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もくじ

ー子どものころに夢見た「エボVI」
ーアクセルペダルを蹴飛ばそう
ーコーナーだって「巻きつくように」

子どものころに夢見た「エボVI」

わたしがまだ子どもだった頃に、三菱ランサー・エボリューションVIのロードテストの記事を読んだことがある。

張り出したボディ、スープボウルのようなフォグライトに挑戦的なリアスポイラーがわたしを魅了し、果たしてその見た目に対してどんなクルマなのか気になっていた。

「道路を走るとシートバックに背中を打ちつけられるような感覚である」というレポートだったことを覚えている。

その当時のわたしには、それが実際どんなものなのか想像することができなかった。そして、そのパフォーマンスを自身で体験したいと思うようになり、ランエボVIはわたしの最も欲しいクルマとなったのだった。

子どもの頃のヒーロには会うべきではない、と言う人もいるが、わたしは18年越しの思いを果たした。

しかもいま自分の目の前にとまっているのは、その三菱ランエボVIなだけでなく、トミ・マキネン仕様の1台だ。

さっそく乗ってみようではないか。

アクセルペダルを蹴飛ばそう

エンジンは優しいストリングスのように始動し、穏やかに始動する。ラリーでの偉業とは裏腹に、街中での印象はとても快適だ。

しかしそれは高速道路に出た途端に一変する。スピードを上げる瞬間は、まるでスタートレックのワンシーンのよう。

宇宙船がぎゅっと縮んだ後に引き伸ばされて、閃光と共に消えていく、あの感じ。それがランエボVIで感じたことだ。

アクセルペダルをフロアにめがけて蹴飛ばせば、強烈な加速とともに、みぞおちの辺りが締めつけられる感覚がある。

そう、背中はシートバックに強烈に押し込まれる。もっと言えば、ヘッドレストから頭を浮かすのに背筋には力が入り、何とか顔を持ち上げる頃には、ランエボVIは爆弾でも内蔵していたかのように、加速していく。

0-100km/hの加速は印象的なのだが、ターボブーストが効き出す前の3000rpm以下の回転数では、エンジンは眠ったままだと言うことは、忘れてはいけない。

コーナーを曲がるときも同様だ。

コーナーだって「巻きつくように」

トラクションとグリップ力は非常に高いのだが、現代の4WDとは別次元の経験となる。

ワインディングを攻めれば、まるでプロのダンサーのように立ち振る舞い、その正確な足さばきのように車体をコントロールしながら、非常に早いペースで突き進んでいける。

その時、前後のホイール間で駆動力が移っていく感覚を感じ取ることができる。

コーナーでスロットルを踏むと駆動力はリアに移動し、まるでカーブに巻きつくように向きを変え、エイペックスにより近づくようにリアホイールも操舵される。

コーナーを信じられないような速度で抜けるために、全ての力を路面に伝達することが許されているかのようだ。

ランエボVIなら、大陸間の移動も驚異的なペースで行える。多くの現代のハイパフォーマンスモデルでも同様のことは言えるが、これほど鮮やかな体験までには達していないだろう。

貧祖なダッシュボードのデザインやステレオについては、目をつぶって欲しい。

この当時の伝説は、今も確かに生き残っているのだ。ヒーローを手にしてみてはいかがだろう? 

きっと後悔はしないはずだ。