:1分9秒2

マクラーレンP1:1分20秒5

バリアブル・ドリフト・コントロールは、T7旋回時に、さまざまな運転の仕方を許容してくれる。

720Sはボディの中ほどを軸に回るように感じられる。その位置は運転席の少し前か、もしくは着座位置と、車体の中心線の交点あたりだ。これが650Sであれば、そう感じられることは決してない。

また、650Sはクルマが運転の仕方を要求してくるが、720Sはもっと寛大で、融通が利き、ドライビングに没頭できる。

アンダーステアは650Sより弱く、方向転換の能力に疑問の余地はない。このクラスで、絶対的に最も俊敏なクルマだ。

スライドは始まりも終わりも、どのようにコーナーへ進入したかによる。ブレーキを残してターンインすれば、リヤの滑り出しは予期でき、何らかの前兆も伴う。

ESCがフルに機能していれば適切な判断がなされ、ハーフに設定すればスリップも許容する。オフならばバリアブル・ドリフト・コントロールがトラクションコントロールのように機能し、辛うじて感じ取れる程度から思わず歓喜の叫びをあげるくらいまで、自由自在に滑らせることができる。

しかし、やはり一番楽しいのは、全てを切った状態だ。たとえそれが、タイム的には最速ではないにしても。

発進加速

テストトラック条件:乾燥路面/気温22℃
0-402m発進加速:10.4秒(到達速度:230.9km/h)
0-1000m発進加速:18.5秒(到達速度:289.4km/h)

マクラーレンP1(参考結果)
テストトラック条件:乾燥路面/気温16℃
0-402m発進加速:10.2秒(到達速度:237.4km/h)
0-1000m発進加速:18.2秒(到達速度:287.3km/h)

制動距離

97-0km/h制動時間:2.44秒

乗り心地と操縦安定性 ★★★★★★★★★★

720Sのステアリングホイールを最初に回した途端、マクラーレンが油圧アシストこそベストだとこだわる理由に気付くだろう。

ロックトゥロックは2.5回転あり、神経質さはまったく感じられず、それでいて十分にダイレクトで正確無比。重さも申し分なく、路面フィールを素晴らしく伝えてくれる。

それにシャシーのほかの部分がきっちり追従するのも、これまでのマクラーレンと同じ。プロアクティブ・シャシー・コントロールは、従来ノーマルと呼ばれたモードが、マクラーレンにとってはノーマルな状態ではないという理由からコンフォートへと名称を変えるなどの変更を受けたが、その3段階中最もソフトなモードでの乗り心地は巧みにセッティングされている。

必要とあればスプリングはソフトに弾み、しかし、より挑み甲斐のある道ではしっかりとしたレスポンスをみせ、いずれの場合でもボディコントロールとロールの抑えぶりはエクセレントだ。

モードをスポーツやトラックへと移行すれば、快適性が多少削られるのと引き換えにコントロール性が高まるが、それでも過酷な道に十分に追従できるしなやかさは持ち合わせている。

コーナー途中でのバンプをものともしないさまは、ちょっと他には見られない。ポルシェ911GT3ならタイヤが跳ねるような場面でも、720Sならば問題ない。サーキットと公道での作動の違いはナノ秒単位の差に過ぎない。

やはり、720Sはこれまでのマクラーレンと同じ路線上にあるクルマだが、650Sよりも、サーキットをぞんざいに走っても楽しめる。

650Sは、アペックスまでブレーキを残すとか、スロットルを一定に保つとか、クルマに適した走り方を求める。それがハマればうまくコーナリングできるが、全てのコーナーに当てはまるわけではないし、そのせいで488GTBほど走りに没頭できないのも事実だ。

あのV8フェラーリのシャシーバランスは、もっと多くの場面で、より幅広い選択を可能にしてくれる。

720Sは、これまでのモデルと同じくLSDを備えないが、今回はついにスロットルで進行方向を調整できるスーパー・シリーズとなった。

しかも、容易に。650Sよりアンダーステア傾向は弱められ、スライドした際には扱いやすく、大きく滑ってもコントロールと予測が簡単。

ブレーキステアの助けで、外輪により大きなパワーをかけてグリップ限界を超えることができるのもあるが、純粋にリヤをブレークさせるだけの絶大なパワーとトルクを備えるのも一因だ。

