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もくじ

ーそもそもシトロエン2CVとは?
ーインテリアのチェック項目
ー腐食についても押さえよう
ーあらためて2CVをドライブ
ー2CVの模範解答 「買い」の1台
ー総評 2CVを買うならば…
ーちょっと待って! 2CVの代わりも

そもそもシトロエン2CVとは?

デザインのどこをとっても革新的であること。それが、ピエール・ブーランジェが経済性と利便性の両立を狙って開発した2CVの特徴、いや特長だ。

空冷2気筒でディストリビューターもないため、製造コストも維持費も安い。

そのうえ軽量ホイールやフロントのインボードブレーキによってダイエットした抑えめのばね下重量と、互いに作用し合って独立懸架式に近い機能をもつ連結式のホリゾンタルコイルスプリングを用いているため、これまでに製造された中でも最も快適なクルマのひとつでもある。

ラック&ピニオンのステアリング、4速ギアボックス、個別に制御可能な換気暖房システム、ラジアルタイヤ、油圧ブレーキは、当時、同時代のクルマの先を行っていた。

車内から調整できるヘッドライトビームや、走行速度に比例して作動速度の変わるワイパーを持つ2CVのイノベーションは、今考えても未来的といえるだろう。

発表されたのは1948年だったが、開発自体は戦前から始まった。41年間生産され続けたが、英国で販売されたのはロンドン近郊のスラウ工場で製造されていた1953年から61年にかけてと、74年以降だけだった。

タルボット出身の優秀なエンジニア、ワルテル・ベッキアが設計した小さく頑丈な水平対向2気筒エンジンは、当初、ボアもストロークも62mmの375ccだったが、やがてオーバースクエアの602cc(74×70)に変わっている。

インテリアのチェック項目

大半のエコノミーカーと違い、2CVは室内にゆとりがあり、大きな荷物を載せるときやピクニックの時にリアシートを簡単に取り外せるのも、2CVのアイコニックな部分である。

コンポーネントが軽量で構造もシンプルなため、ファクトリーではなく、自宅でもレストアができるのは大きな魅力。大半の2CVはプラットフォームシャシーが交換されているのをご存知の方も多いのではないだろうか。

亜鉛メッキで保護すれば完全に錆を防ぐことができるのはもちろんだが、よくメンテナンスをすればメッキ保護でなくとも十分である。

ちなみにボディは溶接して補強してある部分が多いことをお忘れなく。

もし錆を見つけたら安易にパテで塞ぐのではなく、きちんと溶接されているかチェックしよう。あとは水が浸入した跡がないかもチェックした方がいいだろう。

腐食についても押さえよう

フロントガラスのシーリングゴムやエアベントのフラップシールから水が侵入するのはよくあること。水はフロアとシャシーを徐々に腐食させる。

特に後期モデルは、侵食してから10年もしないうちにフレームが腐食してしまう場合がある。中でもポルトガルで生産されたものは、後期のモデル(フランスで製造されたもの)ほど錆に弱い。

極端な場合、構造部品が折れ曲がり、フロントフェンダーの後ろからボンネットのヒンジにかけてパネルに亀裂が入ることもある。

だが、これを修復すると、パネルに三角の膨らみができてしまうというリスクもある。この状態のクルマを手に入れたら、かなりの出費を覚悟した方がいいだろう。決してそのままの状態で走らせてはならない。

と、ここまで些か警告文が長かったような気もするが、2CVを所有することは、両手を広げて温かくを迎え入れてくれる、世界中のエンスーたちの巨大ファミリーに仲間入りする権利を手にすることと同じである。

ファミリーの一員になれば、あらゆる方向から救いの手を差し伸べてくれるはずだ。もう、ひとりで悩む必要はない。

あらためて2CVをドライブ

コンディションの良い2CVは、(定期的に使用している場合)すぐにエンジンがかかり、走りは滑らかで、音もびっくりするなほど静かだ。

このクルマにはパワーという言葉は似合わないが、2速と3速を行き来すれば、100km/h程度で巡航することも可能である。できないときには、どこかに異常がある、と思うのがいいだろう。

整備記録簿を見て、駆動系と構造に十分なメンテが施されてきたことを確認しよう。2CVには、気温が10°C以下になったら取りつけ、15°C以上になったら外す、(スポットの開口部に取り付けられているような)グリルマフが用意されている。

