(写真提供=SPORTS KOREA)

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埼玉県で8月6日、あわや惨事となる出来事があったという。駅のホームで別れ話をしていた男女カップルがやがて口論となり、男性が交際相手の女性を線路に突き落おとしたのだ。

駅に進入しようとしていた電車は緊急停車。下半身打撲の怪我を負った女性に命の別状はなく、殺人未遂で現行犯逮捕された男性も「殺す気はなかった」としているそうだが、明らかに“デートDV”であったことは間違いないだろう。

『スッキリ!!』で報じられた韓国のデートDV

韓国でも最近、“デートDV”が問題となっている。7月21日に日本テレビの朝の情報番組『スッキリ!!』で報道された韓国のデートDVの様子をご覧になった方々も多いかもしれない。

同番組では韓国で起こったデートDVの様子が生々しく報道された。男が女性に暴行を加えており、通行人が止めに入ると男はその場を離れたが、今度は軽トラに乗って被害女性と通行人を追い回した。

決して許される行為ではなく、信じられない光景でもあるが、実は近年、韓国では“デートDV”が社会問題として深刻化している。

韓国「国民の党」が7月21日に開いた非常対策会議によると、ここ5年間にデートDVで命を落とした人は233人にも上るという。年に平均46人だ。

その被害の多くは女性で、報告をした委員は「世界で最も安全な国である韓国が女性にとっては最も危険な国になった」と指摘しているのだ。

原因は“怒り調節障害”にある!?

委員の指摘には一定の説得力があり、オーストラリアなどでは韓国が「女性観光客にとって危ない国」ランキングのトップに挙がるようになったという。

韓国メディア『文化日報』によれば、韓国では「家庭内暴力などとは違い、デートDVには加害者接近禁止請求権や被害者陳述保護権などの法案が設けられていない」。

そのため、デートDVを防げず被害者たちも泣き寝入りしているケースも少なくないというが、そもそもなぜ、韓国ではデートDV問題が収まらないのだろうか。

韓国でデートDVが深刻化している背景には、さまざまな社会問題があるのではないかと個人的には思う。

ひとつ目は、“怒り調節障害”だ。

韓国精神健康学会の調査によると、現在、韓国成人の半数以上が怒りをうまくコントロールできない“怒り調節障害”を患っており、10人に1人は専門的な治療が必要な状態だという。

実感としては韓国成人の半数以上がそのような状態とは思えないが、頭に血を上らせて事件や事故を起こす人が急増している現実があるだけに、デートDVにも関係している可能性は否定できないだろう。

“女性嫌悪”(ミソジニー)がますます深刻化

ふたつ目は、社会的なイシューとなっている“女性嫌悪”だ。

昨年5月に起こった「江南通り魔事件」が象徴しているように、ネットで広がった女性嫌悪が現実社会にも反映されてしまった。

最近は、女性が女性を叩くケースも見られており、女性嫌悪の深刻化が社会問題となっている。
(参考記事:女性が女性を叩くケースも…「江南通り魔事件」から1年で深刻化する韓国の“女性嫌悪”

そういった問題を背景にしているというデートDVに対して、韓国では関連法を制定して被害者を保護し、加害者に処罰を与えるべきとの声が大きいのだが、その声が実現するかは微妙なのが現状だ。

例えば、日本では2000年に施行された「ストーカー規制法」だが、韓国には未だに存在しない。ストーカーに関連する法案は1999年から発議されており、これまで8件も出されたがどれも撤回されているのだ。

ストーカー規制法が存在しない韓国

そのため韓国では現実的にストーカー行為を処罰する方法が軽犯罪として取り扱うほかに存在しない。

ストーカーを処罰できる根拠は、軽犯罪処罰法の「持続的に苦しめる」という文言だけなのだという。

そんな実状を利用したわけではないだろうが、悲劇のストーカー事件が起きている現状は早く改善されるべきだろう。

文脈はデートDVも同じだ。関連法が作られるなど、一日も早い対策が求められている。

(文=慎 武宏)