「そうだ 京都行こう。」〜♪「My Favorite Things」のメロディーと共に、働き女子の旅心をくすぐる街・京都。ただいま、京都市と京都市観光協会は「京の夏の旅」キャンペーンを実施中です。第42回を迎える今年は、近代の名建築や眺望、庭園の美などをテーマに実施され、普段は非公開の建物や庭園などが、期間限定で特別公開されています!この文化財特別公開のほか、京の伝統産業や伝統文化に触れる体験型のイベントなども充実。京都の夏は暑いと言われていますが、その暑さもなんのその、京都を訪れたくなる魅力的な内容が目白押しなのです!その魅力について、今回ご紹介します。

「京の夏の旅」お品書き

・名建築/眺望……エキゾチックな壁画が美しい昭和初期の名建築「大雲院 祇園閣」

・名建築/眺望……アマチュア天文学の聖地「京都大学 花山天文台」

・体験………………燈明の灯りに照らされながらの夜坐体験「東福寺塔頭 勝林寺」

〜番外編〜

・襖絵/庭園………斬新な襖絵に室町時代の相阿弥の作と伝えられる名庭園「青蓮院門跡」

エキゾチックな昭和初期の名建築「大雲院 祇園閣」

まず最初に、普段は一般公開されていない「大雲院 祇園閣」。大雲院は戦国時代に本能寺で暗殺された、織田信長と信忠親子の菩提を弔うため天正15年(1587年)に建立された寺院です。その敷地内にある祇園閣は、国の登録有名文化財に指定されている昭和初期の名建築。祇園祭の鉾をモチーフにした形で高さは36m。屋根の鉾先には金色の鶴が羽ばたいています。

今年、生誕150年を迎える建築家、伊東忠太が設計した祇園閣。

中に入ると、外観からは想像できないほど、エキゾチックでモダンな内装。曼荼羅を思わせる色彩豊かな壁画や鬼を装飾した照明など、独特の世界観に圧倒されます。これは建築家、伊東忠太が和洋中の文化に精通していたから。そして最上階の閣上からは360度の眺望が楽しめます。なお、祇園閣内は一般撮影禁止なので、その見事な壁画はしっかりと目に焼き付けてくださいね。

階段を昇ると鮮やかな壁画が目に飛び込んでくる。正面は「釈迦説法図」。

階段の裏に描かれた「千手観音図」。

照明は鬼の装飾で西洋風のイメージ。

閣上からの景色。清水寺の五重塔や京都タワー、遠くは大阪のあべのハルカスまで一望できることも。(閣上は撮影禁止)

もともとこの祇園閣は明治・大正期の実業家、大倉喜八郎のもの。大倉喜八郎は帝国ホテルや大成建設、サッポロビールなど、多くの企業の設立に関わった人物で、昭和48年に大雲院が喜八郎の別荘地に移転し、今のような形になりました。祇園閣の裏には墓地があり、織田信長・信忠公の碑や石川五右衛門のお墓があります。そして宝物展示場には、大雲院を開山した貞安上人が信長公から拝領した「軍配団扇」など、貴重な品があるので、こちらもお見逃しなく!

織田信長・信忠公の碑。期間中のみ公開。

大雲院 祇園閣
住所:京都市東山区祇園町南側
期間:2017年9月30日(土)まで(9月26日は拝観休止)
時間:10:00〜16:00(受付終了)
料金:大人600円・小学生300円
交通:市バス206系統「東山安井」下車、徒歩5分

日本で2番目に設立された天文台「京都大学 花山天文台」

「京の夏の旅」の7つの特別公開の中でも注目は「京都大学 花山天文台」。3か月もの長期間、一般公開されるのは初めてという貴重な施設です。昭和4年(1929年)に日本で2番目に設立された天文台で、現在も現役なのが素晴らしいところ。直径9mのドームがある本館には、口径45僂龍折式天体望遠鏡があり、この大きさは東京・三鷹の国立天文台、岐阜・高山の飛騨天文台に続いて国内3番目なのだとか。

東山の山頂に位置する「京都大学 花山天文台」。

圧倒される大きさの屈折式天体望遠鏡。期間中は建物や天文台の歴史をガイドが解説してくれる。

手前に見える四角い建物は歴史館。眺望も楽しめる。

花山天文台は月や惑星の観測で世界的な成果を挙げている天文台で、3代目の台長、宮本正太郎氏がNASAのアポロ計画の前に、月面地図作りを協力したことも。歴史館にはNASAから寄贈された灰皿も展示されています。歴史館はもともと子午線館という名称で、天体の子午線通過時間を子午儀で観測し、正確な時間を計測していた場所。本館、歴史館共に日本の天文学の歴史を語る上で、貴重なお宝がたくさんあるので、アマチュア天文学の聖地としても有名です。

1969年にアメリカが打ち上げたアポロ11号で、人類史上初めて月面着陸したアームストロング船長。その足跡をデザインした灰皿が、NASAから3代目台長、宮本正太郎氏に贈呈された。

子午線に沿って回転する子午儀と観測時計。

京都大学 花山天文台
住所:京都市山科区北花山大峰町(東山ドライブウェイ内)
期間:2017年9月30日(土)まで
時間:10:00〜16:00(受付終了)
料金:大人800円・小学生400円
交通:地下鉄東西線東山駅から無料シャトルバスあり ※満車の場合は乗車できません。
運行スケジュールhttp://www.kyokanko.or.jp/natsu2017/jikoku.html

