Jリーグでは3年間で15試合しか出場していない。U-20ワールドカップのイタリア戦でドリブルからスーパーゴールを決めたとはいえ、「まだあまりプレーを見たことがない」というサッカーファンもまだ多いはずだ。
 
 ここで堂安のプレースタイルに触れてみる。ガンバユース時代は、左利きで同じくフィジカルが強い同ユース出身の家長昭博(現・大宮)2世と噂されていた。密集地帯でパスを受けて、味方をつかったワンツーなどで状況を打開するプレーを好む当たりは香川真司(ドルトムント)とも近いが、相手DFをはじき飛ばすようなフィジカル面での力強さは、本田圭佑(パチューカ)をイメージさせることもある。
 
 もちろん、香川のようなゴール前での冷静さはまだ備えていないし、本田のように相手DFを背負ってのプレーは得意ではない。しかし技術×パワーという、両面に強みを持っていることは確かだ。本人は理想の選手にリオネル・メッシ(バルセロナ)、そしてパウロ・ディバラ(ユベントス)を挙げており、ストライカー周辺でのプレーを好む傾向にある。
 
 実際、アルゼンチン人プレーヤーが見せる重心の低いドリブルから、ひらめきにあふれたシュートやパスにつなげるプレーを得意としており、彼らに通じる部分はある。
 
 それでも若く才能にあふれた攻撃的な選手が、守備面でのデメリットのためにスタメンの座を奪えないという例は、世界中のサッカーシーンで無数に存在する。堂安にとってG大阪の先輩に当たる宇佐美も、やはり守備の弱さを指摘され、昨季のブンデスリーガでは苦戦していた。
 
 しかしJリーグでその壁にぶち当たり、乗り越えてきた堂安の中で、今や守備の不安は大きくないはずだ。自らボールを奪い取り、そしてゴールへ向かう。無限の可能性を秘めた19歳の挑戦が、いよいよオランダの地で始まる。
 
文:金川誉