夏の漬物入門

 漬物、と聞くと専用の樽や漬物石が必要そうだし、面倒くさそう〜と思うかもしれませんが、野菜をテキトーにザクザク切って少量の塩をまぶし、ジッパー付保存袋、またはポリ袋に入れ、空気を抜いて冷蔵庫に30分から一晩入れておくだけでもおいしい浅漬けになるのです。


さっぱり夏の漬物。すぐできます。


材料はこんな感じ。いつでも、どこでも手に入るおなじみの野菜。

 火を通さないから野菜のビタミンもそのまま摂取できるし、漬けることでカサも減ってたくさん食べられるし、漬けている間に、野菜に付いている自然の乳酸菌も増えていきます。乳酸菌は腸内環境も整えてくれるし、雑菌の繁殖も抑えてくれるので日持ちもします。しかも生野菜は身体が冷えてしまうけど、浅漬けの乳酸菌は身体の冷えも抑えてくれるという、至れり尽くせりのエライ菌。これはもう、漬けるしかないですね♪


 


 

きゅうり 3本
ピーマン 5個
生姜 1片
塩麹 大さじ2〜3
粉末昆布(※)小さじ1弱

※粉末昆布はなくても大丈夫です。または粉末のだし粉などでもおいしい。

1)きゅうりは縞々に皮をむき、ピーマンはへたと種を取って一口大に切る。生姜は皮をむいて千切りにする。

2)ポリ袋などに1)を入れ、塩麹と粉末昆布を入れてよく振り混ぜ、空気を抜いて口をしばり、冷蔵庫に入れる。

3)野菜の水分が出てしっとりしたらできあがり!


ポリ袋などに入れて。



ぎゅっと縛る。


できあがり。やった!

 塩だけじゃあ物足りない! という人には塩麹がオススメ。麹の栄養も摂取できるし旨味も増します。他にも塩昆布やゆかり(赤しそのふりかけ)で漬けてもいいですね。塩麹に粉末昆布や粉末だしなどを足しても旨味が増しておいしいです。水気を軽くきって、好みでごま油やオリーブ油を垂らせばそれだけで一品できあがり。夏の時期ならきゅうり、ピーマン、キャベツなど。さらにそこにミョウガ、生姜、青じそなどを足してもさっぱりしていいですね。急な来客時に浅漬けがさっと出せるなんて、自分がワンランクアップしたような気分になりませんか?

 浅漬けを食べ飽きたらそのまま炒め物やスープの具で使ってしまえばいいのです。切ってあるからそのまま使えるし、乳酸菌などで生まれた複雑な旨味も加わるので(酸味は火を通すとやわらぐ)、調味料もほんのちょっとでいいのです。いい事しかありません!


ザワークラウトで、本格発酵にチャレンジ。

 ドイツの代表的な漬物はザワークラウト。日本では乳酸キャベツという名前で紹介されていますが、これはまさに乳酸菌のかたまり! 作り方は浅漬けよりもワイルドですが、材料も少ないしコツをつかめば簡単です。キャベツを切るのがちょっと大変ですが、これを乗り越えたら少量の塩とキャラウェイシードやクミンなどのスパイスさえあれば、お店で食べるのと同じ、もしくはもっとおいしいザワークラウトが食べられるんですよ〜。

 暑い時期なら2、3日で気泡が出て発酵してくるので(冬は1週間くらい)、味見をし、好みの酸味になれば冷蔵庫で保存。1ヶ月はもちます。ソーセージの付け合わせとして一緒に食べるのはもちろん、トーストにスライスチーズをのせた上にのっけて食べると最高です。目玉焼きと一緒に焼いたり、ポトフに入れてもおいしい♪ キャベツだけじゃなく、細く切った人参やピーマンを混ぜてもいいですよ。お酢とはまた違う、乳酸菌の酸味はクセになるかも。さらに、ザワークラウトから出た汁は乳酸菌まみれですので、魚の切り身を漬けて1晩置いてから焼くと、アクが抜けて優しい味の焼き魚になります。乳酸菌ちゃんはやはりすごい!


