これまでのKalafinaの特徴とも違った、新たな1曲になったと話す「百火撩乱」をリリースしたKalafina

 3人組ボーカルユニットのKalafinaが9日に、21枚目のシングル「百火撩乱」をリリース。2008年にシングル「oblivious」でデビューして以降、クラシックとロックやポップスを融合した独自の音楽性で、海外でも人気が高い。今作「百火撩乱」は、和の優美さと力強さを兼ね備えた楽曲で、「壮大なものやダークファンタジーといった、これまでのKalafinaの特徴とも違った、新たな1曲になった」と話す。どんな想いでこの歌を奏でたのか? また、3人を楽器に例えるとしたら? 収録曲制作秘話など話を聞いた。

「漢」ではなく優美でシュッとした男性のイメージ

Wakana

――「百火撩乱」は、TVアニメ『活撃 刀剣乱舞』のエンディングテーマで話題ですね。まず、笛の音が入っていて、その印象が全体を決めている感じがしました。

Keiko 和の縦笛のように聴こえるかもしれませんが、実はフルートです。様々なレコーディングやライブに参加してくださっている、フルート奏者の赤木りえさんに吹いていただきました。

Wakana 刀をテーマにしたアニメ作品のタイアップということで、自然と和というイメージで全員一致していました。Kalafinaの曲には、NHK『歴史秘話ヒストリア』のテーマ曲など壮大な印象の曲と、ダークファンタジーのテイストを持った印象の曲が多いのですが、この曲をいただいた時は、そのどちらとも違う新たな1曲だなと思いました。

――サビ前からスッと流れるようにサビに入っていく感じが、とても爽快で気持ち良いですね。どんなイメージを持って歌われたのですか?

Wakana 私としては、言葉に重みを持たせたくて。ただ力強いだけではない、叫びと言いますか。スピード感よりも、重たくどっしりと地に足を付けて、刀を振りかざして行くような気持ちでしょうか。その表現はとても難しかったのですが、この曲にはそうさせるパワーがあると感じました。

Keiko 登場人物は男性がメインなので、歌詞に男らしさがあって、自分の感情を飲み込んで冷静に進んでいくような、男性的な力強さがあるなと思いました。

 フルートの妖艶でドラマチックなイントロから始まり、重厚感のあるドラムのグルーヴを感じながら、凛とした芯のある声にしたいと思いました。そして、言葉が流れていかないように一つひとつの歌詞から情景が浮かぶイメージで、感情を荒ぶらせるのではなく、常に冷静にありたい、と意識して歌いました。これは曲のいたるところに作用していて、MVでも身振り手振りをあえてしない、そういうシンプルなものになっていますね。

Hikaru 「守る」という言葉が歌詞にあるのですが、アニメ自体は歴史を守るという内容なので、そこに信念が感じられるように、「守る」という言葉を大切に歌いました。

 登場人物である刀剣男子たちの姿や想いを想像して歌っているのではあるけれど、同じ男でも「漢」ではなく、優美でシュッとした男性のイメージですね。刀のシャープさや切れ味の鋭い感じの美しさ、艶やかさを表現しています。

――『活撃 刀剣乱舞』には、武将や偉人の刀や武器が、人として顕現したキャラクターが登場します。Kalafinaのみなさんが、もしも何かから実体化したのだとしたら、何だと思いますか?

Keiko  Hikaruは、真っ直ぐ伸びたエッジの効いた声が印象的だから何だろうな…。

Wakana ロマンチックにもロックにもなれるし。

Keiko シンプルに考えたらエレキギターかな!? 派手だし、尖ってるし、目立つから(笑)。

Hikaru じゃあ、私はエレキギターで!

――では、Keikoさんは?

Hikaru チェロでしょう! 深みと温かみがあって、響きもそうですし。

Keiko 実際にアコースティックコンサートでチェロと同じコードを歌う曲があって、自分のロングトーンからチェロの音色に自然とバトンタッチ出来るように意識したりもするので、チェロと言ってもらえるのは嬉しいし、しっくりきますね。

Wakana チェロは、下支えもするし、ソロも行けるし。何より目立ちますしね。

――では、Wakanaさんは?

Hikaru ハープかな? でもハープよりは、もうちょっとパワーがあると思います。

Wakana 確かにそうかも。

――チェロとハープの二重奏に、Hikaruさんのエレキギターが、ギャーンと加わる、と。確かにKalafinaは、クラシカルな感じとロックな感じの両面がありますからね。

Keiko まさしくそういう感じだと思います。

Kalafinaは汽車だと思います

Keiko

――カップリング曲の「カンタンカタン」は、不思議な曲ですね。擬音が出てくるところとか、汽車が題材になっているのもあって、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を思い出しました。

Hikaru なるほど。擬音についてですが、個人的には、言葉ではあるけど、あえて意味を深く考えず、音として表現しました。絵の入っていない額縁と言いますか、枠組みはしっかりしているけど、中身は考えないという感じで。

 たとえば、「空っぽ」と「カラッポ」というふたつの表現が出てくるのですが……「空っぽ」は、意味をすごく考えて。でも「カラッポ」はカタカナなので、発する音を意識して歌うという感覚ですね。

――同じ言葉で、両方の表現が混在しているので、独特の不思議な感じが出ているのですね。

 Hikaru そうですね。きっとカタカナだからこそ、次に出てくる「時間」とか「軋む」という言葉が生きてくるとも捉えられます。

――どこか牧歌的な雰囲気もあるのも、この曲の魅力ですね。

Wakana メロディが、どこか懐かしく切ない思い出を甦らせるような雰囲気があります。でも歌詞では、今の自分はこうなりたいというものをしっかり見つめている部分があるので、すごく明日を感じる曲だと思います。なので、務めて明るく歌おうと思いました。

 前に進むことの象徴として、汽車という表現がぴったりだと思います。決してそんなに速いわけではないけど、でもしっかりと進んでいる。そんな感覚だと思います。

Keiko 音楽は、聴いた時の状況に合わせて、いろいろな作用を及ぼしてくれるもので。「カンタンカタン」をいただいた時は、私たち自身ツアーもあってせわしない時期だったのですが、一瞬フッとリラックスさせてくれる感覚がありました。そういうテンポ感やグルーヴ、響きという、音楽でしか得られない癒やしが、この曲にはあると思いました。

 例えば主人公が、人生とかその日1日とか、自分自身を振り返りながら、「じゃあ次はどうしようか」と思いながら、この汽車に乗っているんだろうな、と想像が浮かびます。なので、ちょっとした休憩ソングのような雰囲気もあるなと思います。

――Kalafinaにとっての、ツアーというものとも重ねられますね。みなさんは、新幹線でビュンって感じでしょうけど。

Keiko いえ、けっこう汽車だと思いますよ。1年1年積み重ねて来て、7年目にしてやっと武道館でしたから。自分たちの活動のペースもどちらかと言えば汽車のイメージです。

――ちなみに、どんな汽車なんでしょうね。

Keiko そんなにくたびれてもなくて、でもそんなに洗練されてもなくて。きっとたくさんの人を運んだんだろうなという、イメージはありますね。Kalafinaの音楽で繋がったお客様と出逢う為に走り続ける列車でありたいですね…老若男女、いろんな方が乗っているイメージです。

――車内販売なんかは、あったりしますか(笑)?

Wakana どうでしょうか(笑)。ただ各々がいろいろ持ち込んで、対面して座る4人がけの席で、知らない人同士がお裾分けしあったりしているみたいな感じでしょうね。でも駅弁と温かいお茶は、売っている気がします。

一発録りでライブ感のあるレコーディング

Hikaru

――そしてもう1曲の「とんぼ」は、ピアノと3人の歌だけによる曲で、秋の季節を先取りした雰囲気ですね。

Keiko この1枚で少し統一された季節感があって、ちょっともの悲しい感じがありますね。

 いつもは、明るい感じ、強い感じ、切ない感じと、違ったテイストがバランスよく散りばめられているのですが。今回は、珍しくどれももの悲しい雰囲気があって。でも、秋を想像させる季節感とも合っていて、Kalafinaとして新しい1枚になりました。

Hikaru 私は、8ミリ映画のような、カタカタ鳴りながら映写されるような、ノスタルジックなイメージを持ちました。普段歌う時は、登場人物になって歌うことが多いのですが、この曲は、登場人物を外から見て、その様子を歌っている感覚です。無声映画の字幕の文字を歌っているイメージですね。

Keiko  ピアノと声だけで作る時は、声の音色をどれくらいの明るさとか、どれくらいの暗さに持って行くかで、言葉の響きが変わって来ます。「僕らはふたりでふさぎ込むことにした」という最後の1行は、すごく悲しい終わり方なのですが、悲しげな曲にはしたくないと思いました。それで、そこまで深くない低音の歌唱法にすることで、「ふさぎ込む」というちょっと悲しみを帯びた言葉が、何か特別な空間のように聴こえると思います。

――レコーディングは、どんな雰囲気でしたか?

Keiko 今回は、一発録りでした。ライブやレコーディングで弾いていただいているピアニストの櫻田泰啓さんと私たち3人で、それぞれブースで分かれてはいるけど、お互いのブレスを聴きながら歌いました。前の人が歌ったテンポ感を自分が引き継いで、場面展開する自分の役割りもあったり、自分の持ち場とみんなの空気とで作っていった感じです。

――事前に綿密な打ち合わせをやったり?

Keiko 今回は打ち合わせなどはせずレコーディングブースに入り、「じゃあやってみよう」って、すぐに。

Wakana 曲をいただいたのも、レコーディングの直前くらいだったので。いつもライブでお世話になっている、ピアニストの櫻田さんとで、ツアー中でもあったので、すごくライブ感のあるレコーディングになりました。

――あと、9月末に「日光東照宮 五重塔前」で、10月には「興福寺 東金堂前庭」で、世界遺産劇場御奉納公演が。

Wakana 興福寺は、お能とか古典芸能の公演はあったそうですけど、こういったJ-POPのアーティストがやるのは初めてだそうです。やっぱり気持ちが引き締まりますね。

――スピリチュアルな場所なので、その場所から受ける何かがありそうですね。

Keiko 絶対にあると思います。旅行で高千穂峡に行った時は、日本神話の神々が眠る場所で、そこだけ気温が低くてとても神聖な空気を感じました。世界遺産の場所には、いろんな神様や歴史が眠っているので、特別な「気」で満ちていると思います。神聖な空気を吸いながら、きっと今までとは違った野外ライブになるんじゃないかなと、楽しみです。

 そして今回は、ストリングスとピアノの編成で、世界遺産で歌う特別な野外ライブですので、どんなハーモニーが生まれるのか、神聖なる美しい空気をたっぷり深呼吸して歌いたいですね。虫の音や夜空、緑から溢れるマイナスイオンと香り…。とても楽しみです。

――そういう場所って、街の雑踏の音とかは聞こえないものですか?

Wakana 多分聞こえないんじゃないかと思います。そういう場所って、あるものなんですよ。

Keiko 都心の愛宕神社も、一瞬閉鎖された空間のようになっていますからね。ちょっと小高くなって木々があるだけで、すごく静かですし。ああいう空間は、何かに守られているのだと思います。

Wakana 以前に「far on the water」という曲のMVを高いビルの上で撮ったのですが、その日は雨が降っていて。屋上から街並みを眺めたら、神宮外苑だけが霧に包まれていて。まるで、何かに守られている感じでした。

Hikaru 私は高所恐怖症なので、その時は見られなかったですけど(笑)。でも、確かにそういう場所ってありますよね。

(取材=榑林史章)

◆Kalafinaとは? Wakana、Keiko、Hikaruの3人からなるボーカルユニット。作曲家=梶浦由記のプロデュースで、劇場版『空の境界』主題歌プロジェクトとしてスタート。2008年にシングル「oblivious」でデビューし、これまでに21枚のシングルと6枚のアルバムをリリース。これまでに『魔法少女まどか☆マギカ』シリーズ、『Fate』シリーズなど多くのアニメテーマソングを担当している。海外でも人気が高く、世界16カ国でCDをリリースする他、53カ国の配信サイトで楽曲を配信している。

これまでのKalafinaの特徴とも違った、新たな1曲になったと話す「百火撩乱」をリリースしたKalafina 「百火撩乱」アナログ盤 「百火撩乱」初回盤B 「百火撩乱」初回盤A 「百火撩乱」通常盤
Wakana Hikaru Keiko
作品情報

Kalafina
21thシングル「百火撩乱」
8月9日リリース

■初回生産盤A (CD+DVD) 1500円(税込)VVCL-1071〜1072
■初回生産限定盤B (CD+BD) 1700円(税込) VVCL-1073〜1074 
■通常盤 (CDのみ) 1300円(税込) VVCL-1075
■期間生産限定盤(アニメ盤) (CD+DVD) 1700円(税込) VVCL-1076〜1077 

■完全生産限定 (アナログ盤) 1500円(税込) VVJL-2 

▽CD収録内容
1:百火撩乱
2:カンタンカタン
3:とんぼ
4:百火撩乱 -instrumental-
5:カンタンカタン -instrumental-
6 : とんぼ -instrumental-(アナログ盤のみ収録)
7:百火撩乱 -TV Size-(アニメ盤、アナログ盤のみ収録)

▽DVD、Blu-ray収録内容
「百火撩乱」Music Video(初回盤A、Bのみ収録)
TVアニメ「活撃 刀剣乱舞」ノンクレジットエンディング映像(アニメ盤のみ収録)

ライブ情報

▽世界遺産劇場 Extra -日光東照宮- 国宝陽明門 平成の大修理竣工記念 “Kalafina with Strings”
9月30日 栃木・日光東照宮 五重塔前 野外特設ステージ

▽世界遺産劇場 Special LIVE -興福寺- 中金堂再建記念 “Kalafina with Strings”
10月8日 奈良・興福寺 東金堂前庭 野外特設ステージ
10月9日 奈良・興福寺 東金堂前庭 野外特設ステージ

▽Kalafina Acoustic Tour 2017 〜“+ONE” with Strings〜
11月7日 神奈川・ハーモニーホール座間
11月13日 山口・周南市文化会館
11月15日 広島・広島文化学園HBGホール
11月22日 北海道・札幌市教育文化会館 大ホール
11月26日 兵庫・和田山ジュピターホール 大ホール
11月27日 岡山・倉敷市民会館
12月2日 宮城・電力ホール
12月3日 東京・東京オペラシティ コンサートホール
12月9日 富山・富山県民会館
12月13日 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール
12月14日 福岡・福岡シンフォニーホール

▽“Kalafina with Strings” Christmas Premium LIVE 2017
12月19日 大阪・ザ・シンフォニーホール
12月20日 大阪・ザ・シンフォニーホール
12月22日 東京・Bunkamuraオーチャードホール
12月23日 東京・Bunkamuraオーチャードホール