EXILE HIROが企画・プロデュースを務めた『HiGH&LOW THE MOVIE 2/END OF SKY』が、8月19日より公開される。『HiGH&LOW』は、リアルとファンタジーがコラボした世界観で、映画、ドラマ、動画配信、コミック、SNS、アルバム、ライブなど、あらゆるメディアを巻き込んだ総合エンタテインメント・プロジェクト。今作は、「最強の兄弟」と謳われる雨宮兄弟にスポットを当てたスピンオフ映画『HiGH&LOW THE RED RAIN』に続く劇場映画第三弾で、これまでシリーズ作に出演してきた俳優陣が続投するほか、新キャストとして、EXILE TRIBE のメンバー小林直己、NAOTO、関口メンディーらが名を連ねている。さらに広大となった世界観の中で、熱い男たちの戦いと友情を、パワーアップしたアクションとともに描く。

参考:『HiGH&LOW THE RED RAIN』は稀有なアクション映画だーー『END OF SKY』公開に備えて

 リアルサウンド映画部では、映画の公開に先駆けて、『HiGH&LOW』シリーズの脚本を手がける平沼紀久氏にインタビュー。俳優として活躍している平沼氏が、脚本を書き始めたきっかけから、その独自の方法論、さらには人気キャラクターの裏話についてまで、たっぷりと語ってもらった。聞き手は、ライターの藤谷千明氏。(リアルサウンド映画部)

■キャラクターとキャラクターのチームのバックボーンも全部作ってます

ーーまずは『HiGH&LOW』という企画がスタートした経緯を伺いたいです。

平沼:もともとHIROさんと僕と川田(LDH JAPAN執行役員/マネージメント本部・本部長の川田真太郎氏)の3人で「長く続くシリーズ物の作品を作りたい」という話を以前からしていて、例えば「『海猿』のようなシリーズ物の映画っていいよね」みたいな。

ーー2013年にEXILE HIROさんがグループを「勇退」したこともあり、新たな事業展開としての構想だったのでしょうか?

平沼:いや、最初はそんなことじゃなくて、皆で飲みながら思いついたことを話して爆笑しながら作っていくような流れでした。たとえば、ウチ(LDH)に八木将康(劇団EXILE)という役者がいるんですけど、将康の顔がちょっとエラが張っているので、そこを誇張して「カニに似てるからあいつ”カニ男”という役にしよう」から始まり、「カニ男は昔お遊戯会でカニの役をして、カニって呼ばれると怒るんだ」「それやばいっすね」なんて話になり、「じゃあお母さんは片桐はいりさんとか、お兄ちゃんはザブングルの加藤さんにも出てもらおうよ」と、そこで「カニ男一家」が生まれたんですよ。

ーー実際『HiGH&LOW』ドラマ版の「SEASON1」に「カニ男のお遊戯会のエピソード」は出てきますね。そこからどのように「SWORD」の世界が広がっていったのでしょうか。

平沼:そこから「次は”超最強の兄弟”も欲しいよね」「それがTAKAHIROと臣(三代目J Soul Brothers 登坂広臣)だったらやばくない?」「やばいっすね。」なんて話になり、「じゃあチームもいっぱい作ろうよ」「じゃあ岩ちゃん(EXILE・三代目J Soul Brothers 岩田剛典)はこんなチームだね」みたいに盛り上がっていったんです。HIROさんはLDHのメンバーの個性やキャラクターをひとりひとり把握しているので、その特色を生かしたチームを描いていきました。僕もLDHに所属して長いので後輩や同期、先輩もいるので「じゃあこのキャラクターにはこのメンバーどうっすかね?」と提案をしながらチームが出来上がっていきました。それが『HiGH&LOW』誕生のきっかけですね。

ーービジネス的、LDHの事業拡大の一貫というわけではなく、仲間同士のフランクな会話からスタートしたと。

平沼:そうです。そこからストーリーを作る前にキャラクターを掘り下げていきました。「何人家族か」「どんな所に住んでいる」「好きな食べ物は」というキャラクターを掘り下げていきました。