結局、488GTBはスロットル入力に対するレスポンスがよりダイレクトで、それはシャープなスロットル・レスポンスと、効果的にパワーを後輪へ伝達するeディファレンシャルの恩恵だ。

その点では、より自由で暴力的だ。しかし720Sは、それに近いところにありながら、よりバランスがよく、ロードカーとして夢中になれるクルマだ。

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

£208,600(2960万円)からという価格は、£185,000(2625万円)の488GTBや、£155,000(2199万円)のウラカンより高価だが、£900,000(1277万円ん)のP1に近いパフォーマンスの持ち主としてはむしろバーゲンプライスというほかない。

しかし、所有にかかるコストの総額は、リセールバリューも含めて考える必要がある。現時点ではもちろんデータがないものの、650Sや12Cよりはよくなるだろうと予想される。とはいえ、それでもフェラーリには敵わないだろう。

値落ちを少しでも減らしたければ、適切なオプションに出費するといいだろう。それは、高額なカーボン製アイテムが中心になるが、サーキット専用に使うのでなければ、£2,070のノーズリフターは賢明な選択だ。

標準装備には、カーボン・セラミック・ブレーキや8.0インチディスプレーのナビゲーション/インフォテイメントシステム、フォールディング式計器盤などが含まれる。

試乗車の追加装備は£50,000以上に相当するが、£4,750のスポーツエグゾーストは、装着してもスーパーカーとして満足いくサウンドは得られなかった。

£2,160のトラック・テレメトリー・アプリケーションは、インフォテイメントシステム経由でサーキット走行でのデータを記録するのに必要だ。

720Sにはベースモデルのほか、ヒーター付き電動シートを備えるラグジュアリーと、エアインテークとドアミラーにカーボン製パーツが用いられるパフォーマンスを設定。どちらも価格は£218,020で、それぞれに専用のペイントオプションも用意される。

ラインナップの頂点となるのが、MSOディビジョンが手がけるヴェロシティだ。カーボン製パーツの追加や、のべ300時間を掛ける特別な塗装などにより、£335,000まで価格が跳ね上がる。

スペックで学ぶ マクラーレン720S

メカニカルレイアウト

720Sのカーボン構造体はモノケージと呼ばれるが、その名の通りピラーやルーフの一部がケージのように組まれる。

サスペンションは四輪ともダブルウィッシュボーンで、MP4-12C以来続くダンパー相互リンク制御は進化版に。ステアリングは油圧式を堅持している。

4.0ℓV8ツインターボはリヤミドシップに縦置きされ、後輪を駆動。前後重量配分の実測値は、42:58となっている。

エンジン

駆動方式:ミド縦置き後輪駆動
形式:V型8気筒3994cc
ブロック/ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ93.0×73.5mm
圧縮比:8.7:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:720ps/7500rpm
最大トルク:78.5kg-m/5500rpm
許容回転数:8200rpm
馬力荷重比:507ps/トン
トルク荷重比:55.3kg-m/トン
エンジン比出力:181ps/ℓ

エンジン性能曲線

シャシー/ボディ

構造:カーボンファイバーモノコック
車両重量:1420/1419kg(実測)
抗力係数:-
ホイール:(F)9Jx19,(R)11Jx20
タイヤ:(F)245/35 ZR19,(R)305/30 ZR20
ピレリPゼロ・コルサ
スペアタイヤ:補修キット

変速機

形式:7段デュアルクラッチ
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
3.98/6.12.61/9.41.91/12.8
1.48/16.51.16/21.10.91/26.9
0.69/35.4
最終減速比:3.94:1

