Doctors Me(ドクターズミー)- 急増するマダニ感染症!刺された時の症状と危険から身を守る予防対策

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2017年7月24日、厚生労働省は野良猫に噛まれた50代の女性が、マダニ噛まれ感染する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」を発症し死亡したと発表しました。(参照)


 


8月に入ってからもマダニ感染症が過去最高で増加の勢いをみせ、東日本へ拡大しているとのことなので、引き続き注意が必要です。(参照)


 


今までにマダニから感染するといったことはあまり聞かれなかったため、露出が増える夏に、どう対処して良いか不安に感じる人が多くいらっしゃると思います。


 


今回は、マダニ感染症の原因、万が一発症してしまったときの対処法、予防法など医師が解説します。


 



 


 


マダニ感染症とは 


 


マダニはダニの一種ですが、いわゆる布団の中にいるダニとは異なり、3〜8伉度あるため目で見て発見することができます。マダニは人間、動物の血を吸って生きていますが、その際に血液中のウイルスや細菌を感染させることをマダニ感染症と言います。


 


マダニ感染症の種類


ダニが媒介する感染症には、下記のようなものがあります。


 


・クリミア・コンゴ出血熱


・回帰熱


・ダニ媒介脳炎


・ライム病


・重症熱性血小板減少症候群(severe fever with thrombocytopenia syndrome:SFTS)


 


クリミア・コンゴ出血熱や回帰熱は海外で主に見られる比較的珍しい病気ですので、以下は重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について主に述べていきます。


 


 


SFTSの感染経路 

ダニに感染している犬


 


SFTSウイスルを持つマダニ


SFTSは、SFTSウイルスを持っている動物や人を刺して血を吸ったマダニに刺されることで感染します。


 


すべてのマダニがこのウイルスを持っているわけではなく、たまたまウイルスを持つ動物を刺していたマダニだけがこのウイルスを持っています。


 


SFTSウイルスに感染しても、動物には特に症状がない場合が多いとされています。


 


■ 過去にSFTSウイルスが検出された動物例


・シカ


・イノシシ


・タヌキ


・アナグマ


・アライグマ


・ウサギ


・イタチ


・ペットの犬や猫


 


SFTSウイスルを持つ人や動物の血液


 ウイルスを持つ患者や動物の血液に触れたことで感染したと思われる例もあります。飛沫感染や空気感染はしないと考えられています。


 


  


SFTSの症状 

 


 


マダニに刺されてから6日〜2週間程度で下記の病気に似た症状が現れます。


 


・発熱


・だるさ


・食欲低下


・嘔吐


・腹痛


・下痢


・頭痛


・筋肉痛


・風邪


 


進行した場合の症状


進行した場合、下記のような症状が現れ、最悪の場合死に至る可能性があります。


 


・けいれん


・呼吸不全


・歯茎からの出血


・下血


 


 


SFTSの死亡例


 


SFTSウイルスは2011年に発見されました。SFTSによる死亡例は国内では2013年に初めて報告され、以後毎年60名前後の患者が報告されています。


 


しかし、インフルエンザやウイルス性胃腸炎など多くの病気と似た症状を示し、「この検査がこういう結果ならばSFTSである」という簡単な診断法がありません。


 


そのため2013年以前にもSFTSによる死亡例はあったが診断がついていなかった可能性も大いにあり、最近になって急激に増えている訳ではないと思われます。


 


 


SFTSの検査 


 


血液検査


一般的な血液検査を行い、血小板や白血球の減少、肝機能の数値の異常が見られた場合はSTFSが疑われますが、すべての異常が一度に現れるわけでもありません。


 


また、患者がマダニに刺されたことに気がついていないと診断が難しくなります。マダニは血を吸うときに、蚊と同じように麻酔作用のある液体を注入するので、刺されても気づかない場合もあります。


 


ウイルス検査


ウイルスを直接検出する検査は保険適応の一般的な方法の中にはないため、保健所を通じて国立感染症研究所などの専門機関に依頼して行う必要があります。


 


 


SFTSの治療法


 


特効薬的な薬はなく、症状に応じた治療を行っているのが現状です。インフルエンザに使用される抗ウイルス薬を実験的に使うこともありますが、確立された治療法ではありません。


 


 


マダニの生息地

市街地


 


マダニ自体は日本全国に分布しており、特に野生生物が生きているような環境にいますが、市街地周辺でも自然が豊かな環境であれば見られる可能性があります。


 


 


マダニに刺された場合の応急処置  


 


皮膚に取りついているマダニを見つけた場合、取り除こうとしたときに虫の一部が皮膚の中に残ることがあり得るので、皮膚科・外科・救急科などを受診して虫を除去してもらった方が良いとされています。


 


衣服に付着しているのを見つけた場合は、ガムテープなどで取り除きましょう。


 


 


マダニ感染症に注意が必要な人 


 


緑の多い場所で作業する人


下記の場所で作業をする場合は誰でも注意が必要です。特に春から秋にかけてはマダニの活動が盛んになるとされているため注意が必要です。


 


・林


・山


・庭


・畑


・牧場


 


高齢者


一般的に高齢者は重症化しやすいと言われています。


 


 


マダニ感染症の予防対策 


 


虫よけ剤


マダニを寄せ付けないようにするために、DEETやイカリジンといった成分が入った虫よけ剤が有効と考えられています。


 


肌を露出しない服を着る


マダニのいそうな環境に行くときは、サンダル履きは避け、靴下・長ズボン・長袖を着るようにしましょう。


 


また、ズボンのすそを靴下に入れるなどして、肌を露出しないようにしましょう。


 


明るい色の服を着る


マダニが取りついたら見分けやすいように明るい色の服がよいとされています。


 


家に入る前に全身を確認する


作業後は衣服を家に入れる前にマダニがいないか確認しましょう。


 


入浴する


入浴して全身を観察し、マダニがいないか目視で確認しましょう。


 


ペットにダニ駆除剤を使う


イヌやネコが散歩中にマダニに噛まれることも考えられますので、ダニ駆除剤を使うと良いとされています。


 


ペットにダニが付いていないか確認する


散歩後は毛に櫛をかけてダニがいないか確認すると良いでしょう。


 


 


最後に医師から一言


 


マダニではありませんが、ダニの一種のツツガムシという虫がいます。この虫に刺されると高熱を出すことは古くから知られており、「道中つつがなく」という言葉はこの虫の名前から由来していると言われています。


 


自治体が行っている調査によれば、マダニがSFTSを保有している可能性は低いようですが、山や森で活動をする場合は、ダニ除けの薬や服装を整えるようにしましょう。


 


(監修:Doctors Me 医師)