記者会見で説明するジャパンディスプレイの東入来信博会長兼CEO=9日午後、東京・新橋(飯田英男撮影)

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 官民ファンドの産業革新機構が主導したJDIの再建は、日本の電機業界が韓国・中国勢に押される中、産業競争力を取り戻す「日の丸再編」のモデルとなるはずだった。

 しかし内部の主導権争いや、意思決定の遅れなどから思惑は崩れた。産業界では、革新機構が主導する“国策再編”の限界を指摘する声もある。

 革新機構の幹部は、「液晶から有機ELにシフトする流れを完全に読み違えた」とため息をつく。世界のスマートフォン市場の潮流を先取りし、的確な判断ができる人材が経営陣にいなかった。「官製ファンドでは政府の意向に引きずられ、中長期的な視点で事業戦略を描けない」(アナリスト)との指摘もある。

 「戦略の“朝令暮改”は当たり前」(電機大手首脳)とされるエレクトロニクス業界。だが、寄り合い所帯のJDI内部では主導権争いが発生。「出身企業によって、経営幹部の言うことがばらばら」と内部抗争に終始した。

 半導体事業をめぐる国策再編は不振続きだ。日立とNEC、三菱電機のDRAM部門を経済産業省主導で統合したエルピーダメモリは、平成24年に経営破綻し米企業の傘下に入った。同じ3社の半導体部門が統合したルネサスエレクトロニクスは革新機構の出資を受け、自立経営に転じたが、業績回復には遅れが目立つ。

 政府の関与は迅速な意思決定を妨げ、マイナスの影響が大きい。財界首脳は「自国産業を守ることは重要だが、革新機構だけに任せるのは無理がある」と指摘した。(万福博之、平尾孝)