10°CAFE

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知れば世界が広がる!「学生団体」活動レポート

10°CAFE

団体プロフィール
設立
:2006年 活動内容:カフェの営業、レンタルスペースの運営。店舗運営と店舗営業のためのシフト業務 人数:27人(男女比=3:4/学年構成=1年生5人、2年生7人、3年生11人、4年生5人) 活動拠点:高田馬場 活動日数:毎日(第3日曜休)

10°CAFEは、「ヒト・モノ・コトとの出会いで人生がほんのちょっと(10°)変わるきっかけが見つかるお店」をコンセプトに、2006年に5人の学生が10DOグループを創業。その5年後に10°CAFEが誕生しました。コンセプトには、小さな変化も時を重ねていけば大きな違いになっていくという思いが込められています。
オーナーたちは卒業後、現役学生たちに店舗運営を一任。以来、店舗運営もシフト業務もすべて学生スタッフによって行われ、「学生自身が社会に直接コミットしていける場になっています」と店長の米澤直史さん(写真/下段左 早稲田大学 文化構想学部2年)。2017年度のスタッフ募集にも携わった姫田 樹さん(写真/下段中央 早稲田大学 法学部3年)は「みんなが課題発見や解決に主体的に取り組み、店舗という形を通してアウトプットしていけるのが10°CAFEです」と語ります。

 

■ 課題発見から、分析・解決までを店舗という形を通してアウトプット

7つのチームがプロジェクトごとにチームを組んで活動

東京都・高田馬場駅から徒歩3分ほどのところにある10°CAFEは、1・2階がカフェ、3階が会議やイベント、パーティなどのレンタルスペースです。この店が、通常のカフェでのアルバイトとまったく違うのは、ホールやキッチンのシフト業務をこなしながら、メニュー開発や設備の管理、情報発信など全員が役割を持ち、何らかのプロジェクトで店の運営に携わっている点です。27人の学生スタッフが、4人ずつ7つのチーム、「クオリティ」「スペース」「マーケティング」「CS」「広報」「会計」「人事」に所属。例えば「CS」は店内環境やサービス内容を見直し顧客満足度を高めます。「人事」は採用活動やスタッフが働きやすい環境づくりを行います。
「プロジェクトごとに各チームから1〜2名が参加してボーダーレスに活動していますので、広報なら広報活動だけで完結してしまうのではなく、だれもがプロダクトが世に出るまでかかわれることが、この体制の強みです」(店長の米澤さん)。

 

市場調査を基にメニュー開発し、SNSでの発信も

例えば、この春〜夏の情報発信として、「クオリティ」チームは市場の動向を調査。健康志向は高いのに、高田馬場駅周辺に健康系の飲食店がないことを課題として発見し、野菜をふんだん使ったランチメニューの開発に取り組みました。「広報」チームはHPやSNSで情報発信をしたり、「会計」は収支面から検討を加えたりします。開発したメニューは試作会を開いてスタッフで味や盛り付けなどにも、率直に意見を交わします。
「シフト業務と異なり、チームの仕事には給料が発生しませんが、当事者意識を持って店の運営にかかわれること自体に価値があると感じています。私自身、一緒に働く仲間に対する思いや、店に対する当事者意識や愛着が”もっといい店にしたい”という仕事へのモチベーションの源泉だと知ることができました。働くことへの動機付けを自覚できたことは、これから社会に出ていくうえでも意義があると思っています」(姫田さん)。

 

全体会議は月に1回、日ごろはビジネス向けチャットツールで

早稲田大学の学生を中心に、日本女子大学や学習院大学、上智大学、一橋大学など多様なバックグラウンドを持つ学生で構成。全体会議は月1回の定休日に行われますが、基本はプロジェクト単位で会議を持ち、改善した方がいいと気づいた点や、新たに取り入れたいサービスなど思いついたことは、だれもがすぐにビジネス向けチャットツールの1つ「スラック」に書き込みます。
「授業の時間割も居住地も違うメンバーが会議にでることもコストになりますし、時間的負担になります。グーグルドライブやスラックなどのツールを使うことで、会議での拘束を避け、大学生活と両立できるような組織運営を目指しています」と米澤さん。

 

■ 代表者インタビュー

写真左から

佐久間柚実(ゆみ)さん/日本女子大学家政学部 4年

谷口 寛さん/早稲田大学教育学部 3年

尾崎麻里さん/早稲田大学政治経済学部 2年

坂倉佑汰さん/日本外国語専門学校 1年

 

Q1 活動の目的や活動するうえで大切にしていることは?

