2017-0808
賃貸住宅の管理会社による協会「日本賃貸住宅管理協会」が約半年の間隔で定期的に更新・公開している、協会員を対象としたアンケート調査結果【賃貸住宅景況感調査日管協短観】について、その最新版「賃貸住宅景況感調査日管協短観・2016年度下期(2016年10月から2017年3月)」が、2017年6月に更新されていることが確認できた。その値を基に今回は、「賃貸住宅管理会社が管理する物件における敷金礼金の現状」「入居者が入居契約交渉時に行う敷金礼金周りの交渉状況」について状況の精査を行うことにする。借り手と貸し手の力関係を間接的にではあるが推し量ることができよう。

全国平均で敷金は家賃の1.37か月分、礼金は0.97か月分


各種調査要項などについては先行記事【メディア別賃貸住宅業者への反応の変化をグラフ化してみる】に記載されている。詳しくはそちらで確認してほしい。

まずは礼金・敷金の平均動向について。最初に用語の再確認をしておく。「礼金」は言葉通り賃貸契約が新規に結ばれた時に、貸主(大家)に支払われる「お礼金」のこと。一方「敷金」は「賃貸住宅に土台として敷かれた(、そして住宅利用時に少しずつ損耗していく)お金」との概念によるもの。その賃貸住宅から退去する際に、次の借主が支障なく使えるよう、原状復帰のために使われるお金でもある。ただし通常使用における損耗は、自然に生じるものとして、その分の責は利用者には無いとするのが一般的(【民間賃貸住宅の賃貸借関係をめぐるトラブルの未然防止に関する制度解説の映像について(国土交通省)】などを参照のこと)。

さて今回の計測期間において、全国平均では「礼金」は家賃の0.97か月分、敷金は1.37か月分との結果が出ている。

↑ 入居時条件(か月分)(2016年10月-2017年3月)
↑ 入居時条件(か月分)(2016年10月-2017年3月)

関西圏では敷引き(解約引き。入居時の保証金のうち半分程度を退去時の原状復帰費用として返還しない仕組み。保証金そのものは家賃の半年から8か月分とされ、これには礼金も含まれる。この制度が導入される物件では更新料も無いのが原則)制度が商習慣として根付いて「いた」(過去形であることに注意)。その名残もあり、礼金の額が他地域と比べてかなり高い結果が出ている。

また都市圏と比べるとその他地域で敷金がやや高めに出ているのが気になる。契約物件のリスクが高めなのかもしれない。

今件値は業者側の調査に基づいた結果。地域、周辺環境の違いも多分に影響するが、この値を覚えておけば、無駄な探索をしたり、怪しげな物件に惑わされる心配はずいぶんと減る。

地方圏では設備設置の交渉が増加中…入居時の条件交渉の変化


各賃貸住宅管理会社が管理している賃貸物件において、敷金や礼金、そして賃料、さらには設備の設置(エアコンや洗濯機など)について、居住希望者との間での交渉度合はどのような変化を示しているのか。借り手・貸し手の力関係を推し量れるデータともいえるが、それぞれについてその移り変わり(前年同期比)を尋ねたところ、全国では回答企業の6割強が入居の際に「賃料を下げてほしいとの交渉が増加している」と返答した。礼金・敷金などの初期費用の値引きを求める度合いが増加したとの意見も6割近くに登っている。

↑ 入居時の条件交渉の変化(2016年10月-2017年3月、前年同期比)
↑ 入居時の条件交渉の変化(2016年10月-2017年3月、前年同期比)

今半年期では首都圏と関西圏で、賃料や礼金・敷金などに関する差異はほとんど無い。あえていえば首都圏がややおとなしめか。設備設置の面では首都圏が減少、関西では増加の動きを示し、相反する流れにあるのが興味深い。

その設備設置交渉傾向はむしろ首都圏・関西圏「以外」のエリアが強い動きを示している。「以外」エリアでは増加したとの意見が29.4%にも達し、減少意見は5.9%でしかない。交通機関や商店、公共施設などの周辺環境が首都圏・関西圏と比べれば物足りない面があることから、その分内部設備の充実を欲しているものと考えられる。

ともあれ、全国、首都圏・関西圏共に、賃料・礼金など金銭面において、5割から6割程度が「交渉増加」と回答している結果が出ている。ダメ元との点もあるのだろうが、「賃貸住宅は入居希望者が主導権を握る借り手市場」との認識に違いはないのだろう。