(写真提供=SPORTS KOREA)TWICE

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【前回】K-POPアイドルグループ“多国籍化”の光と影特有のリスクとトラブル

最近、K-POPアイドルグループでは、TWICEの「ミサモツ」を筆頭に外国人メンバーの活躍が目立っている。K-POPが日本をはじめ海外で関心を集めている一因は、外国人メンバーの存在にあるという評価も多く見られる。

もっとも、当然ながら外国人メンバーたちは、「ホーム」の韓国でも韓国人顔負けの活躍を見せている。その実力は、韓国メディア『文化日報』が「韓国語がうまいばかりか、韓国的情緒まで習得している」と絶賛しているほどだ。

いったい、こうした外国人メンバーたちはどこで発掘され、どのように“K-POPアイドル”に育てられているのだろうか。

徹底的な調査に基づいた現地オーディション

外国人メンバーを見つけ出す最もポピュラーな方法は現地オーディションだという。TWICEやGOT7が所属するJYPエンターテインメントのキム・サンホ広報理事は次のように語る。

「海外で短期間のうちに才能ある人材を発掘するために、最低でもオーディションを開催する3カ月前から、人口分布と芸能スクールの現状、地域別の養成所と若者のイベントなどを徹底的に事前調査します」

つまり、現地オーディションは明確な目的を持って計画されているということだ。キム広報理事は「この15年間に行った海外オーディションで蓄積されたビッグデータの分析が重要」とも説明しており、ある意味、外国人メンバーの選抜はオーディションの計画段階ですでに始まっているとも言えるだろう。

もちろん、直接スカウトを行う場合もある。例えばTWICEの日本人メンバーであるミナとサナは、ショッピングをしているところをスカウトされてオーディションを受けているし、同じく日本人メンバーのモモはYOU TUBEにアップしたダンス動画がスカウトの目にとまって練習生になっている。

一方で、ある芸能プロダクション関係者によれば、志望者が自ら韓国に赴くパターンもあるそうだ。その数は「全体の30%程度」だという。

外国人を「韓国化」させる方法

こうして発掘された“原石”たちは、いわゆる「芸能人ビザ」と呼ばれるE-6ビザ(芸術興行ビザ)で韓国に入ると、第一に「韓国化」を求められるという。

韓国の芸能界では、グローバルに活躍するためにはまず韓国でスターにならなくてはならないと考えられているためだ。

具体的には、寮生活を行いながら、韓国語の習得はもちろんのこと、韓国の食習慣や礼儀作法まで管理されるそうだ。

BLACK PINKのタイ人メンバーであるリサの例を見ると、最初の2〜3年は毎日韓国語の授業を受けたのだという。そして他のメンバーとも韓国語でコミュニケーションを取り、韓国の慣習や情緒を染み込ませていったそうだ。

実際、デビューしてからも韓国の慣習に動揺する外国人メンバーもいるため、この特訓は重要だと言える。

例えば2PMのタイ人メンバーであるニックンは「先輩後輩の厳格な上下関係はタイにはない文化」であり、「デビュー初期には自分がもしかして生意気なことを言っているのではないか、礼儀に背く行動をしているのではないかと常に気を使った」と語っている。

ちなみに外国人メンバーたちは、意外にもテレビを見て勉強することも多いらしい。前出のキム広報理事は「ドラマや芸能プログラムを見せて実生活でも使える言語の習得を促した」と証言する。その中で時代のトレンドや流行語も習得できるというわけだ。

政治的トラブルを防ぐ特訓

さらに現在は、前回紹介したような政治的トラブルを避けるための練習にも力を入れているそうだ。ある音楽プロダクションの関係者はこう話す。

「外国人メンバーをデビューさせる前には、歴史の教育や様々なインタビューに対応する練習など、レッスンをより集中的に行っています」

また、元SUPER JUNIORのハンギョンと元EXOのクリス、ルハン、タオのような脱退や事務所との争いを回避するためにも「(韓国人メンバーよりも)気を使って接しているのも事実」だそうで、「韓国人メンバーたちは家族や友人たちに会おうと思えば会えますが、外国人メンバーはそうではないので、ちゃんと(グループに)馴染めるよう、特にきちんと管理している」のだという。

外国人メンバーたちは、こうした「特別レッスン」だけでなく、韓国人メンバーと同様に歌やダンスのレッスンもこなしており、この生活を平均3〜4年、長くて6〜7年続けてやっとデビューできると言われている。もちろん、デビューまでたどり着けない練習生も少なくない。

こうして見ると、外国人メンバー加入に伴う事務所と本人の苦労が伝わってくるが、それでも多国籍化が進められていることは、メリットの大きさを示しているとも言える。

ただ、だからといって韓国のアイドル業界は闇雲に外国人メンバーを増やしているわけではないようだ。次回はK-POPグループが多国籍化をどこまで進めるのか、現状と展望を探ってみたい。

(文=李 仁守)