約5時間のラウンドを終えた後に練習場であすに備えて松山(撮影・小林信行)

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 「米男子ゴルフ・全米プロ選手権・第1日」(10日、クウェイルホローC=パー71)

 男子ゴルフのメジャー最終戦、全米プロ選手権が開幕し、日本男子初のメジャー制覇を目指す松山英樹(25)=LEXUS=が6バーディー、5ボギーの70、1アンダーで首位と3打差の15位タイにつけた。他の日本勢は谷原秀人(38)=国際スポーツ振興協会=と小平智(27)=アドミラル=がともにイーブンパーで25位タイ、池田勇太(31)=フリー=が1オーバーで33位タイ。トービヨン・オルセン(27)=デンマーク=とケビン・キスナー(33)=米国=が4アンダーで首位に立った。

 力強いガッツポーズだった。インからスタートした松山は最終ホールの9番パー4で15メートルのバーディーパットを沈めてフィニッシュ。グリーン上では感情を爆発させたが、ホールアウト後は淡々とした口調で「別に入んなくてもパーで上がれたらいいと思ってたので、ほんとにラッキーだったという感じですね」と話した。

 この日は午前7時45分、10番からのスタート。「完全に目が覚めましたね、あのパットで」と振り返ったのは、2オンに成功した後のピン奥15メートルから決めたバーディーパットだ。「寄せに行ったら入ったんでよかった」と“想定外”を強調したが、しっかりラインを読み切った絶妙なタッチで、いきなりギャラリーを沸かせた。

 続く11番パー4でも4メートルのパットを沈めて連続バーディー。12番ではフェアウエーを外して2オンに失敗。4・5メートルのパーパットも外してスコアを1つ落としたが、15番パー5で魅せた。

 残り271ヤードの第2打。同じ組で回ったエリスとポールターがアイアンで刻む中、松山が攻めた。3Wで2オンに成功。ボールがピンそばに止まった瞬間、大きな歓声と拍手が起こった。1・5メートルのパットはカップに蹴られ、イーグルはならなかったが、楽々バーディーで2アンダーとした。

 爆発を予感させるスタートだったが、本人の中ではパットに関して一抹の不安を抱えていた。この日のパターは、米ツアー今季3勝目を挙げた前週のブリヂストン招待の時と同じマレット型を使用していたが、「あんまり調子よくないので、いつか外すだろうなと思ってやっていた」。そして、その悪い予感が的中する。

 18番パー4で3オンから3メートルのパーパットを外すと、後半最初の1番では3メートルのバーディーチャンスを逃す。3番パー4ではティーショットをフェアウエーバンカーに入れてしまい、3オンから8・5メートルのパーパットを外してボギー。4、5番ではいずれも1メートルのパーパットを決めることができず。快進撃を予感させたスタート時の勢いはどこへやら、痛恨の3連続ボギーとなった。

 この時点でスコアは2オーバー。しかし、ここから松山が世界ランキング3位の底力を見せる。7番パー5では第3打のアプローチがカップに蹴られてスーパーイーグルはならなかったが、楽々バーディー。8番で4・5メートルを沈めて連続バーディー。9番では最初のホールを再現するかのような鮮やかなロングパット。起死回生の3連続バーディー。最後は完全にラインを読み切ったかと思いきや、松山がその舞台裏を明かす。

「ラインも分からなかったですし、自分が読んでるラインと逆の方向へ行って、入った。ま、大典(だいすけ)さん、さまさまですね」。

 相棒の進藤キャディーの名前を口にして、グリーン上での助言に感謝した。

 本番前の練習ラウンドではショットへの不安を口にし、この日はパットの調子に大きな波があった。「前半の感じだったらもうちょっと伸ばしたかったなという感じはありますけど、後半の途中の感じだったら、よく(アンダーまで)落とせたなという感じですね」。安どの表情を浮かべながらも悔しい気持ちものぞかせた。

 前日の最終調整では珍しくコースを回らずに体力温存に努めた。「きょうは疲れました」。約5時間のラウンドを終えた後、そうつぶやくように言った松山だったが、取材後はいつものように練習場に直行した。約1時間半のパッティングの後には場所を移してショットの練習。大きなクラブは手にせず、アプローチだけに30分を費やし、翌日に備えた。