アングル:未知の有望小型株に脚光、アナリスト調査活動縮小で

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[ニューヨーク 7日 ロイター] - 米工業製品メーカー、ハンディ・アンド・ハーマン<HNH.O>の株価は年初来の上昇率が30%近くに達し、グーグル親会社のアルファベット<GOOGL.O>やビザ<V.N>を上回っている。ところが株式市場でハンディ・アンド・ハーマンの名はほとんど耳にしない。その大きな理由は、セルサイドのアナリストがだれも利益見通しを公表していないからだ。

ガベッリ・ファンズのポートフォリオマネジャー、ポール・ソンキン氏にとっては、こうした情報不足がむしろ追い風になっている。ガベッリはハンディ・アンド・ハーマンの株式を保有しているほか、ソンキン氏の推計では運用資産の約15%はセルサイドのアナリストのカバー対象外の銘柄で、今後もどうやら対象になりそうにない。

ソンキン氏は「ある銘柄をカバーするアナリストが少なくなるほど、株価が適正水準からかい離する可能性が広がる」と指摘した。

ソンキン氏以外のファンドマネジャーの間でも、アナリストがカバーしていない小型株に目を向ける姿勢が強まっている。業界全体でアナリストの活動が縮小したため、他の投資家の目にとまらないうちに比較的知られざる有望企業に投資できるとの思惑が背景にある。

フィデリティやジャナス・ヘンダーソン、ホッジス・キャピタル、バロンといった大手機関投資家の有力ファンドマネジャーは、アナリストの調査範囲が狭まったことで、過小評価されている可能性がある小規模企業がより多く確認され、独自の調査能力を持つこれらの機関投資家に長期的な優位性をもたらしてくれる、と話す。

実際、ロイターの分析に基づくと、小型株中心のラッセル2000指数構成企業を見ると、ウォール街の調査機関から正式なカバー対象とされない銘柄数は過去3年で30%も増加した。つまり数多くの小型株は、自力で分析する時間もしくは資源のない投資家にとって実質的にブラックボックス状態のままになっている。

これに対してホッジス・キャピタルのファンドマネジャー、エリック・マーシャル氏は、工業や金融といった人気の薄れたセクターで未知の割安銘柄がないか物色に乗り出しつつある。同氏は、保険会社のホールマーク・ファイナンシャル・サービシズ<HALL.O>を保有。ほとんど知られていないという理由もあり、時価総額は2億0300万ドルにとどまっており、株価は年初来で4.2%下げているという。

<副産物>

ある面では、アナリストのカバーがない企業の問題が焦点になってきたのは、インデックス投資の活況がもたらした思わぬ副産物と言える。

米投資信託協会によると、株式ファンドの全資産のうち現在パッシブ運用型ファンドの保有割合はおよそ42%で、2010年の24%から上昇した。

個別銘柄を売買する投資家が減ったことから、証券会社としては長年仲介手数料狙いで小型株の情報を提供してきた調査チームの人員を減らさざるを得なくなった。過去1年でBB&T、ノムラ、エイボンデールといった証券会社は調査部門を全面的に閉鎖し、簡単に埋められない情報の「穴」が発生。独立系のBCAリサーチは、投資銀行がインデックスファンド人気の流れに適応する事業見直しを進める中で、アナリストが発行するリポート総数は少なくとも20%は減るとみている。

投資家向け広報(IR)専門会社ポンデルウィリキンソンのエバン・ポンデル社長は「ポートフォリオマネジャーは株価の変動を追跡する上では、リポートを書く人間でなくアルゴリズムに頼る傾向がどんどん高まっている」と述べた。

(David Randall記者)