日本テレビ系『過保護のカホコ』番組公式サイトより

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 高畑充希が過保護に育てられた女子大生・カホコを怪演している『過保護のカホコ』(日本テレビ系)も第5話まできました。視聴率は12.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最高を記録。遊川和彦脚本のドラマはいつも手堅いですね。急落したケースって、最近ではちょっと記憶にないです。というわけで、今回も振り返りです。

(前回までのレビューはこちらから http://www.cyzo.com/mt/mt-search.fcgi?IncludeBlogs=1&tag=%E9%81%8E%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%83%9B%E3%82%B3%20AND%20%E3%81%A9%E3%82%89%E3%81%BE%E3%81%A3%E5%AD%90&limit=50)

 せっかくママ(黒木瞳)と仲直りしたのに、今度はパパ(時任三郎)が急にブチ切れて家を飛び出してしまったことに戸惑うカホコ。パパの気持ちはわかりませんが、とにかく心配です。なんでママは平気な顔で「ほっとけば」とか言ってるのか、それもよくわかりません。

 そんなパパは実家にいました。昨夜のブチ切れについては「お灸をすえただけだ」と思っています。そのうちママが謝ってくるだろうと。まさかママはママで「反省するのは、ひどいことを言ったパパのほう」と思っているなんて、想像もしていません。

 どうしたらいいかわからないカホコは、フラれたけど友だちでいることになったハジメくん(竹内涼真)に相談しますが、やはり「ほっとけば」と。父親を早くに亡くし、7歳で母親に捨てられたという過去を持つハジメにしてみれば、その程度の家庭内トラブルは「心温まるエピソード」だと言います。

「おまえにはわかんないんだよ。親に愛されて育つのが、どれだけ幸せなのか」

 ママの言う「ほっとけば」は、「親は子を愛して当然」という認識から来ています。パパは1日だってカホコに会わなきゃ生きていけない。どうせ帰ってくる。パパがカホコを捨てることなんて、絶対にないと確信している。そんなママと、実際に親に捨てられたというハジメが、同じように「ほっとけば」と言うのです。

 思えばハジメは、初めてカホコに出会ったときから「過保護だ」「おまえのような過保護が日本をダメにする」と言い続けてきました。その意味が、ようやくカホコにもわかり始めてきました。

「パパ、カホコは過保護だと思う?」

 カホコはパパにメールします。

「今までハッキリ言えなかったけど、そう思う。もちろんパパも責任あるけど」

「そうなんだ、ありがとう」

 どうやら自分は過保護らしい、と気づき始めたカホコ。家に帰ればママがいつものように「お風呂入りなさい」「ボタン取れかかってるから出しときなさい」と世話を焼いてきます。これまで、なんの疑問も抱いてこなかったママのこれらの行為に、カホコは違和感を抱き始めます。

 パパはまだ帰ってきませんが、そんなカホコの変化に、敏感に気付いてくれたのも、やはりハジメでした。会話の端々からカホコの成長を読み取り「大人になってるねー」とホメてくれます。

「この機会に、親に甘えるのをやめて将来のことをちゃんと考えたほうがいい」

 カホコはハジメの進言に従って、インターンシップの仕事を探すことにしました。

 カホコが突然そんなことを言い出したのはハジメの影響だと、ママは見抜いています。当然、よい顔はしません。働くことは渋々認めたものの、勤務先はママが決めるし、ママが決めた学童保育で働いているカホコの一挙手一投足にも、まるでどこかの家政婦のように目を光らせています。子どもが転んで泣き出してしまえば、もうたまらず飛び出してきて、カホコを助けてしまうのです。この人だけは、最初っから全然変わりません。そして、カホコもパパも、ママのこうした行動の問題点を具体的に指摘することはできません。パパはパパで数日会わないだけで号泣しちゃうくらいカホコを愛しているし、カホコはずっとママの言う通り生きてきて幸せだったので、どうしても説得力がないのです。

 そんなママに忠告できる人が、ひとりだけいました。ママのママであるばあば(三田佳子)です。「カホコにできるだけのことをしてあげたい」「後悔したくない」というママに、ばあばは「子育てで後悔しない母親なんていない」「最後は覚悟を決めるしかない」と告げます。実際、ママはこの人に子育てされてきたわけなので、うっとおしいと思いつつも聞き流すことができません。

