お金に苦労せず、幸せに生きていくことを目指す【脱貧困診断】。今回の相談は、吉川美沙さん(仮名・IT関連会社勤務・31歳)からの質問です。

「会社員のアラサーです。ふるさと納税について、教えてください。一人暮らしなので、肉や米など特産物をもらっても……とは思うのですが、パソコンやiPadが返礼品になっているところもあるし、気になります。また、社会貢献して、こちらにもお得になるならやってみたいです。ふるさと納税に向いている人、向いていない人というのはありますか? 」

2000円の負担で、返礼品としてそれ以上の価値のあるものがもらえるならお得、という考え方もできるふるさと納税。でも、もともと欲しいもの、生活に必要なものでなければ、その2000円もムダ遣いとなるのでは? と思ってしまいますよね。ふるさと納税は、どんな人に向いているのでしょうか。森井じゅんさんに聞いてみましょう。

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ふるさと納税に向いている人3パターン

「どんな人がふるさと納税向いているのか、とのご質問ですが、ズバリ所得の多い人・収入の安定している人・時間のある人です。
ひとつずつ、説明していきましょう。

【所得の多い人】

前回お話したように、ふるさと納税は地方自治体への寄付金です。所得等に応じた上限額の範囲内であれば、2000円を超えた部分は所得税・住民税から全額控除されるというものです。

そして高所得の方ほど、ふるさと納税により税金が全額控除になる金額が大きくなります。

例えば全額控除になる金額の目安ですが、年収200万円の独身の方であれば、2000円の自己負担で1万5000円まで寄付でき、1万3000円税金が控除されます。一方、年収600万円だと、自己負担2000円で7万7000円まで寄付でき、控除になるのは、7万5000円です。

年収200万円と年収600万円で比較すると、年収600万円のほうが、6万2000円、全額控除の上限が高いということです。

また、受け取ることのできる返礼品は、寄付金が大きくなれば返礼品も多く、あるいは高額なものとなることが多いです。

【収入の安定している人】

そもそもふるさと納税で控除されるのは、寄付を行なった年の税金です。今年の分の上限額は今年が終わってみないと分からないのです。

自営業の方や、収入が月ごとに大きく変わるような給与形態でお仕事をされている場合に、年の途中に上限額を把握するのは難しいでしょう。

前年の年収から控除の上限額を想定し、ふるさと納税を行なってみたものの、冬のボーナスが出ず最終的に年収・所得が減ってしまった場合。想定年収の限度額ギリギリまで寄付していたために、自己負担が2000円を超えてしまった…なんていうこともあります。

転職などをした場合にも、年収が想定と異なることが多いので、要注意です。

また医療費控除など、税金に影響するものは、ふるさと納税の税金の控除額にも影響してきます。

そもそもふるさと納税は寄付金であり、いくら寄付するか、という上限金額はありません。つまり、控除金額が自分の考えていた額より少なくなったとしても、「応援したい自治体に寄付ができお礼の品をもらえる」という事に変わりはありません。でも、自己負担は2000円で、できるだけ多くの返礼品を、と考えている場合には、期待外れになってしまう可能性もあります。

ふるさと納税をしていて、「たった今、全額控除の上限を超えました!」とは誰も教えてくれません。年末になって、やっぱり寄付を返してくださいと言ってもそれは無理です。

2000円の自己負担にこだわるのであれば、自分の上限額はいくらになるのか自身で見極めながら、寄付金額を決めてくださいね。

【時間のある方】

ふるさと納税のポータルサイトなどを見てみると、本当にたくさんの返礼品が並んでいますね。しかし、人気の返礼品を出している自治体へのふるさと納税は、いざ申し込もうとしても欲しいと思ったお礼品が品切れになっていることも多いです。気に入った返礼品や寄付金の使い道をチェックし、さらに品切れになっていない自治体を探すためには、ある程度の時間がかかるでしょう。

一度品切れになっても、しばらく期間を置いて「再入荷」されることもあります。人気の返礼品を手にするためには、こまめにサイトをチェックする必要があります。

せっかくお礼の品をもらったからには、しっかり楽しみたいですよね。ここにも、「時間の余裕」が必要です。

たとえば、魚介類などの生ものは、タイミングよく受け取らなければせっかくの特産品が無駄になってしまうことも。「寄付した自治体から特産品が届いたものの、その時期は仕事が忙しかったり外食が続いてしまったりで、まるで楽しめなかった」なんていう声もききます。相談者さんは一人暮らしとのこと。返礼品の受取りについても、申込前にしっかりプランを立てて下さいね。また、冷蔵庫や冷凍庫の場所の確保もきちんと考えてから申し込みましょう。

お米やお肉も同様です。相談者さんがどの程度自炊をするか分かりませんが、お得だから、という理由だけで申し込むと冷蔵庫や冷凍庫の肥やしになってしまうことも。自分が楽しめるもの、楽しめる量を考えてみてください。

高額返礼品狙いのふるさと納税は、自己負担額が2000円以上になる場合も

相談者さんは、パソコンやiPadなども気になっているようですね。

総務省の通知により、換金性の高いものや電気・電子機器などの資産性が高いものは控えるよう通知が出されていることもあり、パソコンやiPadなどを返礼品とする自治体は減少しています。今後もこの傾向は続くでしょう。また、取り扱いを続ける自治体でも品切れとなっていることが多く、申し込むことの難しい返礼品のひとつといえます。

そして、こういった返礼品の寄付金額はかなり大きくなってしまう、ということも覚えておいてください。2000円の自己負担では収まらないケースもあります。

10万円の寄付にiPadの返礼品が対応していることが多いですが、10万円を2000円の自己負担で寄付できるのは、独身の場合、ざっくり見積もって700万円以上の年収の方です。パソコンとなれば、さらに大きな寄附金額に相当します。

自己負担がどれくらいになるのかも考えて、寄付先や寄附金額を決めてくださいね。

「お得」という言葉に惑わされて、本来の目的を忘れないようにしたいもの。モノよりも体験型の返礼品もあります。



■賢人のまとめ
ふるさと納税に向いているのは、ズバリ所得の多い人・収入の安定している人・時間のある人です。高額商品の返礼品は寄付額も高くなります。年収により、自己負担額が2000円で収まらないこともあるので、要注意です。

■プロフィール

女子マネーの達人 森井じゅん

1980年生まれ。高校を中退後、大検を取得。レイクランド大学ジャパンキャンパスを経てネバダ州立リノ大学に留学。留学中はカジノの経理部で日常経理を担当。

一女を出産し帰国後、シングルマザーとして子育てをしながら公認会計士資格を取得。平成26年に森井会計事務所を開設し、税務申告業務及びコンサル業務を行なっている。