ケニア北西部のトゥルカナ湖の西で発掘された幼い類人猿「アレシ」の頭蓋骨。ネイチャーのウェブサイト経由でリーキー財団が提供(2017年8月9日入手)。(c)AFP=時事/AFPBB News

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【AFP=時事】1300万年前に火山噴火で埋没した幼い類人猿の頭蓋骨には、人類と類人猿の共通祖先に関する興味深い手がかりが残されているとの研究結果が9日、発表された。また今回の結果は、人類と類人猿がアフリカを起源とする可能性が高いことを示唆しているという。

 英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文によると、人類の祖先と同じ系統群に属するこの新種の動物は、人類と遠い類縁関係にあるテナガザルの顔に似た平らな顔をしていたが、動き方までは似ていなかったという。

 このレモン大の頭蓋骨化石を発見した米ストーニーブルック大学(Stony Brook University)などの研究チームは、化石発掘地のケニア・トゥルカナ(Turkana)地方の言葉で「祖先」を表す単語の「アレス(ales)」にちなみ、新種動物を「ニャンザピテクス・アレシ(Nyanzapithecus alesi)」と命名した。

 唯一の化石標本であるこの頭蓋骨は子どものもので、大人に成長すると体重が約11キロに達したと考えられる。同時代に生息していたサルに比べてはるかに大型の脳を持っていたと、研究チームは指摘している。

 論文の共同執筆者で、ストーニーブルック大のアイザイア・ネンゴ(Isaiah Nengo)氏は、AFPの取材に「あらゆる生物と比較して、最もよく似ているのはテナガザルだ」と語った。

 この驚くべき化石が発見された場所は、類人猿と人類の祖先が住んでいたのは一部で推測されていたアジアではなくアフリカだとする説を裏付けていると、研究チームは述べている。

「今回の結果により、ヒト上科動物のルーツをアフリカによりしっかりと定着させることができる」と、ネンゴ氏は述べた。「ヒト上科」は、類人猿の進化系統群の名称だ。

 ヒト上科は二つに分岐し、一方は人間、ボノボ、チンパンジー、ゴリラ、オランウータンなど(ヒト科)、もう一方は敏しょうな、木の枝から枝へと腕渡りするテナガザル(テナガザル科)のみとなっている。

 今回発見された新種は、それよりはるかに古い、ヒト上科動物の祖先を含む先駆的なグループに属していたと、研究チームは結論づけた。

■生える前の永久歯で年齢特定

 正式名称はまだないこのグループは、数百万年前まで生息し、死に絶えた。

 アレシの頭蓋骨は、約2400万年〜500万年前の中新世に生息していた類人猿の頭蓋骨化石としては、これまでに発見された中で最も完全に近い形のものだ。

 高性能スキャン技術を用いて頭蓋骨を調べた結果、アレシはある種のテナガザルに似た歯を持っていたことが分かった。

 アレシの乳歯は取れてなくなっていたが、まだ生えていない状態の永久歯が顎の内部に残っていたため、非常に高い精度で年齢を判定できた。それによれば、1歳4か月で死んだという。

 また、アレシの耳にある平衡器官がテナガザルのものと異なっていることから、移動方法もテナガザルとは違ってそれほど敏しょうではなかった可能性が高いことも明らかになった。

 約700万年前にチンパンジーから分化して以降の人類の進化については多くのことが分かっている一方、1000万年前より前の共通祖先については、これまでほとんど明らかになっていなかった。
【翻訳編集】AFPBB News