ジャパンディスプレイ(JDI)の経営再建策が発表され、有機ELの開発を加速させる旨の発表がなされた。しかし、バラ色の未来が待っているとは思えない Photo:REUTERS/AFLO

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JDI経営再建策に見る
「有機EL」加速の懸念

 中小型液晶大手・ジャパンディスプレイ(JDI)の経営再建策が発表され、外部資本の導入や有機ELの開発を加速させる旨の発表がなされた。

 外部資本の導入は正しい。エレクトロニクス産業は国際分業が進み、20世紀のように自社囲い込みの垂直統合型産業だけが優位性を持つ時代ではなくなった。しかもJDIは規模の面で大きいというわけではないので、開発はJDI、大きな投資が必要な生産については資金が潤沢な中国や台湾の企業と組む、というのは悪くないだろう。しかし、今さら有機ELにシフトするのはいかがなものだろうか。

 筆者はこれまでも安易な有機EL採用については疑問を呈してきたが、ジャパンディスプレイの現在の立ち位置と持っている資産、市場の環境を考えた場合、どうしても有機ELにバラ色の未来が待っているようには思えないのだ。

 もちろん、有機ELにもメリットは多くある。発色の良さや黒色の再現性など画質面での優位性がある。しかし、液晶に比べて温度変化に弱い、相対的に輝度が低いことに加え、寿命や焼き付きなどの課題が残されている。有機ELが新しい技術だから必ず液晶よりも優れているとは言えない。プラズマディスプレイも液晶よりはるかに新しい技術であったが、液晶テレビに駆逐されてしまった。

 今日、世間的に有機ELが注目されている理由は、ソニー、パナソニック、東芝といった日本のテレビメーカーが相次いで大型有機ELテレビを発売したこと、アップルがもうすぐ発表すると見られるiPhoneに有機ELを採用するということなどだ。おそらく後者が、より強い期待感を醸し出したのだと思われる。

 しかし、1つめの大型有機ELについては、JDIがやろうとしている小型有機ELとは大きく異なる話である。大型有機ELパネルは現在韓国LG電子のみが生産していて、日系メーカーの有機ELテレビはいずれもLG製のパネルを用いている。

 一方、スマートフォンで採用されている有機ELは現在のところサムスン電子のみが生産をしていて、アップルにもサムスンが供給している。大型と小型では技術的に相違点が多く、生産上の課題も異なり、どちらか一方ができたからといってもう一方ができるという話ではない。なので、将来的に大型テレビの需要が見込まれるからといって小型有機ELに手を出しても、意味がないのである。

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