鼻から入った異物を体の中に入れないための防御反応

異物が鼻の粘膜に付着するとくしゃみ中枢に伝わる。花粉のほかダニ、カビ、ハウスダストなどでも

アレルギー性鼻炎のくしゃみが防御反応の典型

突然「ハックション!」 とくしゃみをすると、「あれぇ〜、誰かにうわさされているんじゃないの?」と冷やかされたりします。これが連続しようものなら、「1にほめられ、2にふられ、3にほれられ、4に風邪!!」などと周囲の笑いのエジキになりかねません。こんな冷やかしのタネにされがちなくしゃみは、いったいどうして出るのでしょう。

くしゃみの理由、その1つは、鼻に侵入した異物が粘膜に取り付いたとき、それを追い出そうとする反射という本能的な防御反応です。

毎年悩まされている人なら年が明ける頃から警戒モードに入っていく花粉症は、花粉が飛ぶ時期に起こるアレルギー反応の総称ですが、そのなかで最も多くの人を悩ますのがくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー性鼻炎です。これは、呼吸によって吸い込まれた花粉が鼻の粘膜に付着して起こますが、このとき体内ではヒスタミンという化学伝達物質が放出され、それが鼻の知覚神経を刺激します。その刺激が脳内のくしゃみを起こす中枢へ伝わると、くしゃみが出て異物である花粉を体外へ吐き飛ばそうとするのです。

間違いやすい花粉症と風邪のくしゃみ

アレルギー性鼻炎をもたらすものは花粉だけではありません。ダニやカビ、ハウスダスト、ペットの毛なども季節を問わず原因になります。くしゃみが1回や2回ではなく何回も連続して起こるのがアレルギー性鼻炎の特徴。鼻水も絶え間なく出てきて、鼻の下を赤くしながらティッシュペーパーを手放せないでいる人を見ると、気の毒すぎてとても笑いのタネにできるものではありません。

風邪の初期症状のときに起こるくしゃみも、ウイルスの侵入を防ごうとする防御反応です。このくしゃみを風邪だと思い込んでいたら、実は花粉症だったということはよくありがち。花粉症か風邪かを見分けるポイントは、鼻水がサラサラと水っぽく、目にもかゆみの症状があれば花粉症、くしゃみだけでなく発熱やのどの痛みも伴うようなら風邪と考えてよいでしょう。さらに風邪の場合、鼻水は初め水っぽくてもやがて黄色っぽく粘り気のあるものに変わってきます。
症状に対して市販薬で対応しようとする場合、花粉症と風邪では当然ながら薬が異なりますから、判断に迷ったら医師に診断してもらうのが賢明です。

冷たい空気やホコリ、香辛料の刺激でも

アレルギー性鼻炎や風邪以外だと、冷たい空気やホコリを吸ったり、香辛料を吸い込んだ刺激などでもくしゃみが起こることがあります。これらも反射という防御反応です。アレルギー性鼻炎のようにくしゃみが連続することは少ないのですが、自律神経が乱れていたり精神的なストレスがあると何度も連発することがあり、これはアレルギーではなく血管運動性鼻炎と呼ばれています。また、直射日光を見たときにも反射的にくしゃみが出ることがありますが、この原因はまだよく分かっていないようです。

中世の日本では、くしゃみをすると魂が抜けて寿命が縮まると忌み嫌われていました。くしゃみの語源は「くさめ」という言葉だといわれています。兼好法師の随筆『徒然草』には、尼さんが「くさめ、くさめ」とくしゃみよけの呪文(じゅもん)を口にしながら歩いていたという記述があります。

寿命を縮めるかどうかはともかく、くしゃみが出るとき、人はたいてい目をつぶり、体のコントロールが一瞬効かなくなります。車を運転しているときや熱い飲み物などを手にしているときのくしゃみは、危険な瞬間です。ご用心ください。

(編集・制作 (株)法研)
※この記事は2013年2月に配信された記事です