【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮中央通信は11日、論評で、トランプ米大統領の対北牽制発言を「虚勢にすぎず、危険な戦争火遊びだ」と批判した。

 金正恩(キム・ジョンウン)政権は国民らを動員、国連制裁決議を非難した政府声明に対する支持集会を相次ぎ開催させており、制裁が権力基盤を直撃することへの焦りも透けてみえる。

 論評は、トランプ氏が「深刻な政権危機を免れる活路を朝鮮半島に求めようとしている」と指摘した上で「第2の朝鮮戦争挑発は決して活路を開いてくれないだろう」と非難した。

 朝鮮中央テレビは10日深夜、「反米対決戦の最後の勝利を必ず遂げる」と軍人らが政府声明への支持を表明する集会のもようを伝えた。

 9日にも平壌市民10万人余りが参加したとする支持集会が開かれ、警察に当たる人民保安省幹部による集会も10日に開催された。

 北朝鮮は「正義の行動に移る」と表明した7日の政府声明をはじめ、対外機関や軍による対米非難声明を乱発。韓国大統領府高官は「北が制裁決議に過敏に反応している」とし、米領グアム沖へのミサイル発射計画も「内部結束を図るため」だとの見方を示した。

 昨年3.9%の経済成長を記録するなど、経済は比較的堅調に推移してきた。だが、今回の国連制裁は、主力の石炭などの全面輸出禁止を定めており、実行されれば、輸出総額の3分1が削られると予想される。

 経済への打撃が顕在化すれば、金委員長の権力基盤が揺るぎかねない。国民に支持集会を強いる背景には「あくまでトランプ政権の圧迫政策のせいだ」と前もってすり込む意図がうかがえる。同時に、制裁で財政が窮迫する前に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を完成させ、トランプ政権に譲歩を迫る“時間との戦い”にもせき立てられている。