燃料消費率

オートカー実測値:消費率
総平均:6.6km/ℓ
ツーリング:8.6km/ℓ
動力性能計測時:2.4km/ℓ

メーカー公表値:消費率
市街地:6.3km/ℓ
郊外:12.7km/ℓ
混合:9.3km/ℓ

燃料タンク容量:72ℓ
現実的な航続距離:475km
CO₂排出量:-

サスペンション

前:ダブルウィッシュボーン/コイル/可変ダンパー
後:ダブルウィッシュボーン/コイル/可変ダンパー

ステアリング

形式:ラック&ピニオン(電気油圧式)
ロック・トゥ・ロック:2.5回転
最小回転半径:12.1m

ブレーキ

前:φ390mm通気冷却式セラミックディスク
後:φ380mm通気冷却式セラミックディスク

静粛性

アイドリング:57dB
3速最高回転時:93dB
3速48km/h走行時:68dB
3速80km/h走行時:71dB
3速113km/h走行時:75dB

安全装備

TCS, ESC, ABS, ブレーキアシスト
Euro N CAP/-
乗員保護性能:成人-, 子供-
歩行者保護性能:-
安全補助装置性能:-

発進加速

実測車速mph(km/h)秒
30(48) 1.5 

40(64) 2.0 

50(80) 2.4 

60(97) 2.9 

70(113) 3.5 

80(129) 4.1 

90(145) 4.9 

100(161) 5.6 

110(177) 6.5 

120(193) 7.4 

130(209) 8.6 

140(225) 9.9 

150(241) 11.5 

160(257) 11.5 

170(274) 15.7  

180(290) - 

中間加速〈秒〉

中間加速mph(km/h)2nd3rd4th5th6th7th
20-40(32-64) 1.7 2.5 6.3 - - - 
30-50(48-80) 1.2 1.8 2.6 3.9 - - 40-60(64-97) 1.1 1.4 2.0 3.0 4.9 8.3 
50-70(80-113) 1.2 1.4 1.8 2.6 4.1 7.7 
60-80(97-129) - 1.4 1.7 2.4 3.7 7.1 
70-90(113-145) - 1.4 1.7 2.4 3.5 6.6 
80-100(129-161) - 1.6 1.7 2.3 3.4 6.1 
90-110(145-177) - - 1.7 2.3 3.4 6.1 
100-120(161-193) - - 1.9 2.4 3.6 6.1 
110-130(177-209) - - 2.1 2.4 3.7 6.4 
120-140(193-225) - - - 2.6 3.7 6.9 
130-150(209-241) - - - 2.9 3.9 - 
140-160(193-257) - - - 3.4 4.3 - 
150-170(241-274) - - - 4.4 4.8 - 

最高速

AUTOCARの結論 ★★★★★★★★★★


「あまりにも完璧で、
 ライバルを圧倒するほど刺激的。
 何より、途轍もなく速い」

720Sは、われわれのロードテストの標準的な物差しをことごとく無視するクルマだった。

ゼロスタートから3秒かからずに97km/hへ達し、1マイル以内で300km/hを突破。113km/hからのブレーキングでは40m以下で停止し、ドライサーキットでのラップタイムは、コンマ数秒ながら記録を更新した。

まったく途轍もないクルマで、その速さをはじめとする能力は前代未聞のレベルにある。昔ながらの意味合いでなら、喜んで「スーパーカー」と呼べる類のクルマだ。

そして、その言葉の意味するところが、今日でも少しも変わっていないなら、やはりそう呼ぶにふさわしい。

720Sのクラス水準を超えるパフォーマンスは、ライバルより素直で、進歩的ながらも扱いやすくマイルドな乗り心地とハンドリングといった、公道上での能力の広さと優れた使いやすさに、従来のいかなるマクラーレンをも凌ぐサーキットでの限界時でも寛大なハンドリングが加わって生まれるものだ。

ここで、ひとつの結論が導き出される。スーパーカー・クラスにおける、フェラーリ488GTBの治世は終わった。驚くべき幕切れだ。Bの治世は終わった。驚くべき幕切れだ。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

もしもトラック・モードに設定してエンジンをかければ、720Sは軍隊のセレモニーで打ち鳴らされる号砲のようなサウンドを轟かせる。個人的にはたまらなく好きだ。

マット・プライヤー

ラゲッジコンパートメントの開閉に、安全装置的なキャッチはいらない。ボタンを押したら開いてくれればそれでいい。

オプション追加のアドバイス

そのままでも最高だが、軽量化のために高価なカーボン製パーツを取り付けるか否か悩む余地はある。日常遣いを考えれば、ノーズリフト代の£2,070と、360°パーキングカメラ代の£2,480は支払う方が賢明だ。

改善してほしいポイント

・インフォテイメントシステムの改善を。あと、おもちゃっぽい格納式ドライバーズディスプレーはなくして、固定式のメーターパネルにしてほしい

・エンジンのサウンドを、そのパフォーマンスと同じくらい気分を盛り上げるものにしてほしい

・ブレーキペダルのフィール改善を。制動力は申し分ないが、ペダルにはわずかながら遊びがある。