足先を地面に少しだけ着ける、完全に挙げたまま

前十字靭帯断裂

原因

前十字靭帯断裂とは、膝関節にある前十字靭帯が断裂してしまう病気です。老化に伴って靭帯が弱くなっているところに肥満などによる負担がかかったり、急激な外からの力や捻転、外傷などが加わると発症します。その他に膝蓋骨脱臼などの持病を持つ犬が、伏せやお座りの体制から急に立ち上がって走ろうとしたり、ジャンプすることによって前十字靭帯に負担がかかり発症することもあります。

症状

症状としては、以下のようなものがあります。

足先を地面に少しだけちょこんと着ける完全に挙げたまま

痛みは断裂した直後にはみられますが、2〜3日経つと落ち着いてくることが多いです。

スキップ歩行、完全に挙げたまま、膝を曲げたり伸ばしたりする

膝蓋骨脱臼

原因

膝蓋骨脱臼とは、膝関節のお皿の骨が正常な位置からずれてしまう病気です。
原因は先天性と後天性に分かれます。
先天性の膝蓋骨脱臼は、生まれつき膝関節の周りの筋肉、骨の異常、靭帯の付着部分の異常などがあり加齢と共に進行して発症します。
後天性の膝蓋骨脱臼は、打撲や落下などによる膝関節の外傷で発症します。
膝蓋骨脱臼は全ての犬に発症しますが、特にトイプードル、チワワ、ポメラニアン、パピヨン、ヨークシャテリア、シーズーなどの小型犬に多くみられます。

症状

症状としては、以下のようなものがあります。

スキップまたはケンケンする様に歩く前肢に体重をかけ脱臼している足を完全に浮かせて歩く立ったまま脱臼している足を曲げたり伸ばしたりする

膝蓋骨脱臼の症状は、脱臼の程度によって無症状から歩行に影響が出るものと様々です。
正常な位置にお皿が戻ると何事もなかったかの様に歩き出しますが、膝蓋骨脱臼は繰り返し起こるため頻繁にこのような歩き方がみられます。

お尻を左右に振って歩く

股関節形成不全

原因

股関節形成不全とは、太腿の骨と骨盤とを結合する股関節に先天的な異常がみられる病気です。
ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、バーニーズ、セントバーナード、秋田犬などの大型犬に多い傾向にあり生後4ヶ月から1才までに発症することが多いです。

症状

症状としては、以下のようなものがあります。

お尻を左右に振って歩く(モンローウォーク)スキップやウサギ跳びのような歩き方後ろ足をうまく折りたためないお座り(犬座姿勢)が出来ないお散歩を嫌がる

股関節形成不全の症状は、体重が増加し運動が活発になる生後4ヶ月〜1才までに現れます。
症状は主に後ろ足の歩き方の異常ですが、その程度は股関節の緩みと二次的に起こる関節炎による程度によって様々で、軽症なものから歩くのが困難になるものまであります。
初期ではゆっくり歩き運動するのを嫌がります。そして四つ足を突っ張るような姿勢や片足をかばいながら歩きます。さらに進行すると腰が左右にふらつきお尻を振って歩き、後ろ足を外側に回転するように踏み出しながら歩きます。
重症では股関節が正常な位置に収まらなくなり少しの高さから降りただけで脱臼を引き起こすこともあります。

後ろ足が動かない、フラつく

椎間板ヘルニア

原因

椎間板ヘルニアとは、背骨の間にある椎間板と呼ばれるクッションが飛び出て脊髄や神経を圧迫し、障害をもたらした状態です。
原因は肥満、老化など様々です。ミニチュアダックスフンドのような軟骨異栄養犬種とよばれるわんちゃんは、発症しやすい傾向にあります。

症状

症状としては、以下のようなものがあります。

後ろ足が動かない後ろ足に力が入らないフラつく歩き方がおかしい抱き上げると痛くて鳴く動きたがらない排便排尿が上手く出来ない首、背中、腰の痛み

椎間板ヘルニアの症状は、神経の圧迫による障害の程度によって様々です。
軽症のものもあれば、重症では後ろ足が完全に麻痺してしまい引きづるように歩いたり、排便排尿も自力で出来なくなるケースもあります。

真っ直ぐ歩けない、フラフラする

前庭疾患

原因

前庭疾患とは様々な基礎疾患や原因により、顔が傾いたり、平衡感覚に異常がでたりするものです。
原因には、原因がはっきりしないものから、外耳炎から中耳炎や、内耳炎になってしまうことで生じたり、腫瘍などがあげられ、原因から生じた炎症が影響を及ぼすことでおこってきます。

症状

症状としては、以下のようなものがあります。

真っ直ぐ歩けないフラフラしているぐるぐる回る意味もなく頭を常に傾けている(斜頸)黒目がしきりに動く(眼振)歩けなくて倒れる

前庭部に炎症が起こると頭や身体の位置を把握したり、コントロールすることが出来なくなります。人間でいうとぐるぐる回ったあとに歩かされているような状態で真っ直ぐ歩けなくなります。

お尻を床に擦り付けて歩く

肛門嚢炎

原因

肛門嚢炎とは、肛門の近くにある肛門嚢に炎症が起きた状態です。
原因は肛門嚢にある分泌液(肛門腺)が何らかの原因で詰まってしまい、溜まった分泌液の中で細菌が繁殖し膿のようになります。酷い場合は肛門嚢が破け、中から大量の分泌液が出てきます。

症状

症状としては、

お尻を擦って歩く尻尾を追いかけるお尻を舐める痛みで鳴く肛門の周りが腫れる

などがあります。

まとめ

愛犬が思うように歩けなくなってしまったり、痛みで苦しんでしまうのはとても辛いことです。歩き方ひとつでも愛犬の健康状態が分かります。日頃とは違うちょっとした異変は病気のサインです。早期発見のために病気の初期症状を見逃さないようにしましょう。


(獣医師監修:加藤桂子先生)