2017-0807
賃貸住宅の管理会社で構成されている業界団体「日本賃貸住宅管理協会」が公開中の【賃貸住宅景況感調査日管協短観】において、最新情報として2017年6月付で「賃貸住宅景況感調査日管協短観・2016年度下期(2016年10月から2017年3月)が発表された。そこで同短観の公開値をベースに、賃貸住宅における最新状況を確認し、同市場の昨今における動向を推し量ることとした。今回は広報・営業メディア毎の賃貸住宅業者への反応に関して、状況を見ていくことにする。
今調査は2017年4月から5月にインターネットを用いて日本賃貸住宅管理協会会員に対して行われたもので、有効回答数は190社(回収率16.2%)。2016年10月1日から2017年3月31日に関する状況について回答してもらっている。なお項目の目安としては前年同期比で「増えた…+10%以上」「やや増えた…+5%」「変わりなし…プラスマイナスゼロ」「やや減った…−5%」「減った…−10%以上」となる。また、公開されている図版・数字の多くでは3段階評価で示されているが、この場合「増えた」「やや増えた」の合計が「増加」、「減った」「やや減った」を合わせた値が「減少」に該当する。

今リリースでは「反響効果」と「反響数」がそれぞれ別の項目で掲載されている。「反響効果」は回答者(賃貸住宅業者)の主観的な判断によるところが大きく、あるいは「利用媒体」による結果が直接には結びつきにくいもの(要はリアクションの状況を雰囲気的に答えてもらったもの)。「反響数」は具体的な数字のカウントで比較できるもの、あるいは利用「される(お客から見た場合)」媒体そのもの。

例えば看板設置による「反響効果」は、お客が直接「看板を見てきました」と教えてもらうことで初めて効果のほどが確認できるが(あるいは看板のみに特定情報を掲示することで、看板経由であることを間接的に知ることはできる)、そうでない限り変化があったとの把握はし難い。看板を設置してから来客数が倍増して急に忙しくなれば、そして看板に書かれているキャッチコピーを多くのお客が口にしていれば、明らかに効果があったような実感、「反響効果」があった、増加したと認識できる。また、問い合わせのメール数が5割増しとなれば、それは「反響数」が増加したことになる。

ともあれニュアンスとしては大よそ同じであるため、内部で区切りはしたが、同一のグラフにまとめ、状況の把握がしやすいようにした。

↑ 賃貸住宅管理会社に対する反響効果・反響数の変化(2016年10月-2017年3月における、前年同期比で)
↑ 賃貸住宅管理会社に対する反響効果・反響数の変化(2016年10月-2017年3月における、前年同期比で)

↑ (参考・前半期分)賃貸住宅管理会社に対する反響効果・反響数の変化(2016年4月-2016年9月における、前年同期比で)
↑ (参考・前半期分)賃貸住宅管理会社に対する反響効果・反響数の変化(2016年4月-2016年9月における、前年同期比で)

多くの項目で赤系統の色塗り部分(減少意見)が少なく、緑系統(増加意見)の多さが目に留まる。特にカタカナ系項目、つまりインターネット関連のメディアの増加が著しい。一方で紙媒体系は「緑が少ない」「赤が多い」値を示しており、状況的には軟調である。

・賃貸住宅情報の専門誌「情報誌」の集客効果は減少。「自社誌」も減少。

・インターネットやメールなどデジタル系ツールによる賃貸物件の情報提供成果が大きく増加している。

・「直接来店」は多少ながらも増加。

など、各項目間の相対関係としては、ここ数年の動向がほぼ踏襲されている。つまり「検索性・比較性・情報のスピード感の点で、インターネットがベストツールとして選ばれている」「『情報誌』『自社誌』の需要はインターネットに食われた形」となる。

それぞれの項目において動きを把握しやすくするため、「増えた派」から「減った派」を引き、いわゆるDI値を算出し、その結果をグラフ化したのが次の図。リリース本文にあるDI値ではなく、今記事作成のために独自に算出している値であることに注意。

↑ 賃貸住宅管理会社に対する反響数の変化・DI値(2016年10月-2017年3月における、前年同期比で、増えた派−減った派)
↑ 賃貸住宅管理会社に対する反響数の変化・DI値(2016年10月-2017年3月における、前年同期比で、増えた派−減った派)

メールやポータルサイトでの反響数の増加が著しく、自社ウェブサイトはそれに続くも勢いとしては半分程度。電話・FAXや看板なども意外と反響が増えているのも掌握できる。

そして紙媒体が他の媒体と比べて軟調な状況にある、つまり反響効果が思わしくない(と管理会社に認識されている)事実が改めて確認できる。「旧来紙メディア=軟調」「新メディア、直接アプローチ(手段を問わず)=堅調」といった各ツール・ルートが置かれている立場が明確に数字となって表れている。この状況は前半期から変わるところはない。

反響数項目(右側)では「メール」が一番効果が上がっている。そして「電話・FAX」「直接来店」の順と続く。利用者側の「手間をかけず、時間を拘束されず、確実で自分の需要にあった情報に関して業者へ確認をしたい」との考えが見て取れる。つまり、

・「来店」…時間を多分に必要とする。足を運んでも担当がいない可能性がある。居てもその場で求めていた回答が得られるか確証が無い(大抵の不動産屋へは「一見さん」となるので、その不動産屋の挙動まではわからない)。

・「電話」…時間は短時間で済み、足を運ぶ必要は無い。しかし担当がいないかもしれない。再度の電話が求められる可能性もある。

・「メール」…時間はかからない。担当の都合に合わせて返事がもらえるはず。ただし望んだレスポンススピードで返事が来るとは限らない。

となる。

「効率よく良い物件探しをしたい」「購入では無く賃貸なのだから、支払い対価相応のリソースで物件を探したい」といった借り手の視線で考えれば、インターネットの利用は、より適切なツールを選んでいるに過ぎないことが分かる。特に昨今ではスマートフォンやタブレット型端末など、大型の画面を持つ、そして機動性に優れたモバイル端末の普及が進んでいる。映像やマップ機能との連動性を活かした、多方面からの情報提供により、利用者はより確かな品定めをすることが可能な時代である。

それらの特性を活かした、「より適切に情報を得られた」と利用者が満足でき、賃貸契約の具体的な話へと進めたい、と思うようなサービスの提供が求められよう。