米シカゴ市警、犯罪予測プログラム「Hunchlab」により凶悪事件を減少。過去データから「犯罪が発生しそうな地域」を巡回


米シカゴ市警察がサウスサイドにて犯罪予測システムを導入し、凶悪事件が激減した成果を発表しました。米ロイターによると、今年1月から7月にかけて、シカゴ全域で殺人事件が前年同期より3%増えた中で、この地域では発砲事件が39%、殺人事件が33%減って34件になったとのこと。

今回シカゴ市警で試験運用されているシステムは、ベンチャー企業Azavea社の犯罪予測システムHunchlab。1日内の時間や季節ごとの周期、天候や地域経済、過去の犯罪データなど様々な要因から犯罪の一定のパターンを見出すもの。

サウスサイド警察本部の管理室では、コンピュータアルゴリズムがデジタルマップ上に、次に犯罪が発生しそうな地点を表示。この技術は同州の計3つの地区で運用され、発砲事件は15%〜29%、殺人事件は9%〜18%減少したとのこと。

こうした改善努力は、今年1月に米司法省が、シカゴ市警において人種差別的な捜査を容認するなど「体系的な欠点」があると指摘した報告書が発表されたことに対応した動き。6つの地区において約600万ドルを投入した実験のうち、一つの成果であるとされています。

サウスサイドはブルースやジャズの本場という輝かしい過去の一方で、ここ10数年ほどで社会の崩壊が進み、暴力事件は増加の一途を辿っていた地域です。外務省の海外安全ホームページ情報でも、特に治安が悪いとされ、「用もないのに立ち入ることは絶対に避けてください」と警告されていました。それだけに、今回の成果は大きな前進と言えそうです。

シカゴ市警がコンピュータの力を借りる試みは、実は今回が初めてではありません。2013年からビッグデータ解析により銃器犯罪のリスクが極めて高い人物のリストを作成したものの、リストに含まれている人とそうでない人との間に、銃器犯罪に関わる有意な差は存在しないことが判明。

どうやら現場の警官はリストにある人物を先に逮捕しようとするため、リストにないグループとの犯罪関与率に差がなくなってしまった......ということで、改善の余地ありとされていました。Hunchlabの運用は、そうした反省の上にあります。

犯罪予測システムは、今ではアメリカにおける有望なベンチャー分野の一つ。他にもカリフォルニア州のサンタクルーズやジョージア州のアトランタではPredpol社が開発したアルゴリズムが運用されています。

Predpol社のシステムは、地震の発生パターン研究で培った成果を犯罪予測に応用したもの。地図上に表示された「四角に囲まれた地域」を重点的にパトロールすることで、確かな成果を挙げています。

Predpol

映画『マイノリティ・リポート』のように「犯罪をやりそう」な人を特定するのは無理そうでもあり、人権侵害に繋がる危険もあります。その一方で、犯罪発生率マップを見て市政をテコ入れする『シムシティ』政治は実現するかもしれません。