「子どもが転んでも立ち上がると信じて。愛するより、信じるほうが難しいんだから」

 ママの心が揺れ始めます。そして、カホコにお願いされて帰ってきたパパに、こう尋ねるのです。

「パパ、あたし、カホコを甘やかし過ぎなのかな、ちょっと……」


■「幸せが壊れるのが怖い」


 そうして、ママの過保護鉄仮面にヒビが入り始めたころ、同じように幸せだったはずのママの妹2人の家にも波乱が訪れていました。節ちゃん(西尾まり)は、病気でチェリストの夢が断たれた一人娘・糸ちゃん(久保田紗友)が大荒れ。出会い系に手を出してホテルの前で男とモメて補導されたかと思えば、親に対して「親と思ってない」とか「どうしたらそんな退屈な人間になれるの」とか「恥ずかしいと思わないの」とか「死んでもアンタたちみたいな大人にならないから」とか、傍から見れば中二病爆発でほほえましい限りだけど当の親たちにとっては超絶ショックであろう罵倒を繰り広げました。

 また、もうひとりの妹である環ちゃん(中島ひろ子)は、持病のぜんそくが悪化して入院生活に。夫・衛くん(佐藤二朗)の飲酒癖に悩んで、あまり眠れないそうです。「(衛くんを)怒らないであげて、反省してるし」と言うカホコに、環ちゃんはこうつぶやくのです。

「怒ってるわけじゃないのよ。幸せが壊れるのが怖いの、悪いことが起きそうで……」

 妹たちがそれぞれに悩んでいる中、いよいよママのところにも「幸せを壊す悪魔」がやってきました。そうです、ハジメくんです。

 なぜかずぶ濡れになっているカホコと一緒に、ハジメが玄関先までやってきました。

「これ以上、関わらないで! 心配なの、これからどうなるか、怖くて……」

 ばあばに忠告されて、ママはいつになく弱気です。一方のハジメは超強気です。

「娘さんともう会えなくなるのは嫌です(キッパリ)」

「できれば交際を許してほしいと思ってますけど(キッパリ)」

 そして、「また改めてお願いしに来ます」と礼儀正しく言い残して去っていきます。

 この上なく心がザワザワするママですが、努めて平静を装いながら「ほら、早くお風呂入んなさい」とカホコの腕を引きます。壊されたくない日常を継続しようと必死です。しかし、ずぶ濡れになったカホコには大きな異変が現れていました。

「カホコ、もうママに甘えないようにする」

 なんと、朝は自分で起きるし、洋服も自分で決めるし、食器も自分で洗ってお弁当も自分で作る。駅までも自分で歩く。花嫁修業のことも就職のことも、一回自分で考えてからママに伝えるようにする。と言うのです。なんということでしょう。

 ママの顔面は再び鉄仮面と化し、「そう、わかった」と言い残すと荷物をまとめ、家を出て行ってしまったのでした。何を考えてるんだ、どんな気持ちなんだ、ママ!


■カホコとハジメに何があったかは、わりと重要ではない


 以前にも書きましたが、ハジメという人物は、このドラマでほとんど唯一の“外部”として登場しました。つまりは、カホコにとっての社会そのものと言っていい存在です。

 そのハジメとカホコが影響を与え合うことで、関係が結びついていく。それは、カホコと社会の関係が結びついていくことと同義として描かれています。カホコがいちいち新鮮に「こんなの初めて!」とリアクションを取りながら世界を広げる様がみずみずしく描かれることで、そして高畑充希と竹内涼真という2人の役者さんがみずみずしく演じ上げることで、『過保護のカホコ』は鮮やかな成長ストーリーとして成立しています。

 しかし、ドラマが訴えようとするのは、あくまでママの変化であるように見えます。もっといってしまえば、「ママの狭い世界を破壊する」というところにゴールを設定しているように見える。そして、ママが徹底的に破壊されて、そこからささやかに再生する姿が見たくなってくるのです。やっちゃえ、遊川! って感じで。今回はここまで。
(文=どらまっ子AKIちゃん)