第二次世界大戦末期に起こった悲劇を題材にしたアンヌ・フォンテーヌ監督(58)の「夜明けの祈り」が全国順次公開中だ。

 1945年12月、ポーランド。フランス人の女性医師、マチルド(ルー・ドゥ・ラージュ)は、見知らぬ修道女に頼まれ、遠く離れた修道院を往診する。そこには、ソ連軍兵士によって繰り返し乱暴され、妊娠した修道女たちがいた。修道院の名誉を重んじる院長は、事態の隠蔽(いんぺい)を図るが…。

 フォンテーヌ監督は、「女であることを捨てて信仰に生きる修道女が乱暴され、妊娠させられたと聞き、強い衝撃を受けた。でも、同時に深みを持った作品になるとも思いました」と語る。

 顔以外を修道服ですっぽりと覆った女性たちが、大きなおなかを抱えているというイメージはショッキングだ。

 「修道女役は顔しか映らないので、ベールで顔以外を覆った状態でオーディションを行いました。観客が見分けの付く特徴的な顔であることと、表情だけで複雑な内面を表現できる女優を選ぶことが重要でした」

 信仰に生きる彼女たちに神はなぜむごい試練を与えるのか。修道女の一人の「信仰は24時間の疑問と1分の希望」という言葉が、強い印象をもたらす。

 「私が修道女の方から実際に聞いた言葉。信仰は安定も固定もせず、常に求め続けるものなのです」

 無神論者のマチルドが修道女たちの希望の星となっていく過程はなんとも皮肉だ。彼女のある提案で、修道院は生まれ変わる。悲しみに満ちた物語に、まばゆい光が差し込んだような展開が胸にしみる。

 「未来へと続くような結末にしようと決めていました。脚本の執筆も、言葉の通じないポーランドロケも大変だっただけに、強い達成感があります」とほほえんだ。(岡本耕治)