By Pabak Sarkar

心身ともに満たされるセックスライフを送るためにはいくつかの重要な要素が欠かせないものですが、その背景には性的な欲求をどのように自分の中で処理し、統合しているかが重要であることが研究で明らかになってきています。

Understanding the Cognitive and Motivational Underpinnings of Sexual Passion From a Dualistic Model. - PubMed - NCBI

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27936833

The Science of Passionate Sex - Scientific American Blog Network

https://blogs.scientificamerican.com/beautiful-minds/the-science-of-passionate-sex/

ケベック大学モントリオール校のフレデリック・フィリップ教授およびオーストラリアカトリック大学のRobert J Vallerand教授らによる研究チームは、「調和的な性的情熱(harmonious sexual passion)」の概念についての研究をまとめて論文を発表しました。

この概念は、人生においてセックスとは異なる領域への干渉を最小限に留めたまま、自己とは異なる相手と調和・協調されている性への情熱を指すもの。性に対する欲求を調和的に統合することで、人のセックスアクティビティはオープンかつ強制されない自発的なものになり、攻撃性のないものになるとのこと。ある人物が「調和的な性的情熱」をどの程度持っているのかを計る際には「セックスは自分の一部でありつつ、自分とは別の人との調和である」「セックスは私の人生にうまく統合されている」「セックスは私の人生の他の活動とよく統合されている」などの質問を行うそうです。



By Ruby Lane Photography

一方、対極といえる「攻撃的な性的情熱」を持つ人物の場合は、セックスが自己や生活にうまく統合されておらず、性的欲求が自己そのものや他の要素とうまく統合されずにさまざまな影響が現れている状態になっているとのこと。この場合、セックスは単にオーガズムを求めるだけの狭義なものとなり、セックスそのものに脅迫的な観念を持つようになる傾向にあると論文では示されています。いわば、肉体的な欲求や切迫感のようなストレスにさいなまれることとなり、セックスで得られる「喜び」が限定されたものになってしまっているというわけです。

攻撃的なタイプは、セックスの行為中であってもネガティブな感情を抱くといいます。攻撃的な性的情熱を持つ人の場合は、セックスに対するガツガツとした考え方や、他の目的との摩擦、別のパートナーへの関心、そして、性的な魅力をもつ対象を目にした時に、今目の前にある課題に対する集中力を維持することが難しい、といった特徴があるとのこと。

また、これらの人の場合は一つの情報をバイアスがかった(偏った)見方で処理してしまう傾向にあるとも。たとえば「ナース」や「ハイヒール」、「制服」などのキーワードに強い性的印象を抱くというのが典型的な例だとのこと。一方、調和的なタイプの場合は愛情を抱く相手やその他の人物など、人生におけるさまざまな要素と高く調和がとれた状態になっているといいます。



By Raphael Chan

ある興味深い結果のひとつとして示されているものとして例えば、被験者に「1分間で可能な限り性に関する単語を書け」と指示したところ、調和的な人と攻撃的な人の間には明確な違いが見られたとのこと。攻撃的な人の場合は「penis(ペニス)」や「breasts(胸)」「vibrator(バイブレーター)」など、明確に性的なものを感じさせる用語が多かったのに対し、調和的な人は「intimate(親密さ)」や「caress(愛撫)」「intercourse(性交)」といった、直接的な性を感じさせない用語を多く挙げたことがわかっています。そしてこの結果からは、明確に性的な言葉とそうではない言葉の比率が「2:1」であることを境にして、その人物は攻撃的な性的情熱を持っているかどうかの判断がつく傾向にあることが浮き彫りになっています。

ここで重要なのは、攻撃的な性的情熱は必ずしも「性的衝動」や「セックス中毒」とは同一のものではないという点。セックス中にネガティブな感情を持つことはこれらの人物に共通していますが、攻撃的な性的情熱を持つ人物はセックス後においてもある種の「苦悩」を持ち続けているというのが特徴だとのこと。

上記のどちらのケースにあてはまる人物であっても、性的欲求を持つことは何ら変わりがありませんが、それをどのように処理するかによって違いが生じてくるとのこと。統合的に受け入れられる人の場合はより豊かなセックスライフを送ることができますが、攻撃的な要素を持ったまま処理しきれない人物の場合は、いわば「後味の悪い」セックスにしか至らない傾向にあることが浮き彫りになっています。