入居率は9割強…賃貸住宅の入居率状況をグラフ化してみる(2017年6月発表分)(最新)
賃貸住宅に住んでいる人なら誰もが一度や二度は気にしたことがある、自分が住んでいる物件の空き室のあるなし。一つ二つならば今後どのような人が入ってくるのかが楽しみとなるが、あまりにも空き室が多いと防犯や管理の点、そして物件の所有者が建て替えを模索しているのではと不安を覚えてしまうもの。また空き室からは賃料を得られないため、物件の所有者、管理者側の観点ではもちろんマイナスの材料となる。今回は賃貸住宅の管理会社で構成される協会「日本賃貸住宅管理協会」が半年ごとに同協会公式サイトにて発表している【賃貸住宅景況感調査日管協短観】をもとに、賃貸住宅物件の入居率の状況を確認していくことにする。
次に示すのは直近となる2016年度下期(2016年10月から2017年3月)における賃貸住宅の平均的な入居率。例えば委託管理の首都圏では95.0%とあるので、100世帯分の賃貸住宅があれば95世帯分は利用者がいる、5世帯分が空き室との計算になる。もちろんこの数字が高い方が運営側はハッピーとなれるし、貸し手側優勢の市場動向と見ることができる。

なお「委託管理」と「サブリース」の違いだが、前者は賃貸住宅運営の際に必要なあれこれの一部を業務委託の形で業者にお願いするもの、後者は一定手数料が差し引かれるものの物件のほぼすべてを管理業者に任せるもの。後者の場合、物件の持ち主が業者に物件を貸し、その物件を入居者が業者から借りる事になる(つまりまた貸し状態)。株式取引なら、自前でポートフォリオを作るか、投資信託を購入するかの違いのようなもの。

↑ 入居率(2016年下期)
↑ 入居率(2016年下期)

委託管理の場合は全国で95.0%。多数管理で多様なノウハウを駆使できるサブリース物件になると、もう少し入居率は上昇し、全国では97.2%となる。一方で一般的には100%からこの入居率を引いた値が空き室率となるため、全国では数%の賃貸物件が空き室状態となっていることも事実ではある。

続いて過去データが取得できる限りのものを確認した上で、その推移を示したのが次のグラフ。なおグラフにも注意事項として記載してあるが、今回分となる2016年下期分から、「算定基準が今回から管理戸数ベースになったことによる」ものである。従って直近分と過去の値の単純比較はできない、事実上連続性は無いグラフとなっている。

↑ 入居率(委託管理(集金管理含む))
↑ 入居率(委託管理(集金管理含む))

↑ 入居率(サブリース)
↑ 入居率(サブリース)

直近分が有意に増加しているのは上記説明の通り、算定基準を変えた結果。それを除いて精査すると、地域別では大きな違いはないものの、それでも多少は存在していた「地方ほど空き室率が高い」現象が少しずつ収まり、地域差が縮小している感はある。また委託管理の入居率が高まる一方で、サブリース側はほんのわずかだが(関西圏で特に)減少傾向にあるように見える。

また以前のリリースでは委託管理とサブリースの差異に関して「滞納率アップ、管理業務の複雑化による経費の増加、加えて空室率の上昇に伴うサブリースのリスク回避も背景にあると思われる。仕入れ増を優先すると、希少価値のある物件を見送って人気薄の物件を多く仕入れてしまい、さらに空室率が悪化することもある」と解説。さらに滞納率との関係に絡めて「無理に空室率改善を図ると、入居者の審査レベルを落とすことになるため、家賃債務保証契約によってカバーする傾向が増加する」とも言及していた。賃貸物件の管理に関わるさじ加減の難しさをかいま見ることができる。

あくまでも今件は平均値ではあるが、賃貸住宅の需給の現状を一つの側面から判断する材料となる。また、自分の住んでいる、あるいは周辺の賃貸住宅の空き室状況を確認し、比較してみるのも良いだろう。