このほか、「京の夏の旅」の文化財特別公開は、「本野精吾邸」、「東本願寺飛地境内地 渉成園『蘆菴』」、「旧三井家下鴨別邸〈主屋二階〉」、「上賀茂神社(賀茂別雷神社)本殿・権殿」、「下鴨神社(賀茂御祖神社) 本殿・大炊殿」の計7つあります。詳細は「京の夏の旅」のWebサイトで確認してくださいね。

京の夏の旅 http://www.kyokanko.or.jp/natsu2017/

燈明の灯りに照らされながらの夜坐体験「東福寺塔頭 勝林寺」

夏の京都に行くなら、そして日時がうまく合うなら、ぜひ体験してもらいたいものがあります。それは禅寺の「勝林寺」の夜坐。こちらも「京の夏の旅」のプランのひとつで、普段は非公開の毘沙門天三尊像を特別拝観できます。平安時代に造られたものとも言われる毘沙門天は、夜の光の中で見ると幻想的。座禅自体は15分間で、休憩をはさんで2回行ないます。

天文19年(1550年)に創建された「勝林寺」。

勝林寺のご本尊の毘沙門天王像(中央)。向かって右は女性に美と幸福を授ける神の吉祥尊天像で、向かって左は毘沙門天王と吉祥尊天の御子とされる善膩師童子像。

迫力のある虎の襖絵は、日本画家の櫟文峰 (あららぎぶんぼう)が大正15年(1926年)に手掛けたもの。

燈明の薄暗い灯りの中、坐禅が始まると、お香の香りや虫の鳴き声など、普段は見過ごしてしまいがちなものにも、気持ちが向きます。そもそも15分間とはいえ、じっとしていること自体が貴重な体験。記者も本来は無になるべきなのですが、いろいろな雑念が頭を巡り、どうにもソワソワしてしまいました。でも2回目では呼吸が整い、少しは心を安定させられたように思います。最後にお抹茶と干菓子を頂いて、ライトアップされた美しいお庭を後にしました。

坐禅中に平たい板で肩を打つ警策(けいさく)をしてもらいたい場合は、手を上げるなど合図をする。実際にやってもらうと、肩はしばらくヒリヒリしたものの気が引き締まりました。

春の桜、秋の紅葉のほか、四季折々の花が咲き乱れる。取材時期は蓮の花が美しかったです。

東福寺塔頭 勝林寺
住所:京都市東山区本町15-795
期間:2017年9月16日(土)・17日(日)・23日(土・祝)
時間:17:30〜19:00頃(所要時間 約1時間30分)
料金:各日2500円
交通:JR奈良線「東福寺」駅下車、徒歩8分
※「京の夏の旅」のWebサイトから要予約。http://www.kyokanko.or.jp/natsu2017/natsutabi17_03.html#07

斬新な襖絵に室町時代の相阿弥の作と伝えられる名庭園「青蓮院門跡」

今回の「京の夏の旅」には含まれていないのですが、京都が生んだロックな壁絵師として話題の木村英輝氏の襖絵もオススメです。それが「青蓮院門跡」の白書院、華頂殿の60面の襖絵。なんと2か月で仕上げたそうです。蓮の花と葉が、時に溢れんばかりの生命力で、時に消えてしまいそうに佇む襖絵は、新しい京都を感じさせてくれました。

天台宗の京都五箇室門跡のひとつの「青蓮院門跡」。モデルは「2017京都・ミスきもの」の伊谷英里子さん。

木村英輝氏作の蓮の襖絵「極楽浄土」。現在の画材のアクリル・ガッシュとネオ・カラーで描かれた。

こちらはトンボやカエルが共に描かれた「生命賛歌」。このほか「青の幻想」と3つのテーマがあります。

「青蓮院門跡」の主庭は、室町時代の相阿弥の作と伝えられています。池泉回遊式の庭園なので、歩いて様々な角度から眺めることで、異なる美しさが感じられます。まず殿舎内を参拝して、それから庭園を鑑賞しましょう。小御所にはおみくじの創始者である元三大師の座像があり、おみくじを引くことができます。出てきた竹櫛と代金の100円を売店まで持っていくのですが、その間、ドキドキでした。

華頂殿から眺める相阿弥の庭園は圧巻。お抹茶(500円)も用意されている。

庭園の木々が清々しいイメージ。

まず正座をして合掌。精神を統一して元三大師様と観音菩薩様のお名前をそれぞれ3度唱える。おみくじの引き方はちゃんと書かれているので、それを見ながら行なおう。

おみくじの結果は吉でホッ……。いつものおみくじが何倍にも楽しめました。

青蓮院門跡
住所:京都府京都市東山区粟田口三条坊町69-1
時間:9:00〜16:30(受付終了)
料金:大人500円・中高生400円・小学生200円
交通:地下鉄東西線東山駅下車、徒歩5分

夏の今だからこそ見られる貴重な文化財や体験に触れて、京都の新たな魅力を感じられる旅。「京の夏の旅」キャンペーンは9月30日(土)まで。「夏の京都もいいね」と思えるイベントなので、早速、旅行の計画を立ててみてください。

取材・文/綿谷禎子