米国の市場調査会社IDCがこのほど公表した、拡張現実(AR:augmented reality)と仮想現実(VR:virtual reality)の製品、サービスに関する最新リポートによると、今年(2017年)のこれらに対する支出額は、世界全体で114億ドル(約1兆2500億)となる見通し。

 この市場は今後、年平均113.2%と、2倍以上の成長率で拡大し、2021年には規模が2150億ドル近く(約23兆6400億円)になると、同社は予測している。

 ARは、目の前の現実の環境にデジタル情報を重ね合わせて表示する技術。例えば、メガネ型や透過型ヘッドマウントディスプレーなどの情報機器を使い、現実の風景にさまざまな情報を表示すれば、工場などの作業現場で業務の効率化が大幅に向上するとして、今後の可能性が期待されている。

 また、昨今流行しているモバイルゲームにもこのARが使われており、昨年大ヒットした「ポケモンGO」も手伝って、この技術はすでに一般消費者に身近なものになったと言われている。

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 一方、VRは、目の前にある実際の場面から離れ、完全にデジタル世界に没入するという技術。これを実現するものとしては、米フェイスブック傘下のオキュラスVRや、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)などが販売するヘッドマウントディスプレーがある。

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AR、2019年にはVRを上回る見通し

 IDCによると、今年と来年は、ヘッドマウントディスプレー、ソフトウエアといったシステムなどの分野でVRへの需要が増え、支出金額はARのそれを上回る。この市場は主に、ハードウエア、ゲーム、課金コンテンツへの消費者支出によって支えられるという。

 ただし、2019年以降になると、産業分野でハードウエアやソフトウエアへの投資が増えるため、ARへの支出金額がVRのそれを上回ると、同社は分析している。

 IDCは、ARとVRの市場について、国、地域と産業別の分析も行っている。これによると、現在最も市場規模が大きいのは米国で、その金額は32億ドル。これに、日本を除くアジア太平洋地域(APeJ:Asia/Pacific excluding Japan)の30億ドルと、西欧の20億ドルが続いている。

 このうち、アジア太平洋地域(APeJ)の市場規模は、来年いったん米国を上回るが、その後、米国市場が巻き返し、2020年には米国が世界最大規模になる。また西欧市場も規模が拡大し、2021年にはアジア太平洋地域(APeJ)を上回るとIDCは見ている。

最大の市場分野は「消費者市場」

 このほか、AR/VR市場を産業別で見ると、現在最も大きい市場分野は、世界のどの国/地域でも「消費者市場」。

 これに次ぐのが、米国と西欧では、「ディスクリート型製造業」(自動車、機械、電子機器などの製造)と「プロセス型製造業」(食品、化学製品、薬品などの製造)。一方、アジア太平洋地域(APeJ)で2番目に大きな分野は「小売業」「教育」となっている。

筆者:小久保 重信