星野源とライアン・ゴズリング。同い年で“今風モテ男”の共通点

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 8月5日に放送された『第49回 思い出のメロディー』(NHK)を観ていて、こんなシーンがありました。大ヒット曲「熱き心に」を歌う小林旭(78)を紹介した俳優の西田敏行(69)が、「最近の若い男はうすっぺらい奴ばっかだからね」と言っていたのです。

“老害”っぽい発言ではありますが、面白かったのはそのあとに登場してきた小林旭の出で立ち。上下白のスーツで、でっかいシャツの襟をジャケットの外に出したスタイルに、筒みたいにぶっといパンツを合わせる。小林旭のファッションが西田敏行の真意を表していたように見えたわけですね。

◆星野源とライアン・ゴズリングの似たところ

 一方、いま大人気の男性タレントのファッションを思い浮かべると、だいたいこぎれいなスリムフィットのコーディネートに行き着きます。ファッションは時代を映す鏡ですから、ここに現代に特有の空気が映し出されているのではないでしょうか。

 たとえば、星野源(36)。ドラマや映画では役柄によって服装も違ってくるのですが、表彰式やCMなどではタイトなシルエット。

『第9回 伊丹十三賞』の授賞式に登場した際に、ファッションデザイナーのドン小西氏(66)から「あまりにも普通すぎだよな」とか「山手線で座っていても違和感がないようなユルい個性」と評されたスタイル(『週刊朝日』2017年5月5−12日号)。

 あれが世間の大半が思い浮かべる星野源のイメージなのだと思います。

 こうした傾向は欧米でも見られるのだそう。その象徴的な存在が、映画『ラ・ラ・ランド』でエマ・ストーン(28)とともに主役を演じたライアン・ゴズリング(36)だといいます。英紙・ガーディアンの電子版に、『It’s just easier to dress like him than not: how the Ryan Gosling look took over』(ゴズリング風ファッションはホントにラクちん、ぐらいの意味でしょうか)という記事が掲載されていました。

 洋服やヘアスタイルに高い美意識を持ち、総じて小さめのサイズを着こなす。性格的にモロい部分はあるけど、基本は謙虚でリベラルで物分かりのいい男子。

 これが現代に受け入れられる男性像であり、頂点にゴズリングがいる。その分かりやすい目印がスリムフィットのファッションだと分析しているのですね。

◆イケメンすぎない「ミスター・ただの人」だから人気がある

 そこで押さえておきたいのは、この記事を書いたモーウェンナ・フェリアは女性。こうしたトレンドをちょっと皮肉気味にとらえているという点です。というのも、彼女はゴズリングのことを、「よく見りゃ大してイケメンではない」とはっきり書いているからなのです。

 なのに、男女問わず大変に支持されている。カフェに入れば、バリスタから客まで風貌が“ゴズリング男子”だといいますし、女性からの人気は言うに及ばず。モデルの中条あやみ(20)もゴズリングの名前を口にしただけで顔を真っ赤にしていましたっけ。

 では、一体このゴズリング人気はどこから来ているのでしょうか? ロサンゼルスのある女性エージェントが、ゴズリングを“ハリウッド版ミスターただの人”と称して、次のように分析していました。

「彼はただ真っ白なキャンバスなのではなくて、彼を見る人それぞれの自由にできるキャンバスなのね。見た目はいいけど、良すぎるってほどではない。女の子からすれば、もしかしたら自分でも付き合えるかもしれないと期待させる存在で、それがいまの主演俳優に求められている要素だと言えるでしょう。」
(前出・ガーディアンより)

 そういったタイプの役者を「人柄俳優」と称し、ネットでバズるためには欠かせない要素と考えているようでした。

◆今風のモテ男・星野源もゴズリング男子?

 さてここでもう一度、星野源を思い出してみると、“ゴズリング男子”に必要な要素をかなり満たしているように思うのです。

 遠目に見れば坂口健太郎(26)だけど、よく見りゃイケメンではない。そして性格面。ささくれ立った部分と、一歩間違えば壊れてしまいそうな危うい感じ。著書『蘇る変態』のこんな一文を思い出しました。

<負けるな。頑張れ俺。限界を超えろ。必ずいい詞が書ける>(p.108)。

 あと、ツイッタープロフィールに「フェミニストです」との自己紹介があるのが“ゴズリング男子”なのだそうですが、星野源もAV女優についてこんなことを言っていました。

<セックスが好きでそれを職業にしたとして、それのどこが悪い。俺は音楽が好きで、芝居が好きで、文章が好きで、それを仕事にしている。それとセックスが好きで仕事にしていることになんの違いがあるのか。>(p.121)

 けっこう違うんじゃねえの? って気もしますが、とりあえず自分の考えを強烈に主張しているようでいて、実は誰からも責められない無難さが際立っている。

 この“嫌われない”状態を生み出す力が星野源の特性であって、別の言い方をすれば「山手線で座っていても違和感がないようなユルい個性」(ドン小西氏)という具合になるのでしょう。

 そしてそれぞれの国で社会現象と言えるほどの人気を博しているこの両者が揃ってタイトな着こなしを多用しているのは、ただの偶然と言えるのでしょうか?

 ガーディアンの記事では、最後に“ゴズリング男子の見分け方”なんてリストが挙げられていました。なるほどなというのがあったので、最後にご紹介しましょう。

「“もし万が一女性に対してエラそうな態度を取ってしまったら、俺を安楽死させてくれ”と言う男」

 小さめサイズの洋服で締め付けているのは、果たして自分の肉体だけなのでしょうか。

<TEXT/石黒隆之>