前半の記事はこちら

6: 街角のストレージとキャッシュ

ストレージはコンピュータとは切っても切り離せないものだ。ストレージとキャッシュのネットワークを構成するものとして、通信インフラの一部にストレージが展開されなければならない。毎分集められる大量のデータをローカルストレージとペアリングすることで、不要なネットワークの混雑を避けることが必要だ。

自律運転車が一台あたり毎日約4TBものデータを生み出すことを考えて欲しい。さらに言うと街にある数千台の監視カメラから送られる高解像度ビデオを中央のクラウドに送ることなど非現実的だ。それよりもローカルのストレージと処理能力を使って知見を割り出し、何をクラウドに送って何を送らないかを
決めた方が良い。

キャッシュもまた次世代のコンテンツ配信に重要だ。レイテンシが大きくてはARやVRは成り立たない。こういった没入的なメディアは即座に受信できることで、街中を通じて安定的に機能する。

まとめると、スマートシティはストレージ機能を街中に配備する構造を開発しなければならない、そしてそれは街中に高度に分散化されたダイナミックなストレージアレイにならなければならないと言うことだ。

 

7: ハードウェアメンテナンスとアップグレード能力

いくら優秀な人でも最初から複雑なシステムを100%のものにすることなどできない。つまりスマートシティインフラはメンテナンスやアップグレードが可能なものでなければならないと言うことだ。だが都市のインフラ改善の都度、コンクリを剥がして作業を長々と待つわけにはいかない。テクノロジーはあまりに早く移り変わる。

街中に「サーバーラック」があることが都市を標準化するために必要なことだ。

配備されたインフラ設備にはメンテナンスやアップグレード、将来的な拡張をいつ行うかの計画が必要だ。これは技術的な見通しが求められるが、自治体や労働組合と合意を得ることは、運営上のノルマやどこまでが許可されるのかを決定する上で助けとなることだろう。

 

8: サードパーティの参入とAPI

処理能力やデータキャッシュが分散化している以上、第三者機関向けの開発プラットフォームはどうなるのだろうと言う自然な疑問を抱かざるを得ない。スマートシティの販売元は地域政府のリーダーとパートナーシップを結び、セキュリティのことも考え、リソースやデータへのアクセス方法や新しいインテリジェンス、エクスペリエンスを生み出すためのAPIを提供しなければならない。

一社だけによる技術革新はあり得ない。Steve JobsですらiPhoneプラットフォームから生まれたアプリケーションの多様性を予見することはできなかった。Appleは第三者機関を頼り、Instagram, Lyft, Airbnbなど、最初のiPhoneが出た時には想像もできなかった幅広いアプリのベースを獲得していった。

単純に開発者が自分たちのアプリを自分で公開できる、スマートシティのAppストアを作れば良いというわけはないのはもちろんだ。安全かつ迅速に申請されたアプリを、市街という本番環境に出して良いかどうかを判断するための高度な承認プロセスに取り組まなければならない。

 

9: ユーザーインターフェイス

消費者むけデバイスにおいて、インターフェイスの移り変わりは有線(PC)から無線(スマートフォン)、そしてアンビエント(Amazon Alexa)という道筋をたどっているところだ。同じくスマートシティでは公共空間もインターフェイスとなる。

スマートシティでの「環境」の相互作用は、音声とARが軸となるだろう。将来のスマートシティは環境との境なく一体化したインタラクションの場であり、「空間がインターフェイスになる」というアイデアは建築家や都市計画にとって深い意味を持つものだ。

 

10: より良いデザイン

これまで政府や公共インフラのデザインは、文字通り実利主義で魅力に欠けるものが多かった。しかし我々の毎日をより美しく、感化され、満足できるものにするため、公共インフラに対してできることはあり、またそれは行わなければならない。

スマートフォンの爆発的普及やその機能だって、製品デザインがインスピレーションや想像性に火をつけなければ起こらなかったことだ。デザインにより方向性や普及率が変わらない限り、我々はスマートシティの本当のポテンシャルを知ることはないだろう。

BRIAN LAKAMP
[原文4]