学生が運営するCAFEですが、企業としての業績を上げていくために、広告制作をしたり、レンタルスペースの利用を促進するための企画を考えたり、それぞれが何をできるかを運営する立場で考え、責任を持って行動することを大切にしています。その結果、スタッフ一人ひとりが成長できる場になっているのではないですかね。(谷口さん)

Q2 団体に入ったきっかけは?

もともと来店客の一人としてよく利用していました。この店の雰囲気が好きだったんです。マーケティングを学びたいという気持ちもあったので、ここでなら勉強としてだけでなく、実際に市場調査をしたりデータを分析したり、マーケティングを実践的に学べると思い、応募しました。(坂倉さん)

学生経営のCAFEということに魅力を感じました。飲食店でアルバイトをしていたのですが、何か問題や改善点を感じたとしても、学生の身分ではなかなか口に出して言えません。でもここでなら、例えばチームの一員として夏メニューの開発にもかかわれますし、シフト業務に入ったときにお客さんの反応がダイレクトにわかります。学生が店のスタッフとして全体を見通し、状況を把握して問題提起できることに魅力を感じました。(尾崎さん)

Q3 活動を通じて何を学んだ? どんなことを得ている?

入って3カ月ですが、学校とは全く違う環境です。入ったばかりの自分の意見でも、みんなが真剣に聞き、意見を返してくれます。例えば、混雑時のお客さんへの水の提供時間について問題提起をしたときも、どのくらいかかっているのかを調査し、新たな設備を導入するとしたら店内レイアウトとして可能か、収支は合うかなどを検討してくれて。何かを変えようとしたら、何から手をつけどうやって進めていくのかを学べています。(坂倉さん)

いろいろな考え方や意見の人がいることで、刺激を受けています。プロジェクトでのグループワークなどでも、上手な進め方とはどういうものなのかを人から学べますし、自分の意見をうまく伝えられないときなどは、人を巻き込んで動かしていくことの難しさや大切さを感じます。もっと説得力のあるプレゼンができるようになりたいというモチベーションにもなっています。(谷口さん)

Q4 ズバリ、10°CAFEに入ってよかった?

通常は1・2年生で入るので、3年生から入った私は少数派ですが、それでも入ってよかったです。ここにはチャレンジできる土俵がありますから。何か提案したいと思ったら、スラックに自分の意見を上げることで、すぐに反応が返ってきます。みんなが解決すべきだと感じる問題なら、早々にプロジェクトに展開できる。シフト業務をしているときも、街でほかのカフェに入ったときも、なぜだろう、どうしたらいいのだろうと考える問題意識の持ち方が違ってきました。(佐久間さん)

Q5 逆に大変だった・つらかったことは?

夏メニューの開発で、さまざまな検討を重ねて提案したのですが、もっと詳しい人がいて凹みました。勉強になります。(尾崎さん)

店のシフトと違い運営業務は無給なので、やはり長時間になればそれなりに負担ですね。でもだからこそ、短時間に集中しようとするし、ドンドン意見を言って白熱した会議になったりするのだと思います。(坂倉さん)

 

《社会人との出会い・つながり》

オープン以来、店の運営と業務に携わってきたOB・OGの方が大勢いて、Facebook上のグループは120人にもなっています。社会で活躍する皆さんが、年に一度のスタッフイベントに参加し、日ごろから店にも来てくださいます。店舗運営で悩んだときは先輩方がアドバイスをくださる。学生時代という限りある時間を、同じ目標を持って一緒に過ごしたつながりの強さを感じますし、自分たちも後輩へと引き継いでいきたいと思っています。(姫田さん)

 

《これから団体・サークル選びをする皆さんへ》

これからは、キャンパス内だけにとどまらず社会と直接かかわり、社会人としての力を身につけることが学生にも求められるのではないでしょうか。同じ大学の人だけでなく、多様なバックグラウンドの人と交わり、社会に直接コミットできる場をもち、サークルやゼミだけでは、学べないことにチャレンジしてみてください。(米澤さん)

 

取材・文/中城邦子 撮影/刑部友康