2か月以上の家賃滞納率、1.3%…賃貸住宅の平均家賃滞納率をグラフ化してみる(2017年6月発表分)(最新)
賃貸住宅の管理会社による協会「日本賃貸住宅管理協会」がほぼ半年ごとに更新・公開している【賃貸住宅景況感調査日管協短観】の最新版として、2017年6月付で「賃貸住宅景況感調査日管協短観・2016年度下期(2016年10月から2017年3月)」が発表された。今回はそのレポートの中から、賃貸住宅管理会社が管理する物件における「家賃の滞納状況」を確認し、現状の精査を行うことにする。

77世帯に1世帯は2か月以上の滞納


各種調査要項などについては先行する記事【メディア別賃貸住宅業者への反応の変化をグラフ化してみる】にて記載済み。必要な場合は、そちらで確認してほしい。

月末、25日、10日前後など、物件によって日取りは異なるが、賃貸住宅の家賃は原則として月1回支払いが行われる。昨今では事前に取り交わした契約に従い、自動的に金融機関の口座から引き落とされる場合が多い。もっとも個人経営の賃貸住宅では、今でも借主が家主に毎月手帳と共に家賃を手渡し、その手帳に支払い済みの判子を押してもらうスタイルを続けているところも見受けられる。住民の動向確認の意味合いもあるのだろう。

現在では家賃支払い方法の多分を占めることになる自動引き落としだが、銀行口座残高の調整ミスで残高不足から家賃の引き落としを行えず、気がつけば家賃を滞納してしまうトラブルもある。その経験を有する人も少なくあるまい。家賃引き落とし専用の口座を別途設けていても、その口座への入金をつい忘れてしまうとの事例も想定される。

そこで「(調整ミスの可能性がある)月初全体の滞納率」「(ミスの可能性が排除された)月末での1か月滞納率」「(状況が悪化した、連続した滞納状態の)月末での2か月以上滞納率」それぞれについて、直近値を元にグラフ化したのが次の図。

↑ 家賃滞納率(2016年10月-2017年3月)
↑ 家賃滞納率(2016年10月-2017年3月)

残高調整ミスは頻発する事案のようで、今回計測期において、全体では6.6%も発生している。大体15世帯に1世帯の割合である。一か月間丸々の滞納となると2.9%、2か月連続して「危険信号」レベルになると1.3%の域に達する。

2か月以上の滞納率1.3%。これは「賃貸住宅の77軒に1軒は現在2か月以上家賃を滞納している」状況となるわけだが、切り口を変えて「通常支払い率98.7%」と表現すればそこそこ良い方に見える。ただしリスクは低いに越したことは無い。例えば5階建・12列(=60部屋)の大型団地なら、1個あたりほぼ1世帯は2か月以上の家賃滞納世帯が存在する計算になるからだ。そして2か月もの滞納状態ともなれば、状況がさらに悪化し、未回収(+管理会社の費用持ちでの原状復帰作業)となる可能性は高い。また、これには「空き室率」は勘案されていないため、賃貸住宅の採算率はそれより悪くなる(空き室率は1割前後が一般的)。

関西圏の動向にスポットライトをあてる


首都圏・関西・その他地域で比較すると、概して関西圏が滞納率は高めの値を示す。この関西圏に限り、経年変化をグラフ化したのが次の図。

↑ 家賃滞納率推移(関西圏)(-2016年下半期)
↑ 家賃滞納率推移(関西圏)(-2016年下半期)

最近では関西圏(に限らず他の地域でも)1か月以上の滞納率が低下、つまり借主の支払い状況が改善しており、業者側としては好ましい形を見せている。他方、月初の滞納率に限れば関西圏では8%強が維持されており、関西圏独特の気配が感じられる。「うっかりさん」が多いのだろうか。

また直近分でも分かる通り、1か月以上の滞納率に限れば関西圏よりもむしろ「その他」地域の方が高い値を計上している。「その他」とは首都圏・関西圏以外の領域であり、地域的特性を見出す必要性は薄いのだが、今後さらにこの傾向が強まるのなら、関西圏同様に経年変化を見る必要があるかもしれない。



管理会社へ連絡をしないままの家賃滞納は、管理会社の立場からでは「ミスによる滞納」なのか、それとも家計の事態悪化が継続し「経済的事由による月末までの滞納」「2か月以上の滞納」につながるのか、判断はできない。手間はかかり、住民に対する不信感・不安感は募り、印象は悪くなる。

現在賃貸住宅市場は借り手が優位な市場状況ではあるが、賃貸住宅利用者は「住まいを借りている立場」であることを忘れるべきではない。理由はともあれ、万一にでも家賃滞納を起こしてしまったら、すぐにでも家主、管理会社に一報を入れ、最善を尽くしてほしいものだ。