ーーまずはキャラクターありきで始まったのですね。

平沼:何故キャラクターありきかというと、それにも理由があります。今まで、(LDH所属の)メンバーに対してドラマや映画からオファーを頂く中で、HIROさん的にも「もっとこういうキャラクターにしたい」「もっと肉体をこう使いたいんだ」という想いがあった。それと、メンバーがドラマや映画に出演した時に、もちろん皆頑張ってますけど、お芝居のことを良い風に書かれない時もあった。それを僕は(LDHの)俳優部として、ずっと見てきたので、だったら本人が役を演じようとするんじゃなく本人をそのまま役に投影できるようなキャラクターを作ったら、出てくるだけで「その役」になるんじゃないかと。キャラクターを乗せていくことによって、ただ存在しているだけで「その役に見える」が究極の役者の演技だと思うんです。それを目指すために、キャラクターに俳優本人の良いところを組み込んで作っていきました。

ーー『HiGH&LOW』シリーズの脚本はどのようにして制作されるのでしょうか。『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』には脚本クレジットには平沼さん、同じくLDH所属の脚本家、渡辺啓さん、そして福田晶平さん、上條大輔さんという外部の脚本家、そしてTeam HI-AXとあります。こちらはどのように連携されているのでしょうか

平沼:渡辺とは10代から一緒にいる幼馴染みたいなものなので、連携がすごい取りやすいんです。まずプロットを元に、HIROさんと「今回の話のイメージはこう」とか「テーマはこんなの」とかざっくりとした青写真を打合せして、それを持って帰って渡辺と構成を作っていく。ちなみに『HiGH&LOW』の脚本を作る時の特徴として「家に持って帰らない」んですよ。

ーーそれはどういう意味でしょうか?

平沼:要は各自が家に持って帰って書いてくるようなことはあまりやらずに、大きいモニターのある部屋で渡辺と僕であーだこーだ言いながら構成を作り「じゃあこのシーンは誰々のセリフからいくよ」と書いていくんです。もう1人はそのモニターを見ながら「じゃあこういう感じはどう?」と言ってくる。そこで「それじゃ前のシーンもうちょっとこうしておこうか」となったりする。で、「(キーボードを)打つの疲れた」となったら交代、みたいな。これを構成の時、脚本にしていく時、モニターを見ながらずっとやってるんです。

ーー非常にライブ感のある作り方ですね。いわゆる「コライト(共作)」じゃないですか。世界的にみてもこういう手法が注目されているそうなのですが、その流れは意識されていましたか?

平沼:全く意識していませんね。「コライト」って言葉すら知りませんでした。結果的にそれが1番やりやすいっていうか。だって、家で書いてくるとその人だけのイメージになりかねないじゃないですか。今回だと福田と上條が入ってるんですけど。福田とは『DTC(※「HiGH&LOW THE LAND」で放映されているショートコメディ映像)』を一緒に作ってたりする流れから、映画にも入ってもらいました。」上條もそうですね。全然違う畑の人が入ることによって生まれる反応というか、僕たち「『HiGH&LOW』バカ」になってるので、「こういうのがいいんじゃないですか」と新しいイメージが入ってくることで「じゃあこうしようか」という風になっていく。構成を作る時が1番大変ですね。その構成がどう面白くどうドキドキして、どうワクワクするを考える時間の方が長いんですよ。

ーーなるほど。

平沼:プロットからHIROさんと打ち合わせを重ねて台本にするんですが、HIROさんは本当に映画が好きな人なので、イメージを伝える時、映画の作品名をあげて「こんなイメージ」とか、分かりやすいんです。また「この人がこのシーンで怒るのはきっと裏で絶対何かあったよね」と、映像には出てこないけど、その「怒っている理由」も細かく作っています。だからキャラクターとキャラクターのチームのバックボーンも全部作ってます。各チームの話だけで別の作品が1本作れるくらいになってるんですよ。