 


 

キャベツ 1/2個(600g)
塩 10〜12g(キャベツの重さの2%)
好みでキャラウェイシードやクミンシードなど

1)キャベツは3mm〜1cm(お好みで)のざく切り。芯の部分も薄く切り、大きめのボウルに入れる。

2)塩(とスパイス)をふりかけ、手でぎゅぎゅっとキャベツの繊維をつぶすような気持ちでまぜる。


泡立ってきました。乳酸菌ありがと〜。

3)キャベツから水分がしぼれるくらいに出て、量が半分くらいになったらガラスの広口瓶かジッパー付保存袋にギュウギュウと詰めて入れ、空気を抜きながら口を閉じる。ガラス瓶の場合は空気にふれないように外葉で蓋をしたあと、容器の蓋をする。

4)キャベツが空気に触れないように気を付けながら常温に置き、時々まぜたり、味を確認してみる。3日〜1週間くらいして気泡が出てきたら味を確認し、好みの酸味になったら冷蔵庫で保存する。

 おっと、うっかり乳酸菌ばかりを持ち上げてしまいましたが、ワタクシ麹料理研究家なので麹料理もご紹介しないと…という事で、塩麹を使ったオススメの、おつまみにもなる漬物も3種類ご紹介いたします。


夏らしい漬物つまみ…ああビール飲みたい…。

 まずはトマト。よく熟したトマトを塩麹に漬けておくと、ほどよく水分がぬけて味がぎゅっと凝縮します。旨味のある塩味とトマトはよく合うので、お酒で喉が渇いた時にもいいですよ。


どこのお家にもあるある、の材料。うずら卵は早く茹るのがいい。

 もう1種類はアボカド。半分に切って種をとって皮をむいたものを、トマトと同じ要領で塩麹漬けにします。変色するのが嫌な方はレモンをきゅっと搾って漬けてください。食べる直前に切ると、中はキレイな黄緑色です。あればもみ海苔を散らしてもおいしいですよ〜。

 最後のオススメは半熟うずらの卵。一口で食べられるし、噛んだときに黄身がトロリと出てくるのが最高です♪ 塩麹だけでも良いのですが、私は少しみりんを足して甘味を付けるのが好きです。

 夏の暑い日にシャワーを浴びて、冷蔵庫からこの3種類を出して器に盛ってオリーブオイルをたらりとかけ、キンキンに冷えたビールをプシューッと開けた時の幸せたるや! 皆様も夏の漬物を作ってみてはいかがでしょうか?
 

トマト 2〜3個/塩麹 大さじ2
トマトはヘタを切り落として一口大に切る。

アボカド 1個/塩麹 大さじ1弱
アボカド(※1)は半分〜4等分に切り、種を取って皮をむく。

うずらの卵 10個/塩麹 小さじ2
うずらの卵は半熟に茹でる(※2)。
好みでみりん少々入れる。

(以上の材料をすべて)塩麹をまぶしてポリ袋などに入れ、冷蔵庫で漬ける。

※1 アボカドは空気に触れると変色するので、レモンを少し搾るとよいです。早めに食べ切るのがおススメ。
※2 うずらの卵は水で濡らし、沸騰したお湯に入れ2分〜2分半茹でてザルにあけて水気をきる。すぐ鍋に戻して蓋をして軽くゆすって殻にヒビを入れたあと冷水にあけ、冷めたら殻をむく。


丸い食材3兄弟(姉妹?)と命名したい。

写真 イラスト おのみさ

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おのみさ

麹料理研究家/イラストレーター

味噌づくりをきっかけに麹のおもしろさに目覚め、好きが高じて2010年に『からだに「いいこと」たくさん麹のレシピ(池田書店)』を出版。その後に起こった塩麹ブームに便乗し、さらに4冊の麹関係の本を出版。現在は麹酒場(麹料理を食べながら酒を飲む)のイベントをやったり、麹関係のイラストやコラムを書いたりしています。明るいうちからお酒を飲むのが趣味。

(おの みさ)