北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)級のミサイル発射実験を強行したことに対して、国連安保理は5日(現地時間)、制裁決議2371号を全会一致で採択した。北朝鮮は制裁に対して猛反発。とりわけ、米国に対しては先制攻撃も辞さないという姿勢で威嚇している。

こうした中、北朝鮮の庶民たちもよほど緊迫した日々を送っているのかと思いきや、女性たちの間ではある美容術が流行しているというなんとも拍子抜けする話が内部情報筋から漏れ伝わってきた。

覚せい剤ダイエットに牛乳風呂

経済的に苦しいと見られがちな北朝鮮には、トンジュ(金主)と呼ばれる新興富裕層が存在し、我々が想像する以上の贅沢な生活を送っている。なかには、美容のためといいながら、自宅で牛乳風呂まで楽しむトンジュの妻たちもいる。どうやら裏コンテンツである韓流ドラマで見たものを真似たようだ。

それだけでなく、美を追求するあまり、「ダイエット目的」で覚せい剤を使用するトンジュの妻もいるという。

もちろん全ての北朝鮮女性がこうした美容術を実践できるわけではないが、トンジュの妻たちが、北朝鮮での美容ブームを牽引していることは間違いない。そして、最近流行しているのが、「きゅうりパック」だという。

韓流で女子大生拷問

韓流ドラマには、中年女性が居間に寝転がって、輪切りにしたきゅうりを顔に貼り付けるシーンがよく登場する。水分の多いきゅうりでパックしてお肌をすべすべにするというものだが、化粧品が高くて買えなかった時代の名残とも言える。

それ以外にも、キウイ、オレンジの皮、伝統家屋の土壁に使われる黄土など、様々なパックがある。それらを製品化したものもあり、韓国軍で配給される石鹸にも、なぜかきゅうりの成分が入っている。

デイリーNKジャパンで調べたところ、メディアできゅうりパックが初めて紹介されたのは、朝鮮半島が日本の植民地支配下にあったころのことだ。

韓国の大手紙である東亜日報は、1935年7月4日付の「野菜や果物でこしらえる化粧水」という記事で、2合の水にきゅうりを1本入れて茹でて、そのお湯にホウ酸を1さじ入れて混ぜたものがお肌にいいと紹介している。つまり、少なくとも82年の歴史があるということだ。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)市在住の女性によると、市場の女性商人たちは、暇なときにきゅうりを顔に貼り付けてパックをしているという。やはり韓流ドラマで見たことを真似たようだ。

両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)市在住の女性は、韓流ドラマで初めてきゅうりパックを見たときは、てっきりやけどの治療をしているものだと思ったが、すぐにスキンケアだとわかってとても驚いたという。

韓流が流行するにつれ、町の女性たちは顔にきゅうりを貼り付けたり、牛乳を塗るようになった。しかし、韓流ドラマで見たことを真似しているというのは公然の秘密だ。金正恩党委員長は、一般庶民が韓流ドラマや海外コンテンツに触れることを厳しく統制している。一昨年5月には、韓流ドラマのファイルを保有していただけの容疑で、女子大生を摘発し、過酷な拷問を加えたほどだ。

(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

それでも、さすがにきゅうりパックまでは取り締まれないようだ。水につけて冷やしておいたきゅうりを切って顔に貼れば、ひんやりにして気持ちいいという。ちなみにきゅうりは、市場で1キロ1100北朝鮮ウォン(約14円)で売られている。旬が過ぎれば値段が上がるため、女性たちは大量購入して塩漬けにするというが、さすがにパックには使わないようだ。

ところで、パックに使った後のきゅうりはどうするのだろうか。なんと、さっと洗って夫の酒のツマミとして出すという。妻の味が染みこんだきゅうりの味はいかほどのものなのか、ぜひ夫に聞いてみたいものだ。