ーーもう「『HiGH&LOW』ユニバース」ですね。

平沼:まさに『アベンジャーズ』ですね(笑)。

ーーちなみにこの「Team HI-AX」というのは、クリエイターチームの名称なのでしょうか。

平沼:HIROさんを中心にしたチームですね。もとになるアイデアを全部作ってるのはHIROさんなので。

■キャラクターたちも、次にステップアップする時期は絶対に出てくる

ーー『HiGH&LOW』の舞台設定は、昔ながらの商店街という趣きの「山王街」のわりと近くに「無名街」という無国籍風スラムがある、独特の世界観ですよね。

平沼:はい、ここはかなりぶっ飛んだイメージで作っていて、無名街は何かしら理由があって来た人たちが集う場所で、以前の自分を消し去ることから名前を失くしている者や、自分の名前すら知らずにここに捨てられた者がいる街。僕の中では『HUNTER✕HUNTER』に出てくる流星街が頭の中にあったんだと思います。そこに「スモーキーマウンテン(※フィリピンにあるスラム街)」のイメージもあって。

ーー「無名街」を守るリーダーのスモーキーの名前の由来はそこからなんですか?

平沼:それもありますし、スモーキーも元々名前がなく、この地で付けられた名前なので、ヘビースモーカーで身体を悪くした…とか、色々なイメージがあり『スモーキー』になりました。なのでHIROさんのイメージの中ではスラムやギャング、HIPHOPの世界で、そのスラムを僕が誇張していくというか。

ーーなるほど。『HiGH&LOW』のHIPHOP的かつ少年漫画風の世界観はそのようなやりとりから生まれたのですね。例えば、キャラクターの職業は、バイクが出てくるからコブラの家はガソリンスタンド、ヤマトの家はガレージで、皆が集まれる場所があったほうが良いから「ITOKAN(山王連合会の集まる溜まり場)」が……、というように肉付けされたということでしょうか。

平沼:そうですね。それが近いです。

ーーテッツの家が銭湯というのは?

平沼:さびれた街の商店街をイメージした時に銭湯がすぐに出てきて、さらに裸出したかったんですよ。「裸が出ると女の子たち(のテンションが)アガるよね」と(笑)。

ーー女性受けも視野にいれていると。

平沼:狙ってますよ! 観てる人にどう楽しんでもらうかばっかり考えてますよ(笑)。

ーーちなみに、琥珀の職業は何になるのでしょうか。

平沼:トラブルシューターです。街に何かあった時に「トラブっちゃったんです、琥珀さん」「どいつとだよ?」みたいな感じで。多分それは琥珀でしか解決できないようなことが多いんですよ。

ーーでは琥珀を慕う九十九もそこについていくというような。

平沼:そうですね。リアルな方向になっていってしまうと放送できないものになってしまうじゃないですか。例えば「金融業をやってる」とかになってしまうと、また違うジャンルの話になりますし。

ーー『闇金ウシジマくん』や『実話ナックルズ』のような方向性に……。

平沼:なりますし、「White Rascals」も繁華街のスカウトなんですけど、『新宿スワン』的じゃないスカウトの話をどうやるかっていうことを考えて作っています。

ーー「女性を守る」というポリシーを貫くスカウトという存在ですね。

平沼:「『HiGH&LOW』でのスカウトならこうだよね」とか、リアルとファンタジーをうまく組み合わせて、リアルを軸にテーマを伝えやすく、楽しんでもらうためのファンタジーを加えていく感じですかね。

ーー世界観が基準になってるんですね。

平沼:そうなんです。「『HiGH&LOW』だったらこう」ということを作りながら考えていくんですね。よく「(HiGH&LOW』の世界には)警察があまり出てこない」とか言われたりするんですけど。

ーー現状、西郷刑事以外はほぼ出てきていないですね。

平沼:でも本当に警察が出て来たらもっと掘り下げないといけなくなるところがいっぱい出てくるじゃないですか。「それは『HiGH&LOW』的に面白いのかな?」と思うんです。だから今は子供たち中心の「青春」というか、卒業するまではこの感じでやっていきたいんです。

ーーその「卒業する」というのは具体的には?