これが付属しているかどうかも事前にチェックしておいた方が良いだろう。続いてエンジンに関する話。ヴィザの652ccのエンジンは耐久性に劣るため、これに交換するのはおすすめしない。

もっとパワーが欲しければ、スパローが開発した、BMWのオートバイ用のRシリーズ水平対向気筒エンジン(71〜127ps)を2CVに搭載するためのキットが£700(9万円)で販売されている。

ただしエンジンを手に入れるのにもっと費用がかかり、強力なギアボックスも必要になることはお忘れなく。ブラシの摩耗を除けば、ダイナモは劣化する部分があまりない。

また他の電気系統もシンプルだが、最近のコイルは昔の物ほど質が良くないのでこちらも注意が必要だ。タイヤに関しては£40(5000円)のトヨータイヤかナンカンの135×15は魅力的な選択肢だ。

ただし、ミシュランXの125サイズの方が長持ちし、見た目も良いのは確か。サスペンションのノイズは、シリンダーに植物油を差し、ナイフエッジにグリースを塗ることで解消できるので、そこまで恐れる必要はない。

2CVの模範解答 「買い」の1台

製造年:1990年
走行距離:6万3284km
売手:パシフィック・トレーディング(サセックス州パルバラ)
よい点:コンディションのよさ、走りのよさ、手の届きやすさ、価格
わるい点:無残な大型スピーカー

こぎれいなこの2CVは最近、日本から輸入されたばかり。オリジナルのシャシーがそのまま使われているが、まったく錆びていないようだ。

モンローダンパーも真新しく、コンバーターなしのエグゾーストも新品である。ボンネットに石が当たってできた窪みや、リアフェンダー前方のブローインエリアの傷など、いくつかの欠陥を除けば、ボディの状態は良好だ。

ボンネットとスカットルの裏面も塗装されている。オフサイドのシルストリップが少し凹んでいるが、些細な傷であり、この価格では問題にならない。

タイヤは溝がなくなり、スペアタイヤのカバーもこれまでに見たことがないものだが、ロールバックルーフはとても良好な状態である。

水平対向2気筒エンジンは電子点火装置と電動燃料ポンプが装備されている。スターターもそんなに古くはなさそうだ。緻密なアースの配線がされているが、この辺りは日本人のこだわりなのだろう。

日本語から英訳された細部にまで至る整備明細も付いている。インテリアはきれいだが、ダッシュボードの下から最近のカーステレオが突き出し、ドアカードが大型スピーカーを取り付けるためにカットされている。

ギアノブはアフターマーケット品で、エグゾーストの過熱警告灯ももちろん、オリジナルにはなかったものだ。エンジンのかかりは良く、コンディションの良い2CVらしく気持ちよく回る。ギアとのシンクロも力強く、ブレーキの作動にも無理がない。

燃料計以外の小さな邪魔にならないメーターであるバッテリーメーターも正常のようだ。2017年1月までの車両保険と、走行距離6万3138kmと記入された輸入関連書類、ハンドブック(日本語)、カバー、グリフマフが付属する。

総評 2CVを買うならば…

個性的で華があり、楽しい2CVは、フランスやイタリアの競合車が失敗してきた分野で大成功を果たし、エンスーの心をガッチリと掴んだ。

そのため、元々は大衆車であった2CVが今ではかなり値上がりしてしまった。維持費が安いと高を括っていると、レストアに思わぬ出費を強いられることがあるので気をつけた方がいい。

ポンコツが、アンダーシールとぴかぴかの塗装で化けていることもあるので、それにも注意しよう。買うときには慎重に!

よい点

・燃料代を含め、維持費が安い
・個性的でチャーミング
・全てのパーツが手に入る(ただし値上がりしつつある)
・クラブやスペシャリストの素晴らしいサポートが得られる

わるい点

・あまりにも腐食しやすい
・性能が厳しく制限されている
・厚塗りのポンコツがかなり多い
・以前ほど買い得でなくなった

ちょっと待って! 2CVの代わりも

フィアット126

排気量500ccですっきりした126は大ヒットした。1977年に600から650cc、87年には水冷700ccにエンジンが拡大され、装備も改善された。

錆びこそ最大の敵。

ルノー4

ルノー初の前輪駆動車4は、2CVに対して、明確かつ緻密に計算された対抗策で、2CVのアイデアが合理化されている。

ハッチバックを追加し、気筒数も4つに増え、水冷になり、トルクも頼り甲斐がある。ただ、このクルマも錆びやすいのでご用心。