インターネット上で話題の「文字の入っていないモノ消しゴム」の開発経緯を取材した。

文字なし「モノ消しゴム」が登場

文具メーカー大手のトンボ鉛筆は8月18日に、「文字なし『モノ消しゴム』」を発売する。

すでに販売するトンボ印のみを刻印した「モノマークシート用<無地>鉛筆」と併せて、文字なし文具をシリーズ化するという。

提供:トンボ鉛筆

1969年発売のロングセラー商品

MONO(モノ)消しゴムは、1969年発売のロングセラー商品。

当初は67年発売の最高級鉛筆「MONO100」のオマケとして誕生したが、よく消えると評判になり2年後に製品化した。

「トンボ鉛筆」Press release

IRORIOでは以前、長く愛される商品になった背景を取材している。

MONOというブランド名には「唯一の」という意味を込めていることや、見た目はそのままだが中身は時代に合わせて改良を重ねている話などを紹介した。

〇鉛筆のオマケだった『MONO消しゴム』が、50年も愛される人気商品になったワケ

受験生のために開発

文字のない消しゴムは、センター試験の受験上の注意に「試験会場での所持品や服等に文章や英文字等がプリントされたものを制限する表記」があることから、文具選びに苦慮している受験生に対応して開発したという。

企画開発を担当したマーケティング本部プランニンググループの吉田奈々さんが質問に答えてくれた。

--「文字が入っていない消しゴムが欲しい」という要望はあったのでしょうか。

毎年、受験シーズンが近付きますと「市販の文房具を試験会場に持ち込んで大丈夫ですか」、「なにも書いてない白スリーブの消しゴムは販売していますか」といった問い合わせがお客様相談室にあります。

SNSで「試験 鉛筆 文字」のキーワードで検索すると、多数の「受験上の注意」が現れます。(消しゴムはこれまでなかったため)主に鉛筆に係る質問や助言が多いのがお解りいただけると思います。このネット状況から受験生が所持品にとても神経質になっていることがうかがえます。

商品は2個入り。試験会場では文具の貸し借りを禁じており、受験生は消しゴムを机から落とした場合の予備用として2個持参することが一般的なため、この販売形態にしたという。

提供:トンボ鉛筆

「色彩商標」が発売を後押し

--文字を無くすことについて、反対意見はありましたか?

先行して無地鉛筆を発売しており、消しゴムでも受験用の文字なしの構想は進めていました。

「色彩のみからなる商標」を申請した後の審査段階でも「消しゴムモノ文字なし」のプロジェクトは進行していましたが、第一号の色彩商標(2017年3月10日)を登録できたことが、発売を大いに後押ししてくれたのは事実です。

「トンボ鉛筆」Press release

--無地鉛筆の売れ行きは?

2015年10月に当社のモノマークシート用鉛筆を一新しました。

文字表記のあるものも表記は「MONO marksheet」だけに絞り込みました。同時にトンボマークのみの無地のマークシート用鉛筆も発売しました。

全種販売は計画通り推移し、社内的に評価されています。なお、センター試験の受験生が約60万人で、マークシート用文具の市場規模はほぼこの受験人口に依拠しており、ヒットといった表現は使いにくい状況です。

「トンボ鉛筆」プレスリリース

主流はキャラもの→穏やかな色調に

近年は、小学校入学の際に学校から「無地の文房具」を持ってくるように指定されるケースも多いという。

--受験生に限らず「無地の文具」のニーズが高まっているのですか。

ノンキャラクターという意味ではおっしゃる通りです。当社の製品でいいますと「かきかた鉛筆」など穏やかな色調の学習文具が現在の主流です。

かつてはディズニーや人気アニメといったキャラものが人気でしたが、勉学に集中できるようにとノンキャラ文具を持つよう促す先生や保護者が増えています。

提供:トンボ鉛筆「かきかた鉛筆」

ユーザーに寄り添ったモノづくりを

文字なしモノ消しゴムの発売はネット上で話題になっている。

「ロゴなしでもMONOと分かる」「これはいい」「色だけで分かるブランド力。凄い」「素晴らしい」「オシャレ」「欲しい」「シブい」と絶賛されている。

--ネット上で話題になっていますね。

皆さんが気がかりだったことを解決できたことに喜びを感じています

現役の受験生、すでに大学に進学している学生、かつてを懐かしく思う社会人、それぞれが所持品のことで思い悩んだことがあって、「消しゴムモノ文字なし」を目にして皆さんが歓迎してくれたことがうれしいです。

提供:トンボ鉛筆

--文具を開発する上で大切にしていることを教えてください。

ユーザーに寄り添ったモノづくりをしていきたいと思っています。お相手を思いやる力、気持ちを感じ取る力を磨いていきます。

トンボ鉛筆の文具は、ユーザーに寄り添って進化を続けていた。