マツダが、ガソリンと空気の混合気をピストンの圧縮によって自己着火させる燃焼技術(圧縮着火、Compression Ignition)を世界で初めて実用化させた次世代ガソリンエンジン「SKYACTIV-X」を2019年から採り入れると発表。その2日後の8月10日、架線の下を行く蒸気機関車+客車+ディーゼル機関車のSL大樹が走り始めました。

マツダのSKYACTIV-Xは、「ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの特長を融合した、新しいマツダ独自の内燃機関であり、優れた環境性能と出力・動力性能を妥協なく両立」した次世代ガソリンエンジン。従来の自動車用ガソリンエンジンは、ガソリンと空気の混合気をを圧縮、スパークプラグで点火、爆発させて回転力を得るという仕組みです。

これに対しSKYACTIV-Xは、スパークプラグの点火がなくても、ピストンの圧縮によって自己着火できる「圧縮着火」を可能とさせ、従来モデルのSKYACTIV-Gに比べて10%以上、最大30%におよぶ大幅なトルク向上を実現。さらにエンジン単体の燃費率は最大で20〜30%程度改善し、「走りと燃費を高次元で両立」したモデルです。

こうしたガソリンエンジンでありながら、ディーゼルエンジンのような“点火要らず”で走るエンジンが自動車の世界で動き始めましたが、鉄道の世界のエンジンは……!?

◆ガソリンエンジンが再び搭載される時代がくるか

非電化区間で走る車両は、蒸気機関車のあとを継いだディーゼル機関車や、動力分散化の流れで生まれたディーゼルカーと呼ばれるように、ディーゼルエンジンが主役。ガソリンエンジンを採用した車両も1920年代から登場しましたが、船舶で実績のあるディーゼルエンジンが経済性やパワーなどで優れるということで、ディーゼルエンジンが台頭し始めます。

鉄道省や国鉄の時代につくられたエンジンは、ディーゼルのD、ガソリンのGを頭文字に、DMやGMから始まる型式名がつけられました。ガソリンエンジンの「GMF13」や、DE10に搭載される「DML61ZA」といった具合です。

このGMやDMのあとに続くアルファベットは、エンジンの気筒数。FはAから6番めなので6気筒、DMLのLはAから12番めで12気筒という具合。そのあとの数字は排気量(リットル)で、例えばDML61Zは、ディーゼルエンジン、12気筒、61リットル、インタークーラーつき、と。

8月10日のSL大樹運行初日は、C11形207号機のドラフト音に加え、14系客車 スハフ14 5 の床下に備わる発電用ディーゼルエンジンDMF15HZ-Gや、DE10形1099号機のDML61ZAのカラカラカラという音が聞こえてきました。

JRの非電化区間では、ディーゼルエンジンで発電し電気モーターで走る車両や、パンタグラフからバッテリーに充電し電気モーターで走る非電化向け電車も登場。アイドリングや走行時の音も、従来の気動車より静かになりました。

ハイブリッド車や電気自動車が注目される自動車界で、新たな圧縮着火ガソリンエンジンで世に問うマツダ。こうしてガソリンエンジンが進化をとげていくと、やがて鉄道の世界にも、ガソリンエンジンが採用される時代が、再びやってくるかもしれません。