JA直売所 売上高10億超39店 所得向上に寄与 9割 本紙調査

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 売上高10億円を超えるJA直売所が2016年度は全国で39店に上ることが、日本農業新聞のJA直売所アンケートで分かった。推定売上高5億円以上のJA直売所133店に郵送し、110店から回答を得た。10億円以上の大型店は、愛知、愛媛がそれぞれ4店と最も多く、神奈川、和歌山、沖縄が各3店で続いた。売上高が最も多いのは、福岡県JA糸島の「伊都菜彩」で40億7200万円。20億円台は、和歌山県JA紀の里の「めっけもん広場」、愛媛県JAおちいまばりの「さいさいきて屋」など5店あった。

 今年6月から7月にかけて調査した。売上高、品目割合、開設年、来客数の他、直売所の設置効果や課題(複数回答)を尋ねた。

 5億円以上の店舗数は、関東、東海がそれぞれ25店と多かったものの、東北から九州まで満遍なく分散していることも分かった。

 販売品目は、野菜が34%で最も多く、果物14%、花き10%を合わせると6割を占めた。特に、都市部は野菜の販売が多く、花きは東海、関東、近畿などの花産地が強く、果物は東北のリンゴ、西日本のかんきつ産地などで割合が高い。

 直売所の効果について聞くと、「生産者の所得向上」(90%)「生産意欲の向上」(80%)「地域消費者に好評」(72%)を挙げている。直売所が、生産者の所得向上につながることによって、意欲を高めるという効果が表れている。さらに消費者に貢献している姿も浮かぶ。

 課題について聞くと、「出荷者の高齢化」や「売り上げの維持・拡大」が多く、特に開業してからの年数が長い直売所ほどその回答が目立った。「品ぞろえの確保」「品不足時期の解消」などの回答も多く、品ぞろえが大きな課題となっている。対策として半数の店舗が「提携直売所仕入れ」、4割が「集荷便の運行」に取り組んでいることも分かった。

 開設は、1990年代に愛知県を中心とした直売所ブームに起因。2003年のJA全国大会で直売所設置の促進を決議してから、加速した。回答を得た110店舗も、12年までの10年間で7割の74店が誕生していた。