エアコンが「連続運転のほうが電気代が安い」は都市伝説?(depositphotos.com)

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 今年も暑い日が続く中、行政やメディアから熱中症に対する警戒が呼びかけられている。屋外よりも屋内で熱中症にかかるケースが多いという報道もあって、在宅中も無理をせずエアコンにお世話になるようになった人も多いのではないだろうか。

 気になるのは、夏の日中に全家電の5割を占めるというエアコンの「電気代」。ここ数年ネットでよく見かけるのが「エアコンは小まめに消したりせず、つけっ放しにしたほうが電気の節約になる」という都市伝説だ。なかには「24時間連続運転が良い」という説もある。

 なぜかといえば、エアコンは起動してから設定温度に達するまでが最も電力を消費するため、何度もON・OFFを繰り返すと、かえって余計な電力を使ってしまうからだという......。果たして本当なのだろうか?

小まめにOFFで3割も電気代が高い?

 実はこのテーマについては、今までいろいろな検証がなされている。

 たとえば2011年に中央電力研究所が行った実験では、一般的な戸建て住宅を使用。2階の15屬良屋で「エアコンをつけっぱなしにした場合」「30分間運転→5分停止の間欠運転をした場合」とで、室内の温度変化とエアコンの消費電力の推移を比較した。

 このデータを基に、170分のテスト時間内の消費電力量をそれぞれ計算したところ、小まめにON・OFFを繰り返した間欠運転のほうが、連続運転より何と30%も消費電力が多くなった。

 また2016年8月に放送された『羽鳥慎一モーニングショー』の「そもそも総研」でも、埼玉県吉川市にある「ポラス暮し科学研究所」の協力を得て、木造住宅の12畳のリビングで実験を行っている。

 その結果、晴天・最高気温35℃という当日の条件では、「24時間連続運転」では電気代が高くついてしまうものの、「5時間27分までのOFFなら、連続運転の方がお得」という結論が導き出されている。また曇りの日であっても「1時間16分までのOFFなら連続運転の方が電気代は安くなる」という。

30分の外出ならつけっ放しのほうが得

 そして最新は大手メーカーのダイキン工業が行った検証――。こちらは「機密性の良いマンションの14畳のLDK」を用いた実験だ。この日の最高気温は36.3℃であり、導き出された結論は次の通りだ。

●「つけっ放し」と「30分ごとに入り切り」を比較すると、9:00〜18:00までは「つけっ放し」の方が電気代は安い。それに対して18:00〜23:00までは「30分ごとに入り切り」の方が電気代は安い。

●「買い物」「子どもの送迎」「散歩」「外食」で合計4時間の外出を含む、9:00〜23:00の主婦のスケジュールを想定。「外出の度に入り切り」と「つけっ放し」を比較すると、「つけっ放し」の方の電気代が約35円高くなった。
 
 これらの結果からダイキン工業は、「9:00〜18:00までの時間帯は30分程度の外出ならエアコンをつけっ放しにする方が電気代は安いが、30分を超える外出の場合はエアコンをOFFにしたほうが消費電力は抑えられる」と結論づけている。
 
 エアコンの消費電力は、住宅の機密性や、その日の気温、部屋の間取りや設定温度などさまざまな要素で変動するので、一概に「つけっ放しの方がお得」とは言えない。これらの実験を見ても「24時間連続運転の方が安くなる」ケースはあまりなさそうである。

 とはいえ、エアコンを小まめに切ることが必ずしも節電にはつながらないことは確かなようだ。暑い日の在宅中は「こまごまとON・OFFせず、適正温度で連続運転する」こと。そして「1時間以上の長めの外出ではOFFにする」ことが、一般的な電気代を抑えるコツになるだろう。

<夜タイマー>は電気代にも身体にも優しくない?

 もうひとつ誰もが悩ましく思うものに「暑く寝苦しい夜のエアコンの使い方」があるのではないだろうか?
 
 ダイキン工業の調査によると、エアコンの「一晩中つけっぱなし派」が23.5%に対して「タイマー使用派」は53.1%と約2倍――。

 やはり電気代やエアコンの当たりすぎによる体調不良を心配して、「就寝後にOFF設定」をしている人が多いようだ。しかし同じ調査では、タイマーを使って就寝している人の6割以上が「暑くて夜中に起きてしまう」と答えている。

 実は、夜間は外気温が下がっていても、エアコンをOFFにすると壁や家具からの輻射熱でたちまち室温は上がる。途中、覚醒してエアコンをまたつけて寝ることを繰り返していると、温度変化で身体への負担が大きくなり、翌朝のだるさの原因にもなる。

 またON・OFFの繰り返しでは、前述のように電気料金も上がってしまう。そんな理由から、やや高めの温度設定で一晩中つけていた方が望ましい。 

 ダイキン工業によると、快眠には「温度」だけでなく「湿度のコントロール」も大切だ。一晩中エアコンを使いたい人には、「設定温度を28℃以上」の高めにし、除湿運転で「湿度を50〜60%」に下げることを推奨している。

 そのことで、体を冷やしすぎずに体感温度だけを下げ、汗をしっかり乾かして眠りやすい環境になるという。エアコンの機種によっては湿度設定ができないが、その場合は高めの設定温度で除湿運転をするといいだろう。

 また、エアコンをつけっ放しにしたくない場合は、好みの温度で切りタイマーを就寝後3時間に設定するとよい。そうすれば、入眠直後の深い睡眠が温度変化で邪魔されることがなく2周期(平均1周期90分とされる)確保できるために、前半の深いノンレム睡眠を安定的して取ることができる。

身体に負担をかけない工夫で心地よく

 就寝時のエアコンは設定温度以外にも工夫が必要だ。 

 まず大事なのは「身体に直接風を当てない」こと。ごくわずかな風速 0.14m/sのエアコンの風で体動や心拍数の上昇、覚醒頻度が多く、睡眠の質が悪くなったという論文もある。エアコンのフラップ(上下)は一番上を向け、ルーバー(左右)も壁に向けて、風を壁に沿わせるようにするといい。

 扇風機を併用する場合は、壁に向けて首を振らせず固定すると良い。部屋の周囲に空気の流れを作ることで身体にかすかな風を感じ、冷えすぎることなく涼しさを感じることができる。

 また、服装も大切。汗の蒸発で身体の表面が冷えすぎないよう半袖・短パンではなく、吸湿性に優れた長袖・長ズボンのパジャマを着用するようにしよう。

 まだまだ続きそうな暑さに負けず、元気に快適に過ごすためにも、エアコンを賢く利用するようにしたい。
(文=編集部)