(写真提供=SPORTS KOREA)ペ・サンムン

写真拡大

現地時間で8月10日から始まった男子プロゴルフの「全米プロゴルフ選手権」。日本では松山英樹のメジャー初制覇に大きな期待と関心が集まっている。

韓国でも松山の存在は広く知られており、ゴルフメディアの『マニアリポート』は「松山、日本人初のメジャー優勝への期待」と題した記事を報じている。

同メディアは「東洋人初の世界ランク1位等級に対する期待を一身に集めている」と、松山への期待の高さを紹介していた。

韓国メディアは以前にも「松山英樹について私たちが知らなかったこと」と題した特集記事を組んでいるが、昨今の活躍もあって松山をローリー・マキロイ、ジョーダン・スピアーズと並ぶ優勝候補の一角に挙げているところもあるほどだ。

そんな韓国メディア発のゴルフ情報をチェックするなかで、うれしいニュースを見つけた。

日本ツアー賞金王・アメリカ2勝の男

「男子ゴルフ皇太子の帰還、ツアー復帰のカウントダウンへ」(『韓国プロゴルフ協会』)

あのペ・サンムンがいよいよ帰ってくるのだ。

ペ・サンムンといえば、2011年に日本ツアー賞金王に輝き、2012年から主戦場にしたアメリカ(PGA)ツアーでも2勝を飾った男。日本でいうところの石川遼や松山英樹のような存在である。

だが、2015年冬に兵役法違反容疑で故郷・大邱(テグ)の南部警察署から告発され、それを不服として行政訴訟を起こすも敗訴。2015年11月から現役兵として兵役に就いていた。

かつて“韓国男子ゴルファーのなかで最もマスターズ優勝に近い男”とされた彼が、クラブの代わりに銃を握ることになったこのニュースを記憶しているファンも多いことだろう。

そんなペ・サンムンが無事に兵役を終えることになった。

マネージメント事務所であるオール・ザッツ・スポーツ社が明らかにしたもので、8月16日に除隊するというのだ。

実はペ・サンムンのその後については、筆者も気になっていた。

日本でプレーしていた頃に何度かインタビューに応じてくれたこともあるが、現役バリバリの、しかも世界で活躍するトッププロである彼がどんな思いで兵役生活を送っているか気になって、今年5月には韓国プロゴルフ協会(KPGA)に問い合わせてみた。

「サンムンの件はいろいろともどかしい部分もありましたが、国が定めたルールなのだから仕方がありません。彼も受け入れ、元気に兵役を務めています」

そう言ってペ・サンムンの近況を教えてくれたのは、KPGAのオ・ヨンソク次長だった。

兵役でどんな生活を送っていたのか

オ次長によると、ペ・サンムンは部隊でも模範兵として評判だという。

射撃の腕前はかなりのもので、一日の軍務が終わるとウェイトトレーニングに励み、休暇が取れると練習場やゴルフ場で打ち込みもしているとのことだった。

「入隊前は兵役について悩み過ぎて円形脱毛症にまでなったそうですが、今では自分よりも年下の上官たちともうまくやっているそうです。階級社会の軍生活にも慣れ、“ゴルフに必要な忍耐力も鍛えられた”と話しているとか。除隊は今年8月になりそうです」(オ・ヨンソク次長)

その言葉通り、8月16日に兵役を終えることになったぺ・サンムン。

オール・ザッツ・スポーツ社によると、すでに復帰戦も決まっているとのこと。まずは9月14日に仁川(インチョン)で行われる韓国ツアー「新韓東海オープン」で復帰するという。

来季からツアー生活を再開予定

そして、10月には渡米し、PGAツアーの2017-2018シーズン開幕戦となる「セーフウェイ・オープン」から本格的にツアー生活を再開させるらしい。

今回の「全米プロゴルフ選手権」はもちろん、PGAの今季残り試合でもその姿を見ることはできないが、「兵役生活を通じて、ゴルフに臨む態度が変わった。本当にゴルフがしたかったし、フィールドが恋しかった。少しでも早く優勝したい」と意欲を見せているペ・サンムンには期待せずはいられない。

ちょっと気が早いかもしれないが、今から来季が楽しみにもなってくる。

ちなみに今回の「全米プロゴルフ選手権」に韓国からエントリーしているのは、21歳10カ月で今年の「ザ・プレーヤーズ選手権」を制したキム・シウや、2016年ヨーロピアンツアー新人王のワン・ジョンフンなど、計7人。
(参考記事:男子ゴルフも韓国勢が席巻中。彼らはなぜ日本に来たのか

そのなかには日本でもお馴染みのキム・キョンテやソン・ヨンハンも含まれている。

来季はペ・サンムンもそこに加わることになるのだろう。

ペ・サンムンは2015年の「プレジデントカップ」で世界選抜に選ばれ、大会3日目には松山英樹と“日韓コンビ”も組んでいる。もしかしたら兵舎で除隊の日を心待ちにしながら、「全米プロゴルフ選手権」に臨む松山にエールを送っているかもしれない。

そうあってほしいと、強く思う。

(文=慎 武宏)