北朝鮮からミサイル攻撃を警告された米グアムの住民の間では、過去に同様の脅しを北から受けた経緯から、警告を「プロパガンダだ」などと冷静に受け止める向きが強い。

 グアムの米軍基地は太平洋地域で、同盟国に頼らず米領に配置する最西部の主要拠点とされ、北朝鮮はグアムから飛来する戦略爆撃機を警戒してきた。一方、米朝が挑発や非難の応酬を繰り広げる中、偶発衝突を懸念する声も高まっている。

 北朝鮮が、あからさまに軍事的な「脅し」をグアムに向けたのは、今回が初めてではない。

 朝鮮人民軍総参謀部は昨年9月、米爆撃機の展開を非難する声明の中で、「グアムを地球上から消す」と過激な表現で警告した。金正恩・朝鮮労働党委員長も2013年、米軍に対する攻撃計画の立案を軍に命じる中、グアムを攻撃対象として挙げた。

 北朝鮮の激しい敵対姿勢の背景にあるのは、グアム・アンダーセン空軍基地に配備された戦略爆撃機の存在だ。発見されにくい低空で長距離飛行が可能なB1爆撃機は、同基地から朝鮮半島まで2時間弱で飛行。北朝鮮の弾道ミサイル発射などの挑発に対し、米軍はB1をグアムから朝鮮半島方面に飛来させて牽制し、北はそのたびに強く反発してきた。

 一方、北朝鮮による「警告」を受けても、現地住民は落ち着いた対応をみせている。「北朝鮮はいつも他国を脅してきた。今回もプロパガンダのひとつだ」。AP通信によると、祖父や兄弟が米海軍に勤めていたという住民(60)は、そう話して北朝鮮の脅しを突き放した。

 ただ、住民に警戒感が強まっているのも確かだ。バス運転手(37)は米ABCテレビに、「少しパニックになっている。本当に攻撃されるのなら、グアムを脱出したい」と話した。

 1898年に米西戦争の結果、米領となったグアムでは、米本土との間に温度差を感じる住民もいる。北朝鮮がことさらグアムに「脅し」をかける背景に、米からの離脱を求める住民に揺さぶりをかける狙いがあるとする見方もある。