昼間の厳しい暑さで体力を奪われる夏。ぐっすりと眠って疲労を回復したいところですが、夏の夜は高温多湿で寝苦しいもの。なかなか寝付けなかったり、夜中に目覚めてしまったりする人も多いことと思います。

 オトナンサー編集部では、熱帯夜に負けない快適な睡眠法について、近著に「美人をつくる熟睡スイッチ」(ジービー)があり、多くの睡眠課題を解決してきたナイトケアアドバイザー・睡眠改善インストラクターの小林麻利子さんに聞きました。

「夏の室温は26度がベスト」

 夏は夜になっても気温がほとんど下がらず、寝苦しい季節ですが、小林さんによると、我慢して無理に寝ようとすると熟睡できないだけでなく、睡眠中に脱水状態を引き起こすリスクも高まります。

「人は入眠時に体温を下げようとして、手足を熱くすることで熱を発散したり、汗による気化熱で熱を放出したりします。そのため、入眠直後の発汗量が最も多くなるのですが、夏場は温度に加えて湿度も高いため汗がなかなか乾かず、不快感とともに体温調整もうまくいかず寝付きが悪くなるのです」(小林さん)

 そこで、熱帯夜の日は涼しい環境を作ることが大切ですが、だからといって室温を低くしすぎるのもNG。最適な温度は16〜26度とされていますが、中と外の温度差が大きすぎると体温調整を司る自律神経が乱れ、だるさや体調不良につながる可能性が高いため、夏の室温は26度がベストだそうです。

 また「エアコンの風が直接体に当たると、翌日に体調が悪くなったり、体のだるさを感じたりしてしまいます。風が直接当たらないように注意しましょう」。

湿度50〜60%ならば除湿機使用を

 快適な睡眠環境を作るためのポイントは以下の通りです。

【エアコン】

 熱帯夜でもスムーズに入眠するコツは、就寝時の室温を少し低めにしておくこと。就寝1時間前からエアコンを26度以下に設定して部屋の壁を冷やしておき、就寝時26度に設定し直すと快適に眠れます。

「最近のエアコンは自動運転により、部屋の温度変化がなければほとんど電力を消費しません。暑さで目が覚めてしまうのを防ぐには、タイマー設定を使わず、26度前後に設定して朝までつけっぱなしにしておくのも手です。ただし、個人差や部屋の広さに応じて快適に就寝できる温度に調整する必要はあります」

 また、湿度は温度以上に重要です。たとえ快適な温度でも、湿度が高ければ中途覚醒が増加する報告もあります。湿度が50〜60%以上ならば、就寝前までに除湿機で湿度を下げた上で、冷房で快適な温度に設定するとよいそうです。

【扇風機】

 部屋の気流は体感温度を決める重要な要素の一つですが、風を強くしすぎると逆に快眠を妨げてしまいます。また、扇風機の風を体に向けて眠ると体を冷やしすぎてしまうため、起床時にだるさを感じる原因となります。

「エアコンを使いたくない人は就寝時、足元に扇風機を置いて風を弱めに設定し、壁側に向けて『首振りモード』にしましょう。風を一度壁に当てることで風力が和らぎ、優しいそよ風となって部屋に気流を作ります。この気流が体の熱をゆっくりと下げ、スムーズな入眠と深い眠りにつながるのです」

 ただし、熱中症の危険を考慮すると、風通しの良くない家でエアコンは必須です。

湯船につかって深部体温を下げる

【エアコン×扇風機】

 エアコンと扇風機を併用することで、より快適な睡眠環境が作れます。

「夜になると、日中の太陽光で温まった壁から熱が発せられて部屋が冷えにくくなり、体感温度もあまり下がりません。エアコンをオンにした状態で扇風機の風を壁に向け、エアコンで冷えた空気を壁に当てるようにしておくと効率的に部屋を冷やせます」

 また、エアコンをオンにする前に部屋のタンスやクローゼットの扉を全部開け、たまった熱気を扇風機の首振りモードでかき回すのもオススメ。扇風機の風で気流を作って熱気を追い払うだけで、部屋がぐっと冷えやすくなります。日中、遮熱性のあるカーテンを閉めておき、太陽熱が入らないようにするのも手です。

【寝具】

 パジャマや敷き布団(敷きパッド)、掛け布団などの寝具は、汗をしっかりと吸い取って外に出す、通気性に優れたものを使いましょう。オススメは綿や絹、麻など。ガーゼやタオル地などは吸水性がさらにアップします。「表面がボコボコしているものは肌と接する面積が小さいため、通気性抜群です」。

【その他】

・お風呂で湯船につかる

 シャワー浴は熱がこもりすぎて眠れなくなる人が多いですが、湯船につかった方が深部体温が下がって眠りやすくなります。

・後頭部を冷却シートで冷やす

 寝つきまでの時間が短縮されたという報告も。冷感枕カバーや、おでこに貼るタイプでもオーケーです。

・ペパーミントやレモングラスなどの精油スプレー

 ミント系やシトラス系の精油は清涼感があり、涼しさを感じます。ディフューザーで寝室を香らせたり、無水エタノールと混ぜてルームリフレッシュナーとして使ったりするのがオススメです。

・夕方の運動

 昼と夜で体温の差が大きければ大きいほど、夜の熟睡度が上がります。最も体温が高い夕方にスクワットをしたり、階段を昇降したりするなどの運動がよいそうです。

エアコンの温度設定でもめたら…

 また、もしも同室の家族などとエアコンの温度設定でもめてしまった場合、まずはお互いが歩み寄り、先述した温湿度の設定でひと晩寝てみましょう。

 この設定で「寒い」人の対策としては、タオルケットなど薄手の掛け寝具ではなく、ダウンケットや肌掛けを合わせます。寝冷えを防ぐためにも長袖長ズボンのパジャマやレッグウオーマーの活用を。

 逆に「暑い」人は、そもそも深部体温が高いままの可能性があります。人間は内臓などの体温が高い状態では、質の高い眠りの持続時間が短くなってしまいますが、40度以下の湯船にゆっくりつかることで副交感神経が優位になれば、体表面や手足末端から放熱され、深部体温が下がります。

「夏場は就寝1〜2時間前にお風呂からあがるのがベスト。後頭部を冷却シートで冷やすと、寝つきまでの時間が短縮したという報告もあります。ぜひお試しあれ」

(オトナンサー編集部)