平沼:これはEXILEの言葉でもあるんですけど、「永遠はない」というテーマがあって。

ーー永遠に続くものはないからこそ、EXILE TRIBEは新陳代謝をおこなっていかなければならないという話は、HIROさんの自伝『ビビリ』にもありますね。

平沼:でも琥珀は(『HiGH&LOW THE MOVIE 1』で)そこに引っかかっていた。例えば結婚して子供が生まれたら、それ以前と同じように飲みにいけない、そうすると「少ない時間の中で楽しく高揚する飲み方」だって変わってくる。人は変化しなければならないというのは、HIROさんも僕も同じように思っていたことなので、自然とセリフにも反映されていきました。だから『HiGH&LOW』のキャラクターたちも、次にステップアップする時期は絶対に出てくるので、その時に新たなものが生まれてくると思うんです。コブラにも新たなところで挑戦して、そこにまた新たな敵が出てくる。その時には多分警察とかも出てくるとは思うんですよね。

■俳優部の熱量でしか出てこないセリフがある

ーーそれは楽しみです。LDH所属の俳優やパフォーマーでしたら、そのキャラクターの基盤となる「人となり」を把握しやすいと思います。しかし『HiGH&LOW』には窪田正孝さんや山田裕貴さん、林遣都さん、新作では中村蒼さんらLDH所属ではない俳優も多数出演しています。キャスティングに関しての基準はありますか?

平沼:「性格と、今1番輝いている人、これから輝く人を」というイメージです。そこからキャスティングの交渉が始まりますね。あとは、例えば達磨一家の林遣都でいうと、以前僕が『荒川アンダー ザ ブリッジ』(2011年にTBS系列で実写ドラマ版・2012年に実写映画)のドラマ版に出演していたときに、共演したことがあったんです。遣都が主人公・リクルート役で、僕はビリー役でした。撮影初日の夜、監督の前で遣都が「こんなに豪華な俳優陣に対して主役が俺でいいのか」と男泣きしたんです。

ーー実写版『荒川アンダー ザ ブリッジ』は星役に山田孝之さん、カッパ役に小栗旬さんを筆頭に豪華なキャスティングが話題になりました。

平沼:そんな時に(山田)孝之は事務所の先輩でもあるので「大丈夫だよ」とアドバイスをしていたり。その関係がすごく良いと感じたんです。孝之自身もかつて自分自身ではじめて作品を選んで出演した『クローズZERO』があって、そこで監督の三池(崇史)さんに「僕がこの役でいいんですか?」と言ってたそうなんです。そういう時に「大丈夫」という一言が大事というか。それ以降、髭を生やしたりして、事務所の求める俳優のイメージとずれていくところを上手くプロデュースする方法を知っていて、それを遣都に教えていたんです。そこで達磨一家の日向の役は遣都にやって頂きたいと思ったんです。すごい速度で変わってゆく遣都に、さらにきっかけになる役をやってほしかった。

ーーたしかに日向の役はこれまでの林遣都さんがやってきた役イメージからは離れていますね。

平沼:そうなんです。遣都が「ノリさん、実はこういう役がやりたかったんです」と言ってくれて。嬉しかったし、だから「日向」には「紀久」という僕の名前がついてるんですよ(笑)。

ーーそんなエピソードがあったのですね。

平沼:今回撮影でも僕もほぼ全部の現場にいて、それは俳優部が「セリフをこう変更したい」ということを話し合えるからなんですけど。基本的にHIROさんもセリフは本質が変わらなければ語尾も全部変えてOKというのは言っていて、今回遣都も「ここのセリフをこう変えたい」と相談しにきても「この意味だけはずらさないでね」と言うと、意味を理解した中で新しいイメージを入れてくれました。

ーー前作のキメ台詞「ムゲンは仲間を見捨てねえ」がアドリブだったという話はファンの間でも有名ですが、そういったアドリブはよくあることなのでしょうか。脚本家として俳優のアドリブ自体はまったく問題ないと?

平沼:もちろんです。逆にその俳優部の熱量でしか出てこないセリフがあるということもわかっているので。

ーーさきほどおっしゃっていたように、「存在するだけで説得力があるキャラクター」の設定を事前に作っているからこそ、俳優から出てくるものはそのキャラクターのセリフだということでしょうか。

平沼:その本人から出てる言葉なので、僕たちが想像して書くよりもリアルということもあるんです。でもこのセリフを変えるとストーリーの本筋がずれてしまうものだけは、キープしないといけないから、そういうところは守りますけど。むしろガッチリ書けば書くほど自由が奪われていく気がするんです。大人になると守るものが増えるというのが今回の『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』のテーマなんですけど、最初は守るものがなく戦っていた男の子たちにどんどん守らないといけないものが増えていく。それによって大人になっていくんです。それと同じように脚本にも守るもの、これをやらなければという要素が増えれば増えるほどチャレンジする余白がなくなってくると思っていて。だからその余白をどう残すかは常に考えますね。

ーー平沼さん自身が俳優でもあるので、演じる方のことも想像できてしまうからでしょうか。

平沼:僕のイメージは例えば「……」とかト書きで書いてても、理解して察してくれる人と、それを理解できない人がいると考えているので、シーンによっては説明的なセリフをわざと書いてるんです。これはスタッフのためでもあります。そこで俳優部が「これセリフで説明しちゃってますよね」と来ると、「だよね、じゃあ言わなくていいよ」という判断になるんです。だから「セリフを一字一句間違えないで言え」なんて思ってないんです。作家側にそういう意味での変なプライドがないし、「皆で作ろうぜ」という雰囲気なんですよ。本当は準備稿に全部書いて、決定稿にはあまり書かない…とかしたいのですが、20稿くらい変わるのが『HiGH&LOW』なんで、なかなか(笑)。まぁ僕自身、作家ですと胸を張れないし、アウトサイダーだと思っていますので、許してください(笑)。

ーー『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』から新たに登場する小林直己さん(EXILE・三代目J Soul Brothers)演じる「黒崎会」若頭の源治や、NAOTOさん(EXILE・三代目J Soul Brothers)演じる「プリズンギャング」のジェシー、関口メンディーさん(EXILE ・GENERATIONS)演じるフォーなど、一気にキャラクターも増えました。

平沼:色々な資料読んでたら「プリズンギャング」といわれる刑務所内の話があったんです。5つか6つぐらいのギャングがいて、それは刑務所の外にも中にも影響力があるというんです。それがSWORDみたいだったんですよ。そこから着想を得ました。キャラクターのキャスティングのイメージはHIROさんですね。HIROさんが「今回は直己がいいね、NAOTO、メンディーでいきたいね」という判断をしていくんです。多分頭の中に色々あるんだと思います。僕らは作品をどう作るかしか考えていないんですけど、HIROさんはメンバーの各々のグループの活動と『HiGH&LOW』の兼ね合いや、その先にどういうグループ像があるのか、グループの中でもひとりひとりの夢に向かって導いていくのかを考えていると思うんです。多分そういう流れの上にHIROさんのイメージがあるんだと思うんです。

ーーそしてWhite Rascalsと敵対するスカウトチーム・ダウトの新リーダー林蘭丸(中村蒼)は悪のカリスマとされています。『HiGH&LOW』シリーズ初の「絶対悪」といえる存在ではないでしょうか。

平沼:『無痛〜診える眼〜』(フジテレビ)の時の中村くんのイメージがすごく強くて、中村くんならロッキー(黒木啓司)と対峙する男をしっかりと演じてくれると思いました。もちろん、『ダークナイト』のジョーカー、『トゥルー・ロマンス』のゲイリー・オールドマンのようなイメージを最初もっていたのですが、HIROさんのアドバイスから、普通な感じからそんなイメージが出るように……とキャラクターを作っていきました。

ーー『HiGH&LOW』といえば豪華なアクションも魅力のひとつです。例えば『ワイルド・スピード』シリーズなどのハリウッド映画を意識しているのでしょうか。

平沼:『トリプルX』とかね。久保茂昭監督は『トリプルX』や『ワイルド・スピード』のようなアクション映画が大好きですよ。だから乗り物の乗り方ひとつとっても、見て頂ければわかるんですけど、普通だったらそんな乗り方できないよねという(笑)。だから変な話『HiGH&LOW THE MOVIE 1』のクライマックスで、車のボンネット上に日向がいるというのもそうですし。脚本の段階では基本的に「登場」しか書いてないので、インパクトのあるものを監督と一緒に考えさせてもらっています。

ーーなるほど。

平沼:聞いたお話ですが、日本の映画は、普通だったら予算の問題でアクションをできるだけ減らして物語で引っ張っていこうとするケースが多いみたいなんです。でも、そこに対して『HiGH&LOW』ではアクションを見せたい、そのアクションにもきちんと意味があって、戦いをフィーチャーして、戦いの中に起承転結があるんです。それを見ている人が自分の人生に重ねて観てほしいんです。それが本当のアクションムービーなんじゃないかな。冒頭でも話しましたが『メンバーの身体を使う映画が創りたい』がコンセプトでもあるので。

■雨宮兄弟は普通にサンローラン着てる

ーー久保監督は前作『HiGH&LOW THE MOVIE 1』からの続投になりますね。

平沼:はい、前作の時は最初久保監督がどう映像化するかのイメージを作家チームが理解しきれていなくて……。前作で勉強したことを今回に活かして、久保監督がこう来るだろうということを予想していきました。だから以前よりもメリハリのある作りになっていると思います。

ーーそういう意味でも進化してると。

平沼:はい。こんなにも各キャラクターがカッコよく、ワクワク、ドキドキの映像を音楽に乗せて表現出来る監督は久保監督しかいないんじゃないでしょうか! 『HiGH&LOW』は久保監督がいてこその『HiGH&LOW』です。

ーー『HiGH&LOW』はアクションだけでなく、音楽や衣装もひとつひとつ凝った作りになっていますよね。

平沼:そうですよ、例えば雨宮兄弟は普通にサンローラン着てるんですもん。アクションをするなら最低三枚必要になってくるじゃないですか。これ全部でいくら? とスタッフももうヒヤヒヤしてましたから(笑)。アクションと同様に、これまでは「予算の中にはめましょうよ」と、実現していかなかったことをHIROさんは実現してくれた。

ーー雨宮兄弟の乗るバイクもカスタムに数千万円かかっていると伺いました。

平沼:そこがHIROさんのすごいところなんです。「俺達が子供の頃に憧れてたものを、今俺たちがやらないとダメじゃん」って。だから『HiGH&LOW』を見た中学生たちが、こういう服を着たいと思った時に、実際に調べたら値段がすごく高い、でもこれを着ることのできるような大人になりたいと思うような、「憧れの服」を表現したいというんです。そういうものを作りたいし、出て来る音楽もチームに合わせて作っているんですが、それも最先端な曲で、「あの時の曲かっこいいよね」というものを出していきたい。そういうこだわりを一切妥協せずにHIROさんが作ってくれるというか、「作れ」と言ってくれるんです。普通は「高いんで予算の中にはめましょうよ」となるところを。そこをやらせて頂くことで、本人たちのやる気も含めてキャラクターが生きてくると思うんです。

ーー「憧れ」というのは大事だと思います。一流の仕事を見て、観客の目を育てるという志ですね。今後も『HiGH&LOW』の世界は広がっていくのでしょうか?

平沼:広がっていくと思います。次の世代へバトンを渡す、そのバトンが今度どんどん違う広がりを見せていき、そうやってLDHって大きくなってきてるので。『HiGH&LOW』もそうやって大きくしていくものなんだなっていうのは感じながら作っています。今まで通りキャラクターを大切にしながらも、けれど初めて作った時よりもやっぱり僕たち作り手も成長してるので、だから今はかなり良い環境になってるんです。これからも多分そういう風に広がっていくんだと思います。それに、今回の『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』を「ただの喧嘩映画」だとは観てくださった人は思わないと感じています。皆さんの反応が楽しみですね。最後に「喧嘩する事は間違ってる、ただ、彼らが喧嘩しようと思う気持ちは間違ってない」これが今回の映画で伝われば最高です。(藤谷千明)