新開発のモスアイ構造のスチールウールによる擦過試験の画像。左が新開発されたもので、擦過後も構造へのダメージが少ないことが分かる。(画像:東京理科大学発表資料より)

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 東京理科大学とオーテックス社の共同研究グループは、新しく開発した樹脂を用いて「モスアイ構造」を転写することに成功した。既存のモスアイ構造フィルムは、繊細な構造体であって触ると壊れてしまうために大型ディスプレイの表面などにしか使用することができなかったが、今回開発されたものは、強靭で、防汚性があり、また汚れがふき取りやすいことから、タッチパネル用反射防止フィルムとして利用可能だという。

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 モスアイとはモス・アイ、つまり「蛾の眼」という意味である。蛾の眼は反射が少ない、ということからその構造が発見されたことでこの名がある。数百ナノメートル程度の直径の、円錐状の形状をしており、反射防止効果を持つのだが、ナノ単位で構成される微細構造であるため、人間が触った程度の刺激で壊れてしまうという性質があった。

 また、指紋が付いてしまい、ふき取ることができないというのも問題であった。しかし逆にいえば、その問題さえクリアできれば、撥水性が極めて高いという特徴などもあり、スマートフォンなどのタッチパネルのマテリアルとして、有望であるのもまた事実であった。

 そこで今回、東京理科大学が特許を保有する技術でモスアイ構造の金型原盤を作成し、ナノインプリント技術を用いて転写を行った。新開発のUV硬化性樹脂によって作成されたモスアイ構造は、スチールウールによる擦過試験に耐え、指紋のふき取りも容易であった。

 このモスアイ構造の今後の利用法としては、スマートフォン、タブレットなどの表面の保護、視認性向上フィルム、あるいは太陽電池表面における反射防止目的での活用などが考えられるという。

 今回開発された製法は、「反射防止構造体及びその製造方法並びに光学部材の製造方法」の名で、特許出願されている。