アニマルホーダーの中でも根の深いレスキューホーダーという問題を知る

何十匹という犬や猫を抱えて、まともな飼育ができなくなり飼い主も動物も共倒れになってしまうという例は色々なところで見聞きしますね。
異常な数の動物を手元に集める人をアニマルホーダーと呼びますが、その中でも、規模が大きくなりがちで改善の難しいレスキューホーダーというタイプがあります。
この記事ではレスキューホーダーとは何かということから、一般の人も気をつけたいことまで、社会全体のために知っておきたいことをお伝えしたいと思います。

レスキューホーダーとは

飼い主に捨てられたり町をさまよったりしている犬や猫を保護して新しい家族を探すという保護活動をしている人や団体が、自分のキャパシティを超える数の動物を保護してしまい、周囲の人々や当の犬や猫に被害を及ぼしているような状態をレスキューホーディング、過剰な保護活動をしている人をレスキューホーダーと呼びます。
日本と同じく、アメリカでもレスキューホーダーが社会問題のひとつになっています。アメリカ動物虐待防止協会の統計によるとアニマルホーディング全体のうち約4分の1は保護活動を行っている人や団体によるものだとしています。つまり、それくらい動物保護活動とアニマルホーディングは近い距離にあるということです。

行き場のない犬や猫を保護する施設を名乗るところが、本来の収容数の限界をはるかに超えてスシ詰め状態になっていたり、個人で保護活動をしている人の自宅が世話を仕切れないほどの犬や猫で溢れて不衛生な状態になっている、規模の差こそあれ、SNSなどでもよく目にする事例ですね。

レスキューホーダーになりがちな傾向とは

ホーディング状態になってしまっている保護団体や個人保護活動家も、最初はきちんと活動を回して犬や猫を新しい家庭に送り出していた場合がほとんどです。不幸な動物を見ると放っておけなくて連れ帰ってしまうという例が多いのが切ないところです。
ホーディングに陥りがちな傾向には次のようなものがあります。

自分の能力の限界を認めない

経済力、人手の確保、施設の大きさ、そして精神的な強さ、これらはどれも保護活動に必要なものです。引き受ける動物の数が、このうちのどれかひとつでも限界になった時にはどんなに辛くてもNOと言えなくては、関わった人間も動物もみんな不幸にするという結果になってしまいます。レスキューホーダーになってしまう団体や人はこの限界の見極めが甘かったり、限界を認めないために悲劇を生んでしまいます。

恐怖感や不信感がとても強い

「今この犬を引き取らなくては殺処分になってしまう」「この里親希望者はこの犬を幸せにできないんじゃないか」という恐怖を必要以上に強く感じていて、里親希望者や他の保護団体を信頼することができないというのも傾向のひとつです。
目の前の動物を救うことができるのは自分だけという思い込みが強すぎて、動物を新しい家庭に送り出すことも他の保護団体に任せることもできなくてホーディング状態になります。

保護活動に携わりたい、現在なんらかの活動をしているという人は「自分の能力の限界を知る」「助けを求めることも時には必要」ということを常に忘れずにおきたいですね。

一般の人が気をつけるべきことは?

犬や猫の保護活動に参加していない一般の人も、レスキューホーディングを助長しない、レスキューホーダーを作り出さないために気をつけるポイントがあります。「犬が好き」「猫が好き」という人が陥ってしまいがちなことですので、ぜひ知っておいてください。

動物保護団体に支援をする時には事前のチェックを

レスキューホーダーという存在を知らないと「自分を犠牲にしてまでたくさんの動物を救おうとする素晴らしい団体(または人)」という印象を持って、寄付などの支援をすることもよくあります。けれどホーディング状態になっているところに支援をすることは、さらに保護する犬や猫の数を増やし不幸な動物を増やすことにもつながります。支援をする場合は、実際に動物達がどのような環境にいるのかをきちんとチェックしてからという注意が必要です。
金銭や物品の支援だけでなく、過剰な賛美の言葉なども責任感の強い人にとっては「期待を裏切れない」と自分を追い詰める原因にもなり得ると知っておきましょう。

丸投げしかできないなら最初から関わらない

少し強い言葉になってしまいましたが、これは本当に大切なことです。道端や引っ越していった家などで犬や猫を見つけたと言って、保護活動をしている人のところに「引き取ってあげて」と持ってくる人は多いものです。個人で保護活動をしている人のところに直接犬や猫を持ち込むことは原則NGです。それはまさにレスキューホーダーを生み出す温床になるからです。大きな保護団体などでも直接の持ち込みを引き取っていてはあっという間にパンクしてしまいます。世話や里親募集についての相談などなら快く引き受けてくれる場合も多いですが、完全に丸投げしかできないなら、それは「自分の能力の限界」をわかっていないということです。

まとめ

レスキューホーダーという、まだあまりなじみのない言葉を紹介しましたが、その内容は心当たりがあるという場合も多いのではないでしょうか。
日本よりも大規模な動物保護団体の多いアメリカなどでも、レスキューホーダーはたびたび問題になります。動物保護活動という善意の行動がベースにあるので、周囲も歯止めをかけづらく、被害が大きくなることも多いのです。
レスキューホーダーというものの存在を知り、気をつけるべき点を知る人が増えることが、助けを求めやすい環境を作りブレーキにもなります。犬や猫、そして人間の幸せのためにも知っておきたいことです。