今は亡き、やしきたかじんさんの名曲『東京』では東京に住む男性への思いを寄せる切ない恋心が、シャ乱Qの『上・京・物・語』では地方から上京する若者たちの葛藤が歌われた。かつて、関西人にとって東京は憧れの場所だった。

 しかし、それが今では少し違うようだ。

 世界最大の旅行サイト「トリップアドバイザー」による人気テーマパークの口コミランキングで、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が東京ディズニーランド、東京ディズニーシーを抑え日本一に輝いた。そんなUSJの人気アトラクション「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」のBGMにはDREAMS COME TRUEの「大阪LOVER」が採用されている。

 年間テレビ出演数200本以上、関西人であれば誰もが知る"ロケの神様""最強レポーター"のタージンは「今日、どんな人に出会えるだろうかとか、どんな感じに転がっていくとかが楽しみ」と話す。「人間の魅力。面白い人が多い。もちろん関東にも名古屋にもは面白い人はたくさんいらっしゃるのかもしれないが、大阪はその率が高い」。長年、関西の人々の厳しい意見を聞く中で、独特のリポートテクニックが生まれたのだという。

 「タージンが東京に来たら誰も太刀打ちできないと思う。タージンさんがポンと出てきたら、我々は本当に宝石箱どころか"お払い箱"」。同じ関西出身で、東京で活躍するグルメリポーターの彦摩呂は、タージンのすごさについてそう語る。

 「編集しやすいように、『はい!終わり!』『何とかでございます!いかがでしょうか!』と止めている。タージンさんが止めたところを繋ぐだけで仕上がる。だからもうリポーターというより、すごくやりやすい"リピーター"」(彦麻呂)。 

 古くから歌舞伎や落語などの文化を発信してきた関西。上方文化評論家の福井栄一氏は「厳しい客のまなざしがあるので、セリフのやりとりも濃密で、笑いの要素も多い。だから江戸前の役者が大阪に来ると戸惑ったようだ。ただヒーローがきれいにチャンチャンバラバラと悪者を倒すだけでは、ナニワっ子はなかなか認めてくれなかったようだ」と話す。関西人にとってお笑いは生活の一部なのだ。

 民俗学者の畑中章宏氏は「戦後、"東京と上方"という比較になっていったが、そもそもは奈良や京都に都が置かれていたし、話芸や文学自体、関西が発祥。古事記、日本書紀、万葉集なども、今でいうところの関西弁で綴られてきたものだ。ある意味で東日本の言葉、笑いは後発だと言える」と説明する。歌舞伎も関西が発祥とされ、法話に笑いの要素を取り入れた京都誓願寺の法主・安楽庵策伝は「落語の祖」と呼ばれている。

 かつてケンドーコバヤシとお笑いコンビ「モストデンジャラスコンビを組んでいた村越周司。コンビ解散後も、関西限定で活動を続けている。

 ギャグを3000発持っているという村越は、「会社の宴会で一発ギャグないのか、面白いことやってみろ、と上司に言われるだろうから」と、道行く人に持ちギャグ1発を"著作権と使用権込み500円"で販売している。

 AbemaTV『AbemaPrime』にゲスト出演した村越とケンコバは「何でこんなものに500円払わないといけないんだ。お前が500円払え!」「1日50人くらいは買ってくれる!」「お前、それちゃんと納税してるんだろうな」と、軽快なやり取りで息のあったところを見せた。

 村越は「大阪の生放送でちょっと問題を起こしてしまって。夢持って東京に来たんじゃなくて、逃げてきた」と半ば冗談交じりに説明するケンコバに対し、「昔はホンマ"殺人グマ"だった。今はただの"かわいいクマのプーさん"。"守り"に入っているというか。年齢的なものとか、吉本での地位もわかるけど、そこはホンマに残念!」と口撃する。

 しかし、関西から東京に出て大物になった芸人も多く、東京進出を目指すあまり、関西にいる若手が地元でのウケよりも東京で売れるような"万人ウケ"の笑いを目指すようになるのではないか、という懸念の声もあるようだ。

 これに対しケンコバは「そんなことは"逃げ"の一言。求められた仕事をするということが分かっていなくて、そういうことを吠えてしまう。僕も若い時に吠えていた。でも結局、どこでやっても人を楽しませるということは一緒だし、その最低限のルールだけは変わらない。だからあんまりこういうことは言わない方がいい」と真面目に語った。

 これに村越が「勘違いしているヤツもいっぱいいる。自分が面白いと。錯覚しているヤツがクソほどいる。はっきりそこを言いたい」と便乗すると、ケンコバはすかさず「今日のスタジオに来ているヤツ」とツッコんだ。さらに、村越が「コバヤシがこういう地位になるとは思っていなかった。だから解散した」と、自分からコンビ解散を申し入れたことを明かすと、ケンコバは「解散した瞬間からメチャクチャ仕事が増えた。村越くんがネックだったと言われた」と笑わせた。

 大阪府は2025年の万国博覧会を開催するために誘致活動を始めている。また文化庁が2021年度までに京都に移転することが決まっている。こうした動きについて畑中氏が「1970年の大阪万博では、小松左京や堺屋太一といった関西出身の人々がアドバイザーなどになって作り上げていった。今、そういうスケールの大きな人がいいるのか不安ではある」と話すと、ケンコバは「村越がいるので、関西は今ダメだ」と締めくくった。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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