「とにかく手堅い。東京ヴェルディが歩む名門復権の道」

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とにかく手堅い。

ミゲル・アンヘル・ロティーナ新監督が構築したチームを評するとすれば、この言葉がしっくりくるだろうか。

長らくJ2で過ごす名門・東京ヴェルディだが、今季はJ1昇格が充分可能な好チームに仕上がっている。今回は、スペイン人の知将が率いるチームに注目していきたい。

■基本形は3-4-2-1

上図が今季の基本システムだ。

最後尾を守るのは柴崎貴広。3バックはリベロに畠中槙之輔もしくは永田充。右は井林章で、左は平智広。

激戦区のボランチは内田達也、渡辺晧太、橋本英朗、中後雅喜、井上潮音が争う。ウイングバックは右が安西幸輝もしくは田村直也、左は安在和樹もしくは安西幸輝。

シャドーはアラン・ピニェイロ、高木善朗、梶川諒太の争いで、CFはドウグラス・ヴィエイラと高木大輔、新加入のカルロス・マルティネスがしのぎを削る。

チームを支えるキーマンたち

冒頭で述べた通り、今季のヴェルディはとても手堅いチームに仕上がっている。3バックをメインとしたチームはバランスの良さが売り。

そのチームを支えるキープレーヤーを紹介していきたい。まずは、戦術の鍵を握るウイングバック。

安西幸輝(両)、安在和樹(両)、田村直也(右)、高木大輔(右)が主に起用されているが、“2人のアンザイ”がキーとなっている。

ロティーナ監督が「逆足のウイングバック」を頻繁に配置する為だ。

つまり、右サイドに左利きの選手を置き、左サイドに右利きの選手を置くのである。これにより、カットインからの攻めが可能となり、攻撃のバリエーション向上が見込める。

4-3-3のウイングで上記の逆足戦術を採るのは鉄板である。リオネル・メッシ、クリスティアーノ・ロナウド、アリエン・ロッベン、フランク・リベリ等が代表格だが、3バックのウイングバックで採用するのは極めて珍しい。

ロティーナ監督は膠着した試合展開を変える為に逆足戦術を活用しているが、両サイドを遜色なくこなす安西と強烈な左足が武器の安在が揃っているからこそ可能なのである。

また、若手の多いチームを下支えするベテランたちも見逃せない。

リベロの永田は、正確なビルドアップで攻撃の起点となっている。その姿はまさに“緑のボヌッチ”と呼ぶにふさわしく、最終ラインからのパス回しを基調とする指揮官の理想に応えている。

更に、ボランチの橋本も印象的な活躍を見せている。

かつてガンバ大阪の黄金期を築いた背番号27の魅力は卓越した戦術眼だ。戦況に応じて最適なプレーを選択するクレバーさは今なお日本トップクラスである。

その武器が最大限発揮されたのが、第18節の名古屋グランパス戦。正確なロングフィードでドウグラス・ヴィエイラのゴールをお膳立てし、逆転劇に大きく貢献したのだった。

そして、出場機会は多くないとはいえ、二川孝広、高木純平、平本一樹といった百戦錬磨のベテランが控えるのは大変頼もしい。

練習に対する取り組み方等ピッチ外での振る舞いから若手が学ぶ点は多いはずだ。勢いのある若手を経験豊富なベテランが支える――。今のヴェルディは組織として理想的な状態にある。

混戦から抜け出す為には

26試合を終了し、10勝7分9敗の13位。6位・横浜FCとの勝ち点差は4で、JI昇格プレーオフに出場できる6位以内は射程圏内だ。

このように、今季のJ2はかなりの混戦である。6位・横浜FCから16位・愛媛FCまでの勝ち点差は6。つまり、16位のチームまでプレーオフ進出の可能性があるということだ。

この混戦を抜け出すには、「刺激」言い換えれば「カンフル剤」が必要になってくる。

その「刺激」となり得るのが、新加入のカルロス・マルティネス。ビジャレアルBから今夏に獲得したスペイン人FWで、昨季はスペイン3部で20ゴールをマークした。

典型的な点取り屋といった印象で、まだJではゴールこそないものの、才能の片鱗は随所で披露している。この背番号13の姿にドウグラス・ヴィエイラ、アラン・ピニェイロが触発されれば、ブラジリアンコンビの更なる活躍が期待できる。

ロティーナ監督が構築したチームにこれといった穴は見当たらず、指揮官の采配も的確だ。そのバランスの良さはJ2でも屈指のレベルである。

その一方で、シーズン序盤の勢いが感じられなくなってきたのも事実。漂いつつある停滞感を脱却するには、どこまでいっても選手たちの奮起が欠かせない。

それ故、フロントもマルティネスを獲得したのだろう。叶いはしなかったが、フランチェスコ・トッティにオファーを出したのも同様の理由だったはずだ。

残り16試合、名門復権に向けてラストスパートを切れるか。これからのヴェルディを左右する大事な時期が続いていく。

2017/08/06 written by ロッシ

筆者名:ロッシ

プロフィール: 1992年生まれ。1998年フランスW杯がきっかけでサッカーの虜となる。筆者の性格は堅実で真面目なため、ハビエル・サネッティ、長谷部誠、ダニエレ・ボネーラ、アルバロ・アルベロア、マッティア・カッサーニにシンパシーを感じている。ご意見・ご感想などありましたら、ツイッターアカウントまでお